so003 (せんりゅうつれづれそう)
第3号(14年3月)
沈丁花の章
(科目)ジンチョウゲ科 (花言葉)優しさ・永遠
”沈丁花がどこからともなく匂ってきます。
川柳を始めてみようという人が今月号から何人も
参加されました。ここにも春がいっぱいです”
「 春 」 綾太郎
春寒くリストラを供に友がくる
ぽたぽたと早春に散る寒椿
春うらら湖面を分けて船がゆく
ちらちらとレースと踊る春の風
春風に遊んでゆけと声をかけ
雛祭り孫で実現過去の夢
一歩二歩未知へふみだす孫の足
「春が来た」 楽子 卒業の子らケータイと歩き出す 美しい春の日満ち足りてはいない フレームに魅かれた額を持て余す 君のいた証明 枕のへこみおる 春の夜等身大の影笑う |
「旅に出て」 酒仙
焼肉のにおいにつられ悔いがあり
呼ぶ声でたそがれを知る 妻が待つ
庭先をながめて寂し濡れ落ち葉
クラス会面影のこる声はずむ
友人の声が聞こえる旅の宿
「吉と出た」 瑞希
何いばるカタクリの花反って咲き
つくしの子伸びた先にある油断
五十路来て何やらせわし身の行方
おみくじは吉と出ました春近し
春の風花粉も夢も持参する
「孫といる」 博子
子供です小さなボールに奇声あげ
顔見えぬ仲間の体気にかかる
点数の良し悪し越えてみながいる
引き出しの捨てた貝殻孫拾う
折り紙を小さな指に教えられ
ランドセル孫に与えて夢つなぐ
「わたしの春」 靖坊
北風が春の訪れ告げて去る
外套を脱いでわたしの春を待つ
また春が来てよみがえる優しさと
ぬくもりを感じる腕の中の春
風も春 空も春 君の瞳も
「 3 月 」 こゆる 春色のシャツのせいなのおしゃべりは 菜の花が私の色に染まってる スバゲティ巻かれてみたい夜もある いたずらに風のしっぽを踏んでみる 潔さ白木蓮の白のように |
「僕は1歳児」 桃華
僕囲むワンワンニャンニャン友だちに
危ないといわれる方へ足が向く
僕のこと好き好き好きというけれど
困った顔大人はすぐにするんだね
ママまでの距離のなんと遠いこと
どう見てもバアよりママがいいですね
僕の手に最後のパンがいつまでも
「春の駅」 英人
停車する駅をみきわめ春が来る
平和かな子猫が遊ぶローカル線
沈丁花の匂う駅で降りてみん
旅立ちの人で溢れた駅で待つ
出会いと別れが同じ駅にある
今日もまた駅に生まれる物語
通過する春を眺めて五十路かな