so011
(せんりゅうつれづれそう)
第11号(14年11月)
野菊の章
(科目)キク科 (花言葉)真実・元気
(★印は英人の推奨句)
「 嘘 」 楽子
嘘をつく みかんの皮を剥ぐごとく
友だちは嘘に気づかぬふりをする
銀幕の嘘にだまされてやろうじゃない
★居ごごちのいい嘘 わかっていてもなお
一瞬の本気をふりはらい走る
「秋の朝」 摩夢多呂
朝冷えに目覚めて悔しふて寝する
朝焼けに映えたもみじに高ぶる気
朝冷えに秋の深まり足から知る
★もう朝と思う気持ちが陰となり
暑き日々過ぎてすこやか朝の影
「落ち葉」 瑞希
濡れ落ち葉私のようなしつっこさ
かさこそと秋の名残の落ち葉踏む
想い出は遠い昔の落ち葉焚き....
木枯らしにつかまりきれず飛ぶ木の葉
★千々に散る山のもみじも事情あり.....
「僕と川柳」 靖坊 最近、気が付いたのだが、僕が川柳に初めて触れたのは七才の時だ。 丁度、父親が病死して、子供心になんとなく不安な心持ちだった時、父方の 祖母がある遊びを教えてくれた。 以前、ちたの風のメンバーでもやっていた遊び、五文字の言葉、七文字の 言葉、五文字の言葉を考えて、ごちゃ混ぜにして再構築するという遊び。 例えばこんな句が出来たりする。 「おかあさん 赤いニンジン 笑ったよ」 大部分はそんな無意味な句だけど、たまに 「お月様 自転車乗って お買い物」 なんてちょっといかした句も出来たりする。 僕はこの遊びに夢中になった。そして最初から面白い句を作りたくて、この 世界をよく観察しようと努力し始めた。すると不思議な事にそれまで暗く先の 見えない不安に満ちていたこの世界が、急に生き生きと輝いて見え出したの だ。同時に父親を亡くしてもやもやしていた気持ちも次第に薄れていった。 人は大きな悲しみや淋しさに陥ると、周りの事、いや自分自身にさえ興味を 失ってしまうようだ。その悲しみだけに捕われてしまう為に。でもそれは死んで いるのと同じだ。 生きているという事は、多分、あらゆる事に興味を持ち、新しい事を発見しよ うとする心の動きにあるのだろう。それは絵でも写真でも音楽でも何でも構わ ない。そして僕は文字なのだ。 川柳を作る事でそんな生き方を持続させていければいいなあと思っている。 |
「主役は誰?」 こゆる
★誕生日この日ばかりは主役なり.....
八つ当たりしたい相手はよく眠る....
花屋にて季節を教わる温暖化....
電車にはケータイの花咲き乱れ..
友思い煮詰めるジャムの愛おしさ.
「 初 冬 」 綾太郎
傘寿近し 親の背中が縮んでる
だぶついたズボンは淋し父いとし
耳元に木枯らしを聞き夢に入る
★暖かい話が恋しい時雨空
ほっぺったに紅葉色の風が吹く
「親父」 酒仙
いつまでも頼りにされる父でいる
離れてもいつも気になる息子たち
母親と親父の教え基となる
近寄ると飛んでくる猫 父の猫
★何もせず日向ぼっこの父でいい
「寒さにもめげずパーキンソンに
挑む老母を詠む」 モツ子
新しい下着はうれしリハビリへ
勝ちたくて身体も揺れずゲート場
★問う我に今日も元気と気をつかい
月曜日心が弾みデーサービス
![]() ・勝ちたくて身体も揺れずゲート場(モツ子) 「ゲート場」とは「ゲートボール場」のことでしょうか? そして、ゲート場とは一般に使われているのでしょうか? 字余りを避けるための工夫かと思いますが、分かりにくい 略語よりは字余りの方がいいと思います。略語は今の時代 は分かってもすぐに分からなくなりますので、避けましょう。 「ケータイ」も同じです。 また、「勝ちたくて」と「身体も揺れず」の関係がよく分かり ませんので、少し言葉を変えていただくと良いのですが・・。 |
「大きいモン」 桃華
パパママと芋掘りボクの大きいモン
★畑にはおもしろいものどさりある
転んでも痛くないモンすぐに立つ
赤ちゃんじゃないから僕は泣かないモン
あーんと口開けたら先生驚いた
「 早い冬 」 英人
振り向けば誰もいなくて 冬冬冬
夢という文字が浮かばぬあぶりだし
逆上がりできなくなってまだ生きる
みかんむく 手を出す人がいない家族
日に三度落ち込むときがあるこのごろ
僕の過去知っているもの処分する
日だまりが一気に恋しい今の僕
(感想文) ![]() ・誕生日この日ばかりは主役なり(こゆる) 英人 人間主役になれる機会は、なかなか少ないものである。 しかし、誕生日はどんな人にもやってきて、その時は主役です。 でも誕生日を忘れられている人も多い。作者はきちんと 誕生日を祝いをしてくれる人があり、幸せです。 その幸せを大切にしてください。 ・傘寿近し 親の背中が縮んでる(綾太郎) 桃華 80の声が届くとどことなく体調が悪くなり、見ていても 危なっかしい。でも生きていてくれるだけで嬉しいと思います。 綾太郎さんの親御さんを見つめる温かい目が共感を呼びます。 ・振り向けば誰もいなくて 冬冬冬(英人) 綾太郎 エネルギーがある時は、一人でも大丈夫。スッキリ、サバサバ! 落ち込んでいる時は、淋しいよ~、誰か声掛けて! その時の精神状態で感じ方が違う川柳です。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに川柳5句(程度)をメール(下記)で送付 してください。 2)テーマは自由ですが、タイトルと雅号をつけてください。 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 ![]() |