so006     (せんりゅうつれづれそう)
第6号(14年6月)

 菖 蒲 の 

(科目)アヤメ科    (花言葉)希望・メッセージ 

               地球の温暖化をひしひしと身に感じる最近の気候である。
               それでも梅雨はやってきた。アヤメも咲いた。 



「僕は1歳児(4)」  桃華

大らかな声が聞こえるママが来る
衝撃が走る 僕が転んでいた
蝶を追うアレアレッ空へ消えていく
僕だからあげれる元気受け取って
僕だけの時間に浸る遊園地

  

「ソフトボール観戦」   楽子
      中学校のころ野球に凝った時があり、
      久しぶりに野球(ソフト)を見に行きました。
      すっかり日に焼けました。

W杯初日はソフトに行くと決め
サッカーの激しさは嫌 ソフト見る
破綻した会社のチームから来た娘
久々のソフト二十歳の顔で見る
休日も会社のソフトを応援に

   「夏が来た」    瑞希

すだれ吊る夏という名の客迎え
夏椿 夫婦は無言の会話する
風鈴はあなたまかせの音色出し
雷が去って明日のこと考える
パッチワークに夏色の夢織り込んで

「七十歳の喜怒哀楽・3」  みいちゃん
 
94歳年に不足は無いが逝く
覚悟していても突然母は逝く
舅{ちち}と姑{はは}夫と父を看て五人
気が付けば私は既に七十越え
サア私気を取り直し生きて行こう


  「水たまり」   こゆる

 風向きを道しるべにしひとり旅

 雑踏を眺め時間と綾取りす

 地に着けば吸われて悲し雨しずく

 青空にアオを取られて白アジサイ

 水たまり落ちて地球のウラまでも


「 夢 」    酒仙

 期待した話がなくて乗り過ごす
 たてまえで呼んだばかりに足らぬ酒
 大根とくらべて哀し白いもの
 宝くじ当たるものと思って買う
 急がぬと言いつつ文字が本音吐く

 

「 日 々 U 」    綾太郎

草取りに励んだ後に来る希望
ドキドキと胸の奥うずく約束で
色気というほめことば嫌いです
スリッパに温もりがまだ少しある
明るめに髪染めて梅雨 友と会う


      

     ・明るめに髪染めて梅雨 友と会う
        (元句)明るめに髪染めてから友と会う
 
 元句の「染めてから」の「から」には7音にするくらいの意味
  しかない。「から」を「梅雨」に置き換えることによって、時期
  が特定され、うっとうしい梅雨だからせめて髪は明るめに染
  めて気分を高揚させて友に会おう、とかなり主張がはっきり
  してくる。わずか17音だけに1音も有効に使いたい。

 


               「 球 」 靖坊
 
               低い方へと転がり続けている
                 いつまでも同じ速さの平坦地  
            登り坂次第に弱くなる心
                    落ちこんでしまったのは黒い窪み
                 動き出す切っ掛けもなく石となる



「梅雨が駆けぬける」    英人

足音をしのばせ梅雨がやってくる
窓越しにひとり見る雨鬱近し
雨音が快く響き今日は躁
降り止まぬ雨に忍耐ためされる
梅雨に飽き人に疲れて聴くメロディ
好き好きと梅雨の晴れ間に打ち明ける
青空が胸に広がり明ける梅雨


    (感想文) 気ままに一言・・・ 
 
  ・たてまえで呼んだばかりに足らぬ酒(酒仙)     桃華
      
建前と本音、世の中なかなかうまくいきませんよね。
      苦虫をつぶしている作者の顔が浮かびます。
             
  ・風鈴はあなたまかせの音色出し(瑞希)      英人
      
風鈴は自発的に音を出すことはできない。風という他力に
     よって始めて快い音色を出すことができる。
      当たり前のことであるが「あなたまかせ」という着想が面白い。
      無責任と取れるかも知れないが、人生には時としてこうした
     ひょうひょうとした態度も必要である。

  


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