so026     (せんりゅうつれづれそう)

             
第26号(16年2月)

蕗の薹の章

(科目) キク科   (花言葉) 仲間 愛嬌
     ・いち早く春を告げるものとして、てんぷらにしたり、味噌汁に入れたりと
    食卓を飾ることが多い。独特の香りとほろ苦さが春の息吹を感じさせる。


地中からも、木々からも新しい芽が芽吹いてくる。
春の足音だ・・・・大いに歌おう、春の歌を・・・・
                   (★印は英人の推奨句)



 課 題 「 浜 辺 」

波が消す浜辺の砂のラブレター      ぺ天使
浜見えぬ故郷の鉄道今昔     ぺ天使兄
浜辺行く我が足跡の不確かさ    ぺ天使妹
砂浜であの日拾った貝いずこ   ヒロ・アキニレ
遠い日に浜辺に捨てた恋一つ     みいちゃん
流木に聞いてみたいな古里を    瑞希
老夫婦白い浜辺で手をつなぎ    酒仙
寝転べばわらべ心に帰る浜辺    摩夢多呂
どこにある 浜辺の砂を掘ってみる    靖坊
ひからびた昨日が打ち寄せられている    楽子
思い出の浜辺がまるで違って見え    桃華
厭世観冬の浜辺に埋めてくる     英人


「おかげさま」       ぺ天使

遠い耳世間聞こえぬ おかげさま
「元気だ」と知らせる子いて おかげさま
睡眠剤と決別できて おかげさま
母の味出せば喜ぶ おかげさま
病む腕で夫の床敷く おかげさま

(「おかげさま」この言葉が全てである)


「七十歳の喜怒哀楽・21回」
 みいちゃん


真っ先に春を感じる花達よ
初島に行ってオゾンを吸って来た
とりどりの梅の香りに会えた旅
夢で会う初恋の人笑いかけ
納得のいくまで眉を描いている

(若さは心意気で保つもの)


  「 立 春 」     瑞希

来た春も今しばらくの里帰り
  雪ん中春は近いぞ猫の恋
    豆まかれ良くも悪くも逃げる鬼
      孫遊ぶ雪輝いて風は春
         
★悩む夜は月の光もきりきりと
    (春だ、春だ、さあ、遊ぼう)


         「わが家の孫」     瑞希

  わが家の孫は嫁ぎ先の母上と娘と二人がかりの育児です。
 たった874gで生まれた小さな命が本当にたくましく育っていて
 くれます。言葉もいろいろ覚えて可愛い盛りです。感謝のほか
 ありません。
  車で10分ほどのところですが、なかなか来てくれなくて、
 少し寂しいおバアちゃんです。




「二月の空」 靖坊

デジカメで切り取りこれは僕の空
風吹いて冷たく見える空の青
鳥も雲も持たない空の下に居る
大空に浮かべた夢も今はなく
爆音が遠くに消えて元の空

(大空の下で思いきり深呼吸をしよう)



「日々あれこれ」      楽子

足音でわかる夫の心持ち
若いとは思わなかった若いころ
わたくしもそしらぬ顔で生きている
恋をしている顔をしてチョコを買う
★遠ざかる船は明日しか見ていない
(まだまだこれから・・・チョコを買うもよし)



 
・・・英人の20句抄・・・「 春の足音 」

            風うねり私も揺れて春遠し
          凧は凧 期待の風がままならぬ
        凍てついた路上に迷う我が意欲
                    さまよって足の弱さを自覚する
               冬に蒔く種の下積み長すぎる
                 約束の時間に遅れ壁白い
                   流れ星 定年のあと気にかかる
  力つき自転車を降り楽になる
  立春の足元冷えて豆拾う
     星流れ一期一会の出会いなり
     時来れば赤子が泣いて時知らせ
                       僕の顔見ている人を好きになり
                    言葉より風の匂いに欲しい春
                 咲き場所が自由にならぬ蕗のとう
                      吉凶を一包みに雪景色
                      福は内 願いを込めて墨をする
                柏手に夢が目覚めて背を伸ばし
                    蕗のとう確かな春の足音だ
                         梅一輪酒を小脇に友がくる
                         蕗のとう見つけた夜のほろ苦さ



「 春 浅 し 」   ヒロ・アキニレ

 陽だまりの席を見つけるティータイム
 雨やさし土にしみ込み春を告ぐ
 ★水仙の白さ老いの身清められ
 パンジーとビオラが庭に春浅し
 枯れ草の中でみどりの自己主張

(あなたの出番が近づいている)


「メロディー」  もりぞう
 
  メロディーが疲れた体に癒し呼ぶ
  たまに聴くメロディー 朝は新鮮に
  目にとまることは何でも気にかかる
 ★違うビル入るとそこは別の顔
   足音でその人の身の重さ知る
(軽やかなメロディーに身も軽く)



「天使が二人?」        桃華

乳吸う子吸われる母も穏やかに
平和への天使となってくれるかな
どんな顔してもついつい笑みこぼれ
誤算かな妬む幼児を買い物に

★ボクの方見てよボクもいい子だよ

   (天使二人に悩まされる日を知らず)


     
「いのち誕生」      桃華

  昨年の12月31日、二女が女子を出産した。その第一声を
 聞いたとき、私は喜びで身体が震え、嗚咽が出た。いのちが誕生!
 何と感動的なことだろう。小さないのちが狭い産道を通って、この
 世に出てきた。
  私も二人の子を産んだが、その瞬間は麻酔が効いていて覚えが
 ない。長女が出産したときは病院までついていったが、待合室で
 待っている間に産まれてしまい、瞬時の声は聞いていない。それ
 だけに今回の赤ちゃんの第一声は言葉には表せないくらい感動し
 た。この世に出てきた小さな生命への祝福で、嬉しくて、嬉しくて
 涙が出た。こんなことがあるなんて・・・・
  ともあれ、小さないのちは元気いっぱい。お乳をたっぷり飲み、
 よく眠る。かわいくて、かわいくて、食べてしまいたくなるほど。
 でも、私はママではないから遠くで眺めているだけ、それでも幸せ
 な気分になれるのはなぜだろう。彼女はわが家に福を運んできて
 くれたようだ。

 



「電車の中」     酒仙....

 つくる句をあたためもせず出す勇気
 車中では想い思いに暇つぶす
 飛び乗った車中はちがう顔ぶれで
 ★時間帯違う列車で出会いある
 駆け込んだ列車が違い苦笑い
(間違いが元で新しい発見、これも良し)


「爪を切る」      摩夢多呂

爪を切る ふと目に浮かぶ母の顔
爪を切る 爪に涙の女(ひと)想う
爪を切る 愛しい思いで手を眺め 
爪を切る じっと考える明日の事
爪を切る ただ無心に爪を切る
(小さな行為、大きな発見)



    (特別感想文)
      桃華さんの「いのち誕生」に対して   瑞希

  桃華さんの「いのち誕生」を感動しながら読みました。そして、わが孫の誕生の
 時を思い出し、思わず涙ぐんでしまいました。
  羊水が知らず知らずのうちに何かの原因で漏れていて、7ヶ月の検診で異常が
 見つかり、羊水が少ないために起こるいろいろな弊害を医師から告げられたこと
 を・・・・そして今、帝王切開で出してしまわなければ命の保証さえないといわれた
 ことを・・・・手術室に入った娘の無事と産まれてくる孫への期待と不安で、胸も張
 り裂けそうだったあの日のことを今持って忘れることはできません。
  そして、たった874gの命は奇跡的にも強い生命力を授かり、その日から娘夫婦
 はもちろんのこと、医師と看護士の皆さん、そして、ご両親の祈りにも似た献身的な
 愛情により、今日に至ったことは感謝の言葉もありません。今2才と4ヶ月、体は
 小柄ながら元気いっぱいで、家族を巻き込んでのヤンチャ娘です。
  桃華さんの2003年12月31日という意義ある日に誕生されたお孫さんと共に、
 幸多い人生を祈るばかりです。      (平成16年2月20日)




    (感想文) 気ままに一言・・・ 

    ・飛び乗った車中はちがう顔ぶれで(酒仙)    桃華
         毎日毎日、定刻に同じ位置から乗る電車、サラリーマンの哀しい
        性か・・・・。だから、車中は同じ顔ぶれが並ぶ。これが一番落ちつ
        くらしい。
         ところが、遅刻しそうになって、あわてて乗った違う車両はまるで
        異国のよう。知らない人ばかりで落ち着かぬ。やはり日々はあまり
        変わりなく過ぎるのが安心ということでしょうか。

    遠ざかる船は明日しか見ていない(楽子)     英人 
        ひたすら未来を夢みて作者から遠ざかっていく、この船はどんな船
       でしょう・・・子供さんでしょうか・・・・・そうであれば仕方のないこと、
       喜ばしいこと・・・・しかし、母親としては寂しい、でも健気にしっかり
       見守っていてあげてください。

    爪を切る ただ無心に爪を切る(摩夢多呂)     英人
         爪を切るときはその手先に集中し、ただ無心になるものである。
        私もこんな時間が好きである。
         そして、スッキリした指先、さあ、次のことに取りかかろう。 

     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。

  1)毎月15日までに自由句を5句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  2)2004年「課題」
    (1月)明日 (2月)浜辺 (3月)さまよう (4月)昔 
    (5月)忍ぶ (6月)音 (7月)夜 (8月)親 (9月)さがす
    (10月)濡れる (11月)翼 (12月)色
  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。
  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。

             川柳投稿

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