so027 (せんりゅうつれづれそう)
第27号(16年3月)
侘助(わびすけ)の章
(科目) ツバキ科 (花言葉) 控えめ ひそやかな夢
・一重咲で小さく、半ばまでしか花を開かない、慎ましやかな筒状のツバキ。
今わが家の庭には、控えめで慎ましやかな侘助が、
いっぱい花を付け、ひそやかな夢を抱いて咲き誇っています。
今月は「ひよ」さんという新しい参加者がありました。その人の弁、
「俳句を思わすような正調川柳!?に憧れています。」
(★印は英人の推奨句)
課 題 「 さまよう 」 楽しんでいるかも 迷っていることを 楽子 鈎針をマウスに変えて老いを生き ひよ 寒暖にさまよう花芽落ち着かず 瑞希 指先の紫煙さまよう待合せ 靖坊 遠き日のやる気さまよう雲の果て みいちゃん 俗世をさまようふたり手をつなぎ 酒仙 さまよった揚げ句見つけた福寿草 ぺ天使 さまよって散れば私の春終わり 摩夢多絽 さまよったときに私が帰る家 桃華 明日のことさまよい始め寝つかれぬ 英人 |
「 心弾む 」 ひよ
春の海夢を奏でる波しぶき
懐かしくホッとひと息無人駅
★夢で追う見えぬあなたのプロフィール
幾重にも日差し浴びつつ春を待ち
穏やかに子等と集いし春の朝
(穏やかな人柄がただよう初投稿の人)
「 笑おう 」 靖坊
吠え立てる犬に向かって笑い顔
作り笑い浮かべた自分可笑しくて
傘差して笑えば雨も笑い出す
喜怒哀楽全て笑って済ませたい
★さあ笑おう明日はきっと良い天気
(笑う角に福きたる)
「 夫です 」 ぺ天使
寒がりの夫の洋服春はまだ
淋しげでなお寡黙な休肝日
★うたた寝の夫の呼吸は単調で
夫の手にまだ力ある庭木切る
庭先で春待ちながらタバコ吸う
(夫をやさしく見つめる妻の目)
随想 「失敗しちゃったの!!」 ぺ天使 この4月から小学1年生になる孫娘は、いまだ一人で眠れないらしい。 入学祝いに机一式をプレゼントした。届いた知らせを受け、夫と2人で 孫の部屋に見に行ったら、ベットも入っていて、 「あら、**ちゃん一人で眠れるようになったの?」 と尋ねたら、 「昨日練習してみたけど失敗しちゃったの!!」 と明るい返事。夜中に目が覚めたとき、泣きながらパパとママを呼んだ そうだ。 |
「 引っ越し 」 こゆる
引っ越しで脱ぎ捨てられた過去の縁
また今日も新居の窓に光る朝
越えられぬ山はあるまい人の道
つかまえた! 二十数年来の夢
★見上げればコブシの枝が空を這う
(新しい生活に新しい夢、おめでとう)
「 孫 」 酒仙...
孫の顔かわいいそぶりに甘くなる
人の子を見ると思わずだぶる孫
孫かわいい傍にいたいが遠すぎる
★何見てもすぐに孫にと結び付け
二人目を早く見せよと嫁を見る
(ついに孫孫孫となり果てました(^○^))
「携帯電話」 摩夢多絽
プロポーズ携帯電話でときめかぬ
携帯で漢字を探す事教えられ
川柳を携帯メモに蓄える
★携帯で鉄人飛ばす未来近し
何事も携帯頼り 侘びしい世
(便利な中に落とし穴あり)
随想 「砂の器」 映画が忘れられぬ中年 CBCで毎週日曜21時に放映されている「砂の器」にハマっている。 元々約30年前に、場末の映画館で松竹映画の「砂の器」を見て、この 作品の虜になった。シナリオ読みたさに、古本屋を探し回ったことも あったし、映画館にテープレコーダーを持ち込み録音する位の入れ込み ようであった。 今回、このドラマ版にはまっている最大の理由は、公式ホームページの BBSへの書き込みが原因である。最初、読んだときには、30代位の 女性が『和賀さんが可哀想』とかドラマの内容を論じたものが多かった。 そこで、「折角の推理ドラマなのだから、今後の展開を考えてはどうか」 とBBSに書き込み提案したところ、私と同じ世代の、しかも男性から 多くの反響があったのに、ビックリした。ビックリついでに書き込みを 続けたら、2週間で約10通も書き込みしてしまった。 映画版「砂の器」は、“私の人生の原点”になっていると言っても過言 ではないが、うちの奥方に映画版を見せたときに『暗い!』と言って、 その後「砂の器」の話題に付き合ってもらえないことを、実は嘆いていた。 しかし、今回のドラマに娘たちが関心を持ちつつあるというのが、上記の BBSにも増して、一つの喜びとなっている次第である。 |
「携帯電話」 瑞希
ケータイを開けば孫の笑い顔
★いち早くメールで友の春便り
娘よりおやすみなさいとメール来る
長男に百文字送り五文字来る
引き出しにお手紙セットほっとかれ
(携帯電話で家族交流も良し)
「七十歳の喜怒哀楽・22回」
みいちゃん
幸せってなんだ形の見えぬもの
豊胸を誇る美女だが知性が無い
草野球か金切声の応援団
★カスミソウあなたも夢を見てるのね
ハルウララ私も一緒に走ります
(ハルウララは春ランランですね)
・・・英人の20句抄・・・「 風やわらかに 」
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「一目惚れ」 もりぞう
春爛漫飲んだ酒に一目惚れ
この歳で一目惚れする愉快だな
人目惚れお爺の顔もにこやかに
★着こなしに一目惚れして輝く眼
(人生ここにあり)
「もうすぐ園児だよ」 桃華 友だちに遅れぬように走ってきた 風がくるボクに走れというように 園児服着たら桜が満開に ★給食がボクのくるのを待っている 新しいカバンをかけてさあ行こう (きのうの赤ちゃんがもう園児か・・・・) |
「夫は出張中」 楽子
申し訳ないけどのんびりやってます
一日の暮らしがごみ袋の中に
口先で自由をうたい自立せず
不安にも慣れる主のいない家
★ストレスが解消した頃帰宅する
(寸暇を楽しむ、これも良し)
(感想文T) 気ままに一言・・・ ・「同じ題(携帯電話)の方に」 摩夢多絽 スペインの爆弾テロ事件で携帯電話が起爆装置として使われたとか。 川柳を投稿後に知り、「便利な中に落とし穴」というより、日常的な機器が このような使われ方をされて、個人の危機管理の至難さと恐怖を覚えます。 もう一人の方の瑞希さんは、現在進行形のホームドラマから抜け出た ような柔らかく、ほのぼのとした句で、私にはちょっと描けない?世界です。 「長男に百文字送り五文字来る」なんて句は、百文字も送ったのに 5文字だけと落胆か、はたまた諦めか、長い余韻の感じる句ですね。 私の今回の句は、コミュケーションというより、機能的な過去・現在・未来を 主題に盛り込んでいる句になってしまいました、肝心な情がありません。 瑞希さんのは、いまそこで、携帯を使いながら、句が生成されてゆく人の 機微と表情がうかがえます。 早く、そんな何気なく、ふっと自然に詠えるような句が出てくるといいな・・・ と思って、しみじみと瑞希さんの句を詠ませていただいた摩夢多絽でした。 ・“靖坊さんの「笑おう」に” こゆる 本当に、笑うことはとても素敵なことですね。 笑顔の人を見ているだけでもこちらももらい笑いをしてしまいます。 笑い袋なんて言うオモチャもありましたね。あれには、つい、笑いを誘われ ますよね。 笑えば、体の免疫力が上がることは、医学的にも立証済みのようです。 もっともなことだと思います。ちょっと気分が落ち込んだときでも、鏡に向かっ て無理にでも笑顔を作っていると、なんとなく心にかかっていた雲が流れて いくような気がしてきます。 20年後くらいには、良いシワが寄る、良い笑顔で笑えるおばあちゃんに なっていたいものです。 ・“こゆるさんの「引っ越し」に” 靖坊 一口にお引っ越しと申しましても、まあ、様々なケースがあるものでして、 左遷同様の転勤命令による涙涙のお引っ越しとか、昨今の不景気による 夜逃げ同然のお引っ越しとか、あるいは、夢と希望に溢れた新築のマイホ ームへのお引っ越しとか、いろいろ・・・こゆるさんの場合は、勿論、大きな 期待を抱いた明るい楽しいお引っ越しなのでしょうね。 コブシの枝の間から見える空には、夢が煌めいていることでしょう。 私は時々「心の住処」ってものを考えたりします。 私自身、子供の頃は「甘いお菓子」や「おもちゃ」に住み、学生の頃はやむ を得ず「学業」に引っ越しを余儀なくされ、働き始めてからは「仕事」に間借り しながら、「映画」や「読書」や「川柳」に本籍を置いているって感じでしょうか。 この先、何回引っ越しをするのか見当も付きませんが、私の終の住処が 「川柳」なら、なかなか悪くない人生だったと思えそうです。 |
(感想文U) 気ままに一言・・・ ・ストレスが解消した頃帰宅する(楽子) 桃華 「夫は出張中」の中の一句。夫がいないと手足のびのび、自由気まま。 リラックスできますね。でもこの一句、少し夫族がかわいそうかな。夫が いるとストレスが溜まるというのだから・・・(違うかな?)・ 句はいつも独立して鑑賞されます。この句のみだと作者がストレスを外 で解消して帰宅する、というふうに解釈され、全く違った意味になりますね。 どちらも面白いけれど・・・・・ ・懐かしくホッとひと息無人駅(ひよ) 英人 慌ただしい日々にふと見つけた無人駅、昔は無人駅が多かった。子供の 頃がなつかしく思い出される。静かな雰囲気に心が安まる。今こそ静かな 気持ち、時間を持ちたいものだ。句づくりも喧噪の中で、静かな心を持つ ことに役立つと思う。 更なる投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を5句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2004年「課題」 (1月)明日 (2月)浜辺 (3月)さまよう (4月)昔 (5月)忍ぶ (6月)音 (7月)夜 (8月)親 (9月)さがす (10月)濡れる (11月)翼 (12月)色 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |