(第2集)


 英人作品の整理を終えたので、続いて妻・幸智子の
「ちたの風」に掲載された句を整理し掲載していきます。
(199506=1995年6月号掲載)
                (平成16年10月16日)

そして、「ちたの風」通算260号の整理を終え、
1830句が掲載できました。
               (平成19年9月11日)


No 掲載月
1801 手紙には本音ちょっぴり洩れている 200107
1802 年齢とともに手抜きがうまくなり 200107
1803 手をあげて横断してるおばあちゃん 200107
1804 ほどほどにキュウリが採れるわが菜園 200107
1805 赤児抱く人間不信など消えて 200107
1806 早朝の畑で介護の話など 200107
1807 おはようと声かけてゆく小学生 200107
1808 チャンづけで話が続く同級生 200107
1809 10時55分モーニングコーヒー間に合った 200108
1810 去ってゆく二人はとてもいい感じ 200108
1811 途中まであなたについていったけど 200108
1812 途中下車 なんとも重い背の荷物 200108
1813 途中まで話し相手のいた旅路 200108
1814 にわか雨 あの人駅に着いたかな 200108
1815 体脂肪気になりながらケーキ買う 200108
No 掲載月
1816 穴空いた靴下履いていた夫 200108
1817 若い子がくるから今日は焼肉に 200109
1818 大事なときに夏風邪ひいて唸っている 200109
1819 咳が出る 人を不快にさせるほど 200109
1820 いい年になって涙は見せられず 200109
1821 ドライアイ わたし繊細なんですが 200109
1822 泥ついた野菜を運ぶ実家へと 200109
1823 にわか雨 コンビニまではあと少し 200109
1824 風鈴が立秋ですよと鳴り続け 200109
1825 幼子に癒されてゆくわが心 200110
1826 ばあちゃんに仕事を与え買い物に 200110
1827 どれ着てもすんなり似合う人がいる 200110
1828 似合うのはわたしよりも娘のほう 200110
1829 青空が似合う娘がやってきた 200110
1830 苦しさもわたしに与えられたこと 200110


No 掲載月
1751 片隅の小さな小さな死亡記事 200012
1752 新聞を丸めゴキブリ追っている 200012
1753 吠える犬にらんで今日も買い物に 200012
1754 橋渡るむかつくことの多い日に 200012
1755 風邪をひく一番先に風をひく 200012
1756 ライバルがいるから笑顔見せている 200101
1757 機嫌よくシャボン玉飛ぶ高く飛ぶ 200101
1758 澄んだ目で見られて困ること多し 200101
1759 こだわりを捨てたところに澄んだ空 200101
1760 透明な水に安心していいか 200101
1761 改札を通った後の忘れ物 200101
1762 裸木のてっぺんにある柿の色 200101
1763 曇天を歩いて介護者を思う 200101
1764 あしたにはよくなるだろう髪を梳く 200102
1765 働いていても遊んでいても腱鞘炎 200102
1766 先生はタッチが違うピアノ音 200102
1767 ゴミ出しの先生と会う朝の公園 200102
1768 先生がヨシというまで立っている 200102
1769 乱れぬよう髪と心は縛っておく 200102
1770 家が建つ農地がどんどんふさがれて 200102
1771 汚れもの多い日に出る雨予報 200103
1772 困っても助けの来ない時間帯 200103
1773 そっと出す疲れた後の梅干し茶 200103
1774 そっと戸が開いてバレンタインチョコ 200103
1775 春が来る 足音立てぬように来る 200103
No 掲載月
1776 うがいする明日は元気になるように 200103
1777 自由自在に足が崩せぬバスの席 200103
1778 孫が来るかわいいけれど超多忙 200104
1779 草を取るいらないものはすべて取る 200104
1780 楽しんでいますよ桜咲いたから 200104
1781 楽しいね楽しいねと咲くサクラ 200104
1782 なんとまあ外は楽しい声ばかり 200104
1783 春一番気持ち揺さぶるほどの風 200104
1784 袋からひとつ転げた青リンゴ 200104
1785 立ち寄った場所でうっかり愚痴を聞く 200104
1786 つつがなく生きてすっきり模様替え 200105
1787 芽吹くものすべて芽吹いて春が過ぎ 200105
1788 力入れわたしの腰を揉む夫 200105
1789 つい力入ってしまう草野球 200105
1790 引っ張れば引っ張り返す紅葉の手 200105
1791 見上げればやさしい顔になる 桜 200105
1792 青い空ドレミの歌がついこぼれ 200105
1793 腰痛を悔やんでいても鳴る電話 200105
1794 こいのぼり五月の空を泳ぎきる 200106
1795 新緑が眩しくなって風邪をひく 200106
1796 手作りのケーキを持ってお見舞いに 200106
1797 手料理で迎えてくれる友がいる 200106
1798 作りたいものがない日はカレーライス 200106
1799 新緑が溢れて人も溢れ出す 200106
1800 青空が迎えにきたよウォーキング 200106


No 掲載月
1701 アングルが定まらぬまま切るシャッター 200006
1702 何をしにきたのかカメラだけ持ち 200006
1703 思い出の写真はみんなピンぼけで 200006
1704 いらついているとき食事誘われる 200006
1705 熱が出る あしたはゴミの収集日 200006
1706 鮮やかな緑にカメラ負けている 200006
1707 健康をかみしめながらワラビ取り 200006
1708 とりあえずストレス捨てに栄まで 200007
1709 笑えないものを感じるその会話 200007
1710 形よい金魚を釣って帰路につく 200007
1711 ミス金魚 雨期に入ってなお元気 200007
1712 金魚たちぼくらを見つめ遊んでる 200007
1713 赤飯を炊きたくなった普通の日 200007
1714 バラバラの硬貨を集め買い物へ 200007
1715 梅雨晴れ間わたしの体よく動く 200007
1716 七月は草にも負けているわたし 200008
1717 枝豆を口に含んで酷暑へと 200008
1718 黒い雲わたしに向かいやってくる 200008
1719 雷雲がくる前にする農作業 200008
1720 飛行機雲わたしも旅に連れてって 200008
1721 あしたには赤く色づくミニトマト 200008
1722 今日もまた何もなかった一頁 200008
1723 波が引く姑の顔も穏やかに 200008
1724 禁煙席選んで座るディナータイム 200009
1725 外で焼くサンマの匂い父の匂い 200009
No 掲載月
1726 嫌なものみんな燃やして灰にする 200009
1727 もぎたてのトマトかじって健康に 200009
1728 体調を整え明日は再検査 200009
1729 遠花火 意地はすっかり消えている 200009
1730 通り雨 大事な服を濡らしただけ 200009
1731 肝心なときに眠たくなるドラマ 200009
1732 珈琲は口実 きみに逢いたいの 200010
1733 そのむかし通い続けた珈琲店 200010
1734 大きめの器で苦い珈琲を 200010
1735 落ち着かぬ一夜が明けてなお不通 200010
1736 いい年になっても怖い稲光 200010
1737 特急の後の普通で来る夫 200010
1738 無理をして帰ってきたのに風邪をひく 200010
1739 多忙だといっているのに鳴るチャイム 200010
1740 芋を掘る 七人家族目に浮かべ 200011
1741 あちこちへ知らせる 孫が生まれたよ 200011
1742 坂の上は柿がいっぱい夢いっぱい 200011
1743 収穫のリヤカー引いて坂登る 200011
1744 坂の上の雲がこんなに遠いとは 200011
1745 問題が解けないうちにバスがくる 200011
1746 すずなりの柿に見とれて遅刻する 200011
1747 十五夜を見ないでいった人の写真 200011
1748 悔しいが正しいことを言う夫 200012
1749 たこ焼きが口に広がるもみじ狩り 200012
1750 新聞を見ている活字が逆さまで 200012


No 掲載月
1651 路地裏で綿菓子買ったのも過去に 199911
1652 窓を拭く心くもらぬように拭く 199911
1653 ひとりいて睡眠薬が目にとまる 199911
1654 カーブミラー 私はまだまだ消えません 199911
1655 紅葉狩り帰ってきたらすでに冬 199912
1656 澄んだ空 友に押されて外に出る 199912
1657 湖を巡って脇へそれるバス 199912
1658 熟し柿 脇に置かれたまま冬へ 199912
1659 脇役は脇役 珈琲少し苦い 199912
1660 この位置で桜もみじ見て暮らし 199912
1661 もみじ散る苦しい過去を消すように 199912
1662 晩秋はもみじ弁当よく売れる 199912
1663 崩れやすい天気図 旅もままならず 200001
1664 美しくなるため切られゆく小枝 200001
1665 時間にはうるさい人が遅刻する 200001
1666 よく眠りよく働いた一週間 200001
1667 手に受けた瞬間消える淡い夢 200001
1668 血圧上昇ストレス上昇 でも家族 200001
1669 かけ違えたボタンを直す最初から 200001
1670 心配だったこの一年ももう終わる 200001
1671 賀状くる生きているぞと叫んでる 200002
1672 雑踏の中で背を押す人がいる 200002
1673 石仏どこから見ても温かい顔 200002
1674 躓いた石がこのごろ懐かしい 200002
1675 二千年になったよ 石を積み始め 200002
No 掲載月
1676 乗り換えた電車 居心地よさそうだ 200002
1677 日曜の午後になって風邪をひく 200002
1678 好きですよ 毎日通る道だけど 200003
1679 春はもうすぐ恋ももうすぐ蕗の薹 200003
1680 厳しさをまるごと包む冬の海 200003
1681 遠くから見ているほうがいい海だ 200003
1682 穏やかな海見て穏やかに介護 200003
1683 大特価老母が好きなすしを買う 200003
1684 逆らったときから流れ崩れだし 200003
1685 よりによって雪降る朝がゴミ出し日 200003
1686 たいていのことは笑って済ませてる 200004
1687 汚れてる部屋の掃除は後回し 200004
1688 手放せず倉庫に眠っている絵本 200004
1689 ふる里は絵本にしたくなる風景 200004
1690 絵本閉じもうすぐママになる娘 200004
1691 春一番 うまいみそ汁飲んでいる 200004
1692 若菜摘む平凡な日々ありがとう 200004
1693 小さい順に今の悩みを書いてみる 200005
1694 髪洗うだあれもいない日曜日 200005
1695 押されたら押し返してる満員車 200005
1696 決心がついたときだけ印を押す 200005
1697 背中を押す手はひとつある 強烈だ 200005
1698 当然のように食べてる目玉焼き 200005
1699 花曇り 先行く友を追っている 200005
1700 万歩計つけて出たのにどしゃ降りに 200005


No 掲載月
1601 すぐ傍で転んだ人を見てしまう 199905
1602 春雷ややっと眠った子を起こし 199905
1603 まるで夢を見ているようなスクリーン 199905
1604 カーネーションいっぱい届くこれは夢 199905
1605 コンビニでおにぎり買って夢買って 199905
1606 目に青葉 これからすることされること 199905
1607 葉桜になっても愛される大樹 199905
1608 生きたいと思って薬飲んでいる 199906
1609 幸せですか幸せですよ少しだけ 199906
1610 本もテレビも退屈なひとりの夜 199906
1611 夜が明ける鳥もわたしも動きだし 199906
1612 雷鳴も夜明けまでには去るだろう 199906
1613 どの坂も苦手になってきたシューズ 199906
1614 ちょっぴりと塩を入れればうまい味 199906
1615 旅人が見れば絵になる私生活 199906
1616 ゆるい坂白い帽子もゆっくりと 199907
1617 蝶が来る農薬ついたキャベツ畑 199907
1618 きょうも雨 ついつい電話長くなり 199907
1619 午後からは雨 歯医者へ行く時間 199907
1620 楽しそうに走るあなたと二輪車よ 199907
1621 楽な姿勢すぐしてしまう客の前 199907
1622 気が楽になったよさくら切ってから 199907
1623 こうなってよかったと思う日は間近 199907
1624 原因がわたしにあったなんて夢 199907
1625 打ち水をしている盛夏すぐそこに 199908
No 掲載句
1626 後から声をかけてくるセールスマン 199908
1627 輪になって学ぶお年よりの知恵 199908
1628 バラバラの家族 いつしか輪になって 199908
1629 輪の中にいると健康感じます 199908
1630 雲行きが怪しくなってソバすする 199908
1631 寄りかかる老木もまた淋しそう 199908
1632 多少のことは風が飛ばしてくれますよ 199909
1633 私の夢の抜け殻せみの抜け殻 199909
1634 類焼を招かぬように柵作る 199909
1635 肉類が少なくなった夕ごはん 199909
1636 熱帯夜 数種のワイン飲み比べ 199909
1637 朝の五時 ため息つかず起きましょう 199909
1638 ため息は木陰に潜みひっそりと 199909
1639 誕生日 夫がケーキ買ってくる 199909
1640 過ぎてみればこんなことかと笑いあい 199909
1641 夏休み人に疲れて帰宅する 199909
1642 どの家も楽しそうだねコスモス満開 199910
1643 財布にしまってある若い日の写真 199910
1644 連日雨 土も心もゆるみがち 199910
1645 三連休 畑仕事が待っている 199910
1646 デパートで連呼されてるわたしの名 199910
1647 全員が集まった日に炊く栗ごはん 199910
1648 ごろごろと生きているのに爪伸びる 199911
1649 バス停へ急ぐ自転車パンクする 199911
1650 万歩計 路地から路地を通り抜け 199911


No 掲載月
1551 どうしても思い出せない忘れ物 199811
1552 やっと晴れ 待ってましたと乳母車 199811
1553 窓を拭くもうすぐやってくるお客 199811
1554 待ち時間少なくなった町医者へ 199811
1555 注意していても失敗だらけの手 199811
1556 錆び付いた鍋を磨いて明日こそは晴れ 199811
1557 満月を遮る雲の長い群れ 199811
1558 満月やあしたも続くこの暮らし 199811
1559 青い海 雑音すべて拭い去り 199812
1560 忙しいところへやってくる仕事 199812
1561 悲しみは届かぬ場所でなるみかん 199812
1562 なにがあっても食後のみかん忘れない 199812
1563 みかん狩り眩しいくらい広い空 199812
1564 気づかないうちに山茶花咲いている 199812
1565 その朝はいつも通りに拭き掃除 199812
1566 一番でかい星がわが家に落ちてきた 199812
1567 落ち葉踏む病弱気味の人と踏む 199901
1568 髪を切る午後から友がくる予定 199901
1569 向かい風 娘の家は少し先 199901
1570 冗談に強く向かってくる少年 199901
1571 雨の町へと向かう電車に乗っている 199901
1572 虹が出る逃がさぬように撮る写真 199901
1573 よく働いた換気扇を洗っている 199901
1574 終い風呂 自由に手足伸ばしており 199901
1575 木枯らしに吹かれてはいるビルの中 199901
No 掲載月
1576 ヒーターが壊れ喫茶店へと急ぎ 199901
1577 落ち葉掃く いつか私もこの落ち葉 199902
1578 雪一色すべてが隠れ私も隠れ 199902
1579 芽を出した途端さらっていくからす 199902
1580 芽が出たとFAXがくる 絵をつけて 199902
1581 雪の下になってしまった小さな芽 199902
1582 ぶるぶると雪ぶるぶると熱 一月は 199902
1583 雪が降る今日はブランコはお休み 199902
1584 なにくわぬ顔して過ごす三百六十五日 199902
1585 ちり・ほこり いっぱい吸って風邪をひく 199903
1586 天井のシミがわたしの顔に見え 199903
1587 森へ向かって仲良く歩く乳母車 199903
1588 なんだかんだと言いながら森抜ける 199903
1589 きみの森わたしの森も雪が降り 199903
1590 気持ちとは正反対の言葉出し 199903
1591 シナリオのとおりにいかぬわが暮らし 199903
1592 森を出たところで待っている介護 199903
1593 美しく咲いてもゴミになるさくら 199904
1594 闘いに敗れた後に飲む珈琲 199904
1595 無防備なわたし 山へは入れない 199904
1596 厳しさは山に入ってから分かり 199904
1597 山へ行く日の帽子決めてある 199904
1598 泥つきの大根うまい匂いする 199904
1599 好人物と言われその枠抜け出せず 199904
1600 分別されてわたしはどちら側 199905


No 掲載月
1501 猫舌の私に届くお茶がある 199804
1502 青信号 後で急かすことばかり 199804
1503 眠っているわたしの顔に散る桜 199804
1504 玉子焼きどうにかうまく焼けた朝 199804
1505 吠えられてばかりますます犬嫌い 199804
1506 どの犬も桜が好きで駆け回り 199804
1507 変換キー押しても変わらぬこの暮らし 199805
1508 お隣の芝生が青く見える日だ 199805
1509 私が老いたら燃やすだろこのノート 199805
1510 人の名を忘れぬように書きとめる 199805
1511 農業の記録残し逝った父 199805
1512 調子よく渡った橋も老朽化 199805
1513 葉桜になってからの長い沈黙 199805
1514 有効期限切れて壊れるものばかり 199805
1515 めがね拭くまだまだ長いおつきあい 199807
1516 声がする音が響くなつかしい町だ 199807
1517 とても自然に波が引く波が来る 199807
1518 近すぎて波の引くのが分からない 199807
1519 引き算をするより足して考える 199807
1520 肉じゃがのうまい季節に生きている 199807
1521 バックミラー青い空も写っている 199807
1522 大の字で眠る ものすごい幸せ 199808
1523 万歩計いつも足りない満足度 199808
1524 炎天下にふわりと落ちてきた布団 199808
1525 ふわり夏 いいこともやってくる 199808
No 掲載月
1526 紙風船離れるときの広い空 199808
1527 散水や 時間が止まるおもしろさ 199808
1528 とりたてのトマトの匂い地の匂い 199808
1529 流されてきたのにここで遮られ 199808
1530 緊張して投票用紙に書く名前 199808
1531 選挙日を忘れてしまう多忙にて 199808
1532 虫食いの葉っぱ見てから消毒し 199809
1533 屋上から見ればどなたも丸い顔 199809
1534 大変だねと言われて困るその返事 199809
1535 遠花火 いまだ返事のこない人 199809
1536 遅れまいと走って返事出しに行く 199809
1537 遠花火 ゴールはずっとずっと先 199809
1538 まつりだよ金魚すくいの手が震え 199809
1539 生家への途中で出会うにわか雨 199809
1540 観覧車 ところによって秋深む 199810
1541 行列に並んでサービス品貰う 199810
1542 病む人のほのかな笑い胸に沁み 199810
1543 椀の中 母の匂いも入っている 199810
1544 罪ですか ほのかな火種持ち歩く 199810
1545 眠ったふりしているうちに抜ける風 199810
1546 友だちと話した後に出る勇気 199810
1547 鈍行の旅していると母が病む 199810
1548 鳩が舞う 空がこんなに高いとは 199810
1549 大きな雲が空を覆ってわが家まで 199810
1550 私のまわりにできた水たまり 199811


No 掲載月
1451 FAXが届く また台風ですよ 199710
1452 台風と遊んで揺れるブランコよ 199710
1453 喧噪の中で大きく実った柿 199711
1454 友だちが友だちを呼ぶもみじ狩り 199711
1455 ダイレクトメールでもいい手紙が欲しい 199711
1456 投函を迷う手紙が手の中に 199711
1457 紅葉が始まったよという手紙 199711
1458 かくれんぼ だれも探してくれないよ 199711
1459 痛いところつつかれ雨が降りだした 199711
1460 まだほんの登り始めの縄梯子 199711
1461 喜びは両手いっぱい持ち帰る 199712
1462 泥の川に棲んでるカモの穏やかさ 199712
1463 めざましがいくつも鳴って朝となる 199712
1464 時計はめて心の準備さあできた 199712
1465 眠くなるころに鳴りだす鳩時計 199712
1466 峠から見れば笑ってしまうこと 199712
1467 落ち葉踏む二本の足は愉しそう 199712
1468 蒼天や 竿売りの声がよく透る 199712
1469 傍らをかすめていったのは風か 199712
1470 蝿一匹に踊らされて日が暮れて 199712
1471 片目つぶって歩いていこう寒い街 199801
1472 躓くとみんな視線がこちら向く 199801
1473 電話取る風邪を引くなと母の声 199801
1474 情けない 叩くこの手も痛かった 199801
1475 同上のこもった言葉路傍にも 199801
No 掲載月
1476 校門を出てから風が強くなり 199801
1477 まだ若いもう若くない五十肩 199801
1478 白椿 色をなくして散りにけり 199801
1479 記念日のワイングラスが笑っている 199801
1480 乾杯のグラスこわれることもある 199801
1481 記念日を迎える前に髪を切る 199802
1482 届きそうな位置に飾ってある名画 199802
1483 外は雨 日記の中も雨模様 199802
1484 青空がなかった 日記閉じたまま 199802
1485 人間に還って日記書いている 199802
1486 初春やどこも高めの声響き 199802
1487 やわらかい日差しと遊んでいる雀 199802
1488 厳冬下 つぼみを見つけやさしくなる 199802
1489 ポケベルが知らせてくれるやがて雨 199802
1490 やがて雨 新しい傘準備する 199802
1491 脱衣場 右も左も人臭し 199803
1492 膝小僧抱いた姿も相似形 199803
1493 街が濡れいよいよ赤くなるポスト 199803
1494 哀しいね濡れて届いた宅急便 199803
1495 ゆるゆると歩くこれから下り坂 199803
1496 オーイ海 ここが私定位置よ 199803
1497 ともかくも愚痴は言わずに橋渡る 199804
1498 分かってよなんて図々しい悩み 199804
1499 遊んでいるかいじめているか猫の声 199804
1500 のっそりと野をゆく猫も肥満体 199804


No 掲載月
1401 清流と言われた川へ来てみたが 199705
1402 澄みきった空からゴミが落ちてくる 199705
1403 空は澄んでいる一駅歩きましょ 199705
1404 ブランコを揺らし空間ひとり占め 199705
1405 ゆるやかな坂で昼寝をしてしまう 199705
1406 横向いた途端に破裂した風船 199705
1407 新茶一服 一年がもう過ぎて 199706
1408 ポケットの中で踊っているハガキ 199706
1409 言い訳をじっくり聞いている先生 199706
1410 先生もとなりに入れる赤い傘 199706
1411 先生を真ん中にして撮る写真 199706
1412 バス降りる家よりもっといい所 199706
1413 天気図を眺めて予定表作る 199706
1414 みんな喜ぶと思った五月の風 199706
1415 お隣の人へ知らせる 雨ですよ 199706
1416 辛抱強くバス待つ雨の日曜日 199706
1417 梅雨晴れ間忙しそうに鳥が啼く 199707
1418 髪洗う訪れる人いない午後 199707
1419 右側を歩いていても怪我をする 199707
1420 外側はきれいに見せる家その他 199707
1421 両側にリボンをつけて駆けてくる 199707
1422 自然に身を任せばこころ軽くなり 199707
1423 石段が無限に続く雨さんさ 199707
1424 線路伝いに種こぼして帰るなり 199708
1425 好きな絵を見に行く好きな時間帯 199708
No 掲載月
1426 その朝は霧が漂いだしただけ 199708
1427 漂っていると分からぬ現在地 199708
1428 塵・芥漂う川が生活圏 199708
1429 明日は雨 今日しかできぬことをする 199708
1430 あなたより前に出そうと小走りに 199708
1431 前線停滞 明るい色の服を着る 199708
1432 検診が終わり珈琲やっと飲め 199708
1433 七月は誕生月で夢が湧く 199708
1434 次に来るものを待ってる停留所 199709
1435 鐘が鳴る私はここにおりますよ 199709
1436 父逝きて九年目になり青い空 199709
1437 父の手を思い出そうと墓参り 199709
1438 父の杖新しいまま傘立てに 199709
1439 いつ来てもふる里はいい母がいる 199709
1440 これからのことを思うと頭痛する 199709
1441 この先の渋滞知らず走り出す 199709
1442 不安がる心がいつも身のうちに 199709
1443 不安消すようにテレビを大きめに 199709
1444 馬鹿だねえと本音を出し合う友といる 199710
1445 アイロンをかけて娘を送り出す 199710
1446 包み込む器小さくごめんなさい 199710
1447 丁寧に包みをほどく指の先 199710
1448 霧に包まれ君の姿が見えなくなり 199710
1449 背負いきれぬものを背負わせ秋に入る 199710
1450 人間を見に行く次の懇談会 199710


No 掲載月
1351 坂道のほどよい位置にあるベンチ 199612
1352 砂の城壊れることは分かっている 199612
1353 里の方からやってくる鰯雲 199612
1354 雲を抜け未来へ向かう渡り鳥 199612
1355 明日まで雲が多いという予報 199612
1356 こんなにも犬が増えだし平和かな 199612
1357 子犬と遊ぶ少年の高い声 199612
1358 背中から生まれるものの多いこと 199612
1359 片耳が噂ばかりを追いかける 199612
1360 少し夢欲しくて美術館へ行く 199612
1361 朝市に出かける生きている匂い 199701
1362 どの窓も朝日を通すありがとう 199701
1363 木々騒ぐ これから雪になるらしい 199701
1364 そのうちに終わりになるよ 何もかも 199701
1365 黒髪のあたりで春を感じている 199701
1366 手をつなぐ皆暖かくなりたくて 199701
1367 遠景を見つめていると揺れる足 199701
1368 街路樹に雪降るわたしの心にも 199702
1369 これ以上変わりようのない笑顔 199702
1370 父の声がおぼろになっていく月日 199702
1371 歓声の上がったあたり春が来る 199702
1372 駅前で人の声聞くおもしろさ 199702
1373 普通に生き普通に人を好きになり 199702
1374 大切な時間になると雨が降る 199702
1375 境界のない山があり川があり 199702
No 掲載月
1376 動きの悪い手足だ電池入れようか 199702
1377 わたくしと同じで時計電池切れ 199702
1378 よく走る自転車買って春の中 199703
1379 胃薬を飲んで娘の試食する 199703
1380 花便り誘い出したい人に出す 199703
1381 新しい店が私を誘っている 199703
1382 誘い合う声おおらかに凍てつく日 199703
1383 後から続く人にも橋を架け 199703
1384 自分から扉を開ける春になり 199703
1385 白銀の世界 童話が埋まっている 199703
1386 菜の花畑で転んでうまい空気吸い 199703
1387 新しい靴が出揃う駅のホーム 199703
1388 危なげに巣箱飛び出す鳥一羽 199704
1389 背伸びして手に当たるものみな愛し 199704
1390 大自然バックに撮ってくださいな 199704
1391 SLが走る自然の中にいる 199704
1392 まだ時間があるから掴み取る自然 199704
1393 善くも悪くも川下へ落ちる水 199704
1394 記憶欠如 再生ボタンを押しまくり 199704
1395 ガス臭い臭いしている地球だな 199704
1396 嬉しそうにさえずる声の方へゆく 199704
1397 さえずりをみっつも聞けば眠れそう 199704
1398 さえずっていれば探してくれるかな 199704
1399 シャボン玉のぼりつめたる場所で消え 199705
1400 農村にサイレンが鳴るけたたましく 199705


No 掲載月
1301 泳ぐのが未来なんだと鯉のぼり 199605
1302 花冷えの道に歌声響くなり 199605
1303 花冷えに犬と散歩した遊歩道 199605
1304 夕焼けに仲良く染まる父と母 199606
1305 悲しい記事避けて朝刊読んでいる 199606
1306 生きるとは五月に菖蒲咲くように 199606
1307 どこまでを生きればいいのか雲に問う 199606
1308 美しい海見たいから生き続け 199606
1309 肩叩く風は善意と受け止める 199606
1310 鯉のぼり見える町まで鈍行で 199606
1311 せいいっぱい泳がんとする鯉のぼり 199606
1312 雨覗く窓はいつでも淋しそう 199607
1313 雨の向こうで待つ人がいるバス走る 199607
1314 こんにちは記念樹植えた帰りです 199607
1315 植木鉢並べて後を考えず 199607
1316 一日で田植えが終わり笑顔出る 199607
1317 六月は笑って雨に打たれよう 199607
1318 六月を走り通した路線バス 199607
1319 六月は雨を見ている老母なり 199607
1320 晴天続きわたしの海も静かなり 199607
1321 晴れた日は少し靴が軽くなる 199607
1322 悲しみに慣れると強くなる人間 199608
1323 ひまわりの陰でゆっくり昼寝など 199608
1324 ひとつずつ煙突が消えて広い空 199608
1325 目印の煙突光るふるさとよ 199608
No 掲載月
1326 煙突が昔はいちばん高かった 199608
1327 なんどでもやり直せると橋渡る 199608
1328 シャワ−全開 厳しい言葉消えている 199608
1329 風鈴が鳴り出し汗も心地よい 199608
1330 ゆるい坂あふれる汗と仲良しに 199608
1331 立秋や静かに揺れる耳飾り 199609
1332 臭わない程度にラップする話し 199609
1333 夢を追う夢のひとつに君がいる 199609
1334 わたくしを追わなくなった二羽の蝶 199609
1335 追うものはひとつに決めて靴を履く 199609
1336 安全な場所で見ているキリギリス 199609
1337 夏便り会いたいだけと書いてあり 199609
1338 手拍子が聞こえる池の淵歩き 199609
1339 ほどほどに許してやろう胡瓜切る 199609
1340 お盆だよ わが家で獲れた西瓜だよ 199609
1341 我慢して何も言わない秋の月 199611
1342 美しい顔があふれる朝の駅 199611
1343 顔の傷にも無頓着な石地蔵 199611
1344 切り傷も三日過ぎれば普通に戻り 199611
1345 一筆啓上 傷はもう治ったかい 199611
1346 紅葉に埋もれる日まであとわずか 199611
1347 鮮やかな街を臨みに登るタワー 199611
1348 足許をじっくり見れば揺れている 199611
1349 各駅停車 私の夢はなお続き 199611
1350 名月や読みたい本がどさりある 199611


No 掲載月
1251 燃える火をひとつふたつと消して旅 199512
1252 落ち葉踏む燃え立つ情念消すように 199512
1253 燃えさかる日もあったのに銀杏散る 199512
1254 色のよい落ち葉しおりにしてしまい 199512
1255 その瞬間みな愉しませる散る紅葉 199512
1256 折れないと掴んだ枝がもうたわみ 199512
1257 微笑みに勝ものなし母が往く 199512
1258 秋の雨冷たくもあり悲しくもあり 199512
1259 朝が来るただそれだけで嬉しい日 199601
1260 木枯らしや友だちの子が嫁にゆく 199601
1261 半日はやさしい顔でいる二人 199601
1262 転んでもどこかで光る優しい目 199601
1263 優しい声にすぐに飛びつく犬を飼う 199601
1264 縄跳びして明日からのこと考える 199601
1265 投げ捨てたタバコも石も罪つくり 199601
1266 失敗だらけの一日だった淡い月 199601
1267 犬歩く弱い人間引きずって 199601
1268 歩いて歩いて悪人もいる面白さ 199601
1269 避けられぬボールは素手で打ち返す 199602
1270 満員車まもなく雪の降るニュース 199602
1271 前うしろ私も拒む雪降りぬ 199602
1272 雪道はことさらエール欲しくなり 199602
1273 面白がって雪と遊んで日が暮れて 199602
1274 かけがえのない人がいる 青い空 199602
1275 先回りしたのにそこは雪だった 199602
No 掲載月
1276 帰り着く港に今日も優しい灯 199602
1277 諦めた後から扉開きます 199603
1278 春のバス乗り込む人も明るいね 199603
1279 読書する日向がひとつある家で 199603
1280 読むほどに信憑性があるルーツ 199603
1281 詩集読むこころが若くなるように 199603
1282 淋しい日には淋しいように打つ時計 199603
1283 ひとりずつ加わってくる春のブランコ 199603
1284 ごめんなさいここは他人の歩いた跡 199603
1285 始まりは他人のような顔でいる 199603
1286 散るまでは楽しませるというサクラ 199604
1287 戦いに疲れた人が見るさくら 199604
1288 首輪はずして自由な空気吸っている 199604
1289 さくらさくら輪になる人の多い街 199604
1290 水面に輪を描くひとりひとりかな 199604
1291 生涯を働きつづけ散るサクラ 199604
1292 硝子拭くきっといいことあるよ 明日 199604
1293 タンポポの愉快な旅が始まるよ 199604
1294 タンポポのあるところまで散歩する 199604
1295 空よ雲よ 私はここで生きている 199605
1296 殺意まだ残っています白い錠剤 199605
1297 相手からもらう言葉の多いこと 199605
1298 手に掬う水も相手も温かい 199605
1299 旅の相手に分厚い本を買い漁り 199605
1300 葉桜や君を見ている人がいる 199605


No 掲載月
1201 砂時計苦い思いはこれっきり 199506
1202 君の夢背後で出番待っている 199506
1203 新緑を透かしたくなるスリガラス 199506
1204 回り回って我が家に着いた五月晴れ 199506
1205 五月晴れ水面に放つ薬びん 199506
1206 背負った石 他人に転嫁したくなり 199507
1207 濡れ落ち葉どちら向いても嫌われる 199507
1208 どこまでも空っぽのまま蛍かご 199507
1209 老木のあたりで蛍なお光り 199507
1210 蛍舞うしばしあなたを忘れおり 199507
1211 梅雨入りや頭痛腹痛みなもらい 199507
1212 雨いっぱい器に受けてラララララ 199507
1213 なんでもないものまで逃げる下り坂 199507
1214 その先を見つめないから転んでいる 199507
1215 カーブミラー現れるもの待っている 199508
1216 森へ行きたがる二十三センチの靴 199508
1217 この先を曲がってみれば分かること 199508
1218 曲がろうと思ったところ道祖神 199508
1219 ここもまた曲がり損ねた黄信号 199508
1220 かたつむり木のてっぺんで雨に逢う 199508
1221 静脈へ針をさす 生きるとは悲し 199508
1222 ねむの木の下はやさしい風通り 199508
1223 オルゴール開けると潮が満ちてくる 199509
1224 君の目の高さでわたし見ないでよ 199509
1225 包丁を磨いて次の準備する 199509
No 掲載月
1226 磨いても歴史は消えぬ鍋の底 199509
1227 茶器磨くふたりで買った日が薄れ 199509
1228 十指から零れる水の多いこと 199509
1229 靴音を殺して帰るシンデレラ 199509
1230 泣いてしまうと確実になる人の死よ 199509
1231 ちぎれ雲ひとりというは淡泊だ 199510
1232 何が出てくるか分からぬチャイム押す 199510
1233 結ぶ手がときどき怖くなってくる 199510
1234 結び目がほどけ名月よく見える 199510
1235 元気だと結ぶいつもの葉書くる 199510
1236 秋の旅 風や人にも逢いたくて 199510
1237 あなたから先に追い出し旅に出る 199510
1238 他人の中で精一杯の祭りだよ 199510
1239 君のため珈琲入れるよい時間 199510
1240 ひとまわり回った街で帽子脱ぐ 199510
1241 秋刀魚焼く秋刀魚の煙恋しくて 199511
1242 平熱や今日も電話のない暮らし 199511
1243 片目つぶれば許せることが多くなり 199511
1244 やっといま娘が作る目玉焼き 199511
1245 怖いもの見たさに薄目開けている 199511
1246 思い違いをしてる間は楽しかり 199511
1247 不揃いな里芋煮えてますます秋 199511
1248 寄りかかるほどに重たくなる痛み 199511
1249 砂時計 咳する時間くださいな 199512
1250 滝の下大事なものも落ちてくる 199512


No 掲載月
1151 根の深さ気にしてないと言えるかな 199501
1152 どこまでも根を引きずっている家だ 199501
1153 時計鳴る未来がずっとあるように 199501
1154 戻るのが難しい橋がそこにあり 199501
1155 大の字になって覗いた空は青い 199501
1156 星座並んでいつものようなお正月 199502
1157 雪が舞うみんな寂しそうに舞う 199502
1158 あれやこれやあってお終いに買うノート 199502
1159 寝不足が続きノートは真っ白で 199502
1160 父のノート遺品となって仏壇に 199502
1161 千羽鶴取り残されたままに雪 199502
1162 鶴が飛ぶシャッターチャンス逃さない 199502
1163 石ころを蹴ってこころを軽くする 199502
1164 ここで手を離そう空が青いから 199502
1165 その角を曲がるばかりの乳母車 199502
1166 なんでもないと言っては石を蹴る少年 199503
1167 星空とおしゃべりスニーカーは弾む 199503
1168 初期作品恥ずかしそうに風に舞い 199503
1169 一日の始めに運勢欄覗く 199503
1170 初めからあげるつもりの玉手箱 199503
1171 透明になりたい春に染まりたい 199415
1172 早春のはがきの色も鮮やかで 199415
1173 つなぐ手に温もりが来るかごめかごめ 199415
1174 がんばれと昨日も今日も風が言う 199415
1175 雨降れば雨の神戸を思うなり 199415
No 掲載月
1176 春を吸いに手押し車の母と往く 199504
1177 いのち溢れる匂いする春となる 199504
1178 水底に響くようにと歌う春 199504
1179 鐘響き祈りのポーズしてしまい 199504
1180 ソプラノが響く 事件はどの辺り 199504
1181 さくらさくら生きてることはおもしろい 199504
1182 さくらまで待てず友とはさようなら 199504
1183 前向きに歩けば出会う春の風 199504
1184 朝だ朝だと騒ぎ出すのは男だよ 199504
1185 お点前を拝見 春はゆるり来る 199504
1186 リターンキー押しても迷路続くだけ 199505
1187 地下鉄を出るときほっとしてしまう 199505
1188 父も踏んだ長い病室への廊下 199505
1189 四十七の敷石踏んできたのだが 199505
1190 踏み切った位置が違っていたふたり 199505
1191 れんげ田へ来るとバスまでよく揺れる 199505
1192 地の果てまで行くのかブランコ揺れすぎる 199505
1193 この雲が過ぎれば青い青い空 199505
1194 桜散っても後ろに続く花いっぱい 199505
1195 蛇口から水出る朝のさわやかさ 199505
1196 どしゃ降りよ水より重い傷がある 199506
1197 流されるたびに命の重み知る 199506
1198 長らえて真紅が消えたシクラメン 199506
1199 紅の下駄祭りのあとに父いない 199506
1200 紅だすき茶摘みの人の軽い汗 199506


No 掲載月
1101 揺れ動くこころを笑う風ばかり 199407
1102 揺れているブランコ 少年いないまま 199407
1103 太陽の真下にひとりひとりかな 199407
1104 噴水は十年前の色で咲き 199407
1105 反射鏡明るくなった友がいる 199408
1106 ホタル舞う育った家がなつかしい 199408
1107 約束をいっぱい書いてくる手紙 199408
1108 手紙覗けばあなたが分かる蝉が鳴く 199408
1109 手紙書き終え投函までの長い時間 199408
1110 稜線を正面に置き昼食を 199408
1111 鳩もまたお昼になると降りてくる 199408
1112 炎昼にひまわり 強い意思で咲き 199408
1113 角を曲がれば生家がいつも待っている 199408
1114 風見えるあなたと私病んだ日に 199408
1115 八十の人も私も坂登る 199409
1116 好きな音立てて珈琲胃を流れ 199409
1117 地図にないトンネル越えて未来へと 199409
1118 トンネルにすっぽり消えていく列車 199409
1119 トンネルをくぐってまたも胸騒ぎ 199409
1120 突然に命が果てた人よ虫よ 199409
1121 パワーを拾いに展望台へ登りきる 199410
1122 目印がなんにも書いていない地図も 199410
1123 こんなにも空が青いなんてと涙 199410
1124 喜怒哀楽 涙はなんと忙しい 199410
1125 偏頭痛涙をこらえたあたりから 199410
No 掲載月
1126 秋雨やこれから転ぶ水たまり 199410
1127 秋の雨ブランコ出番ないままに 199410
1128 新しい扉を開ける訪問者 199410
1129 ときめいた虹を見ている同じ場所 199410
1130 青空に消えゆくツバメ追うツバメ 199410
1131 何年も月といっしょに旅してる 199411
1132 もつれた糸がほどけ出すころカレー煮え 199411
1133 FAXで人間が来る二千年 199411
1134 サイドミラーあなたやっぱり善人よ 199411
1135 ふるさとににんげんのかおおいてある 199411
1136 月の出を待つ楽しさを知っている 199411
1137 幸せが隣のあったとは不覚 199411
1138 忘れてしまえば淋しくないと友が去り 199411
1139 大根の白さに慣れる目が怖い 199412
1140 湯船にはまことの話落ちている 199412
1141 追い抜けるほどの間隔保つ父 199412
1142 抜き取った奥歯甦らぬ夢に 199412
1143 追い抜いた人が向こうで転んでいる 199412
1144 逆らった言葉は母を通り抜け 199412
1145 悲しいよ言葉足らずで去った友 199412
1146 紅葉に染まりやさしき野の仏 199412
1147 姑に似てきた藁の束ね方 199412
1148 寄り添えば寄り添うほどに軋む肩 199501
1149 まばたきをしても過ぎていく時間 199501
1150 球根を買う楽しみがある暮らし 199501


No 掲載月
1051 写真から歴史と夢が匂い立ち 199401
1052 昨日よりうまい玉子を焼いている 199401
1053 白い部屋ときにやさしい嘘をつく 199401
1054 背広から辞職願がポトリ落ち 199401
1055 各駅停車 友だち一人ずつ増えて 199402
1056 演歌流れるふる里志向強くなり 199402
1057 優勝を逃して嬉しそうな顔 199402
1058 駅伝を見ている私走っている 199402
1059 ジョギングのコースで春の声を聞く 199402
1060 ぱさりぱさり髪を切っては生きのびる 199402
1061 哀しみに半分蓋をして眠り 199402
1062 石投げる誰に当たるとも知らず 199402
1063 午後の風 寂しがり屋でノックする 199403
1064 雪の一歩を母はためらいがちに出す 199403
1065 先生の背後で開くしだれ梅 199403
1066 先生の楽しい酒を見てしまう 199403
1067 誰も彼も明るい春と言うけれど 199403
1068 JR 明るい客を押し込める 199403
1069 街は雪 性善説を信じ合う 199403
1070 樹の陰で待っているのは春の音 199403
1071 昼のドラマやさしい電話したくなり 199404
1072 思い違いを笑ってすます日はいいが 199404
1073 夕焼け空 久しくしない鬼ごっこ 199404
1074 迷路かな空が一面曇っている 199404
1075 地を這って伸びる蔓にも負けている 199404
No 掲載月
1076 地球儀を回して宇宙旅行かな 199404
1077 屋上へすぐ逃げたがる影法師 199404
1078 弱い足 弱いこころと同居して 199404
1079 言うことを聞かない壁が高くあり 199405
1080 人間の臭いで埋まる桜道 199405
1081 草の名をひとつ覚えて楽しかり 199405
1082 シャッターチャンス楽しみひとつずつ拾い 199405
1083 老若男女が楽しんでいる桜の下 199405
1084 歩いてもふり返っても来るこだま 199405
1085 吠える犬ワタシ善人ですけれど 199405
1086 外は雨 目玉焼きでも作ろうか 199405
1087 岩登る確かな未来掴みたく 199406
1088 登頂成功あたしも揺らすブランコで 199406
1089 交差点近づく人と遠のく人 199406
1090 迷路だよ近くで風が鳴るばかり 199406
1091 惜別や川が近くを流れている 199406
1092 木曜日に友だちふたり増えている 199406
1093 木曜日は波長が狂う心電図 199406
1094 健康な笑いの中にるピエロ 199406
1095 風船が逃げる孤独の両手から 199406
1096 果たせない約束ばかり手に残り 199407
1097 失うものの多さに舌がもつれるよ 199407
1098 転がってしまえば土は温かいもの 199407
1099 ひとつ生まれた秘密に土を覆っている 199407
1100 土手に虹 嫁も姑も腰伸ばす 199407


No 掲載月
1001 雨に紫陽花こだわり徐々に消え去りぬ 199307
1002 あの窓もアットホームな影が見え 199307
1003 引き分けに終わった試合バス走る 199307
1004 射程距離にいつも置いておく人形 199308
1005 終電が出てしまってから迷い出す 199308
1006 消えかかる虫の命を思うなり 199308
1007 仏壇の父もそろそろ消え始め 199308
1008 消え去ったものを今更 テレビ鳴る 199308
1009 こころの中でいつも待ってるスーパーマン 199308
1010 スーパーの前の盛夏の金魚たち 199308
1011 住所録捨てたい名前溜まっている 199308
1012 何語るのか父の背が遠い 夏 199308
1013 この場所が合っているらし米を研ぐ 199309
1014 八月十五日 蝉もようやく鳴き始め 199309
1015 草いきれ 人を傷つけているか 199309
1016 かわいい顔でドクダミの花咲けり 199309
1017 なつかしい草の匂いのする妹 199309
1018 明日を覗くように漕ぐブランコ 199309
1019 うんざりと雨 ときどき狂う予定表 199309
1020 悲しみだけでしょうか 八月十五日 199309
1021 強敵が挑戦的に漕ぐブランコ 199310
1022 わが手より風船逃げる秋になり 199310
1023 禁煙の張り紙町は狭くなり 199310
1024 煙立つ消しに行くには遅すぎる 199310
1025 煙の向こうで呼んでいるのは母の声 199310
No 掲載月
1026 最後には古い港へ帰る舟 199310
1027 押すことの上手な人の前にいる 199310
1028 手が触れんばかりに赤いリンゴあり 199310
1029 風の夜 芒はあくまで芒 199311
1030 退屈そうな十指の上に来るトンボ 199311
1031 公園を出てより先の長い道 199311
1032 公園に向かって走る縄電車 199311
1033 誰と手をつなごう公園は名盛り 199311
1034 転んだままやがてライバル消えてゆく 199311
1035 慰めの言葉がやがてゼロになる 199311
1036 白いページ終わり明日は笑えるか 199311
1037 赤信号ほっとした顔多くなる 199311
1038 許せない人が吊り橋渡ってくる 199311
1039 美術館出ればぽっかりお月さま 199312
1040 町の中では陽気にしてるピエロ 199312
1041 ささやきが聞こえる地蔵さまの影 199312
1042 後からささやく声も大切に 199312
1043 友だちの昼食 母の味がする 199312
1044 昼だよ昼だよと騒ぐのはおばあちゃん 199312
1045 未知の世に出かけるような一頁 199312
1046 風の中で落ち葉は風の言うままに 199312
1047 雪詰めて友情詰めて持ち帰り 199401
1048 約束はみんな壊れて街は雪 199401
1049 忘れてた人が写真の中におり 199401
1050 あのときはみんな笑っていた写真 199401


No 掲載月
951 今のところわたしの遺産ありません 199301
952 表札にわたしの名前いまだない 199301
953 B面でチャンスを待っている妹 199301
954 讃美歌をうたっている間はクリスチャン 199301
955 霧の中一人でいたいなんて言う 199301
956 散る花も萎れる花も同い年 199302
957 どの席も優先席となっている 199302
958 長いこと待たせたらしいしずくの跡 199302
959 意識して指紋をつけた彼の部屋 199302
960 一秒の錯覚 去らぬ傷の跡 199302
961 菜の花を駆けて転んで飛び立つ子 199302
962 覚悟して馬車はカボチャに戻ります 199302
963 本棚に君の人柄転がるよ 199303
964 吹っ切れたように飛びゆく綿毛たち 199303
965 いま少し傘の中にいたい日だ 199303
966 各駅停車いまからの道このような 199303
967 今日もまた無事に過ぎたよ鍋の湯気 199303
968 どこかでつながっている影とわたし 199303
969 寂しさは影が消えゆく日の入り後 199303
970 三月や水も心もゆるみがち 199303
971 雪見酒どこかで人が転ぶ音 199303
972 風花やふたりの父が眠っている 199303
973 約束のない言葉だが待っている 199304
974 切符一枚 行くも帰るも自由なり 199304
975 大声を出して生まれた女の子 199304
No 掲載月
976 戦後生まれで自由の意味を知っている 199304
977 亥年生まれの運勢欄はよく当たる 199304
978 タイミング外すと塵になる言葉 199304
979 楽しそうに踊るわたしと影法師 199304
980 さくらさくら各駅停車好きになり 199304
981 誰を鎮めるというのだろう鎮静剤 199305
982 肝心な言葉は喉の奥にあり 199305
983 遠縁というだけの人やってくる 199305
984 縁もゆかりもない地蔵に手を合わせ 199305
985 いつ見ても無縁仏に花一輪 199305
986 寂しいので他人の子どもに笑いかけ 199305
987 散り急ぐ桜を受ける花筵 199305
988 予報通り風がわたしに吹いてきた 199306
989 てのひらを飛び出した蝶また帰り 199306
990 追うほどに加速がついて転がる毬 199306
991 追いかけて済むことならば追いかける 199306
992 健脚を誇る友にはよく追われ 199306
993 渓流や逆らうこともない日々で 199306
994 階段を昇りつめるとあるお寺 199306
995 保証された道に大きな岩が落ち 199307
996 信じようと思う医者からの錠剤 199307
997 日傘雨傘 中流階級意識する 199307
998 傘一本あなただったらどうします 199307
999 どこにあっても君の傘ならよく分かる 199307
1000 転んだら都忘れが雨に濡れ 199307


No 掲載月
901 溶け合わぬ言葉を投げている親子 199207
902 憔粋の肩に呼びかけしたいのに 199207
903 呼び戻す声は母だと分かっている 199207
904 偏差値が音を立てて子を呼びに 199207
905 一日に一枚届く雨便り 199207
906 梅雨入りやどの子も同じ傘を持ち 199207
907 はみ出した子にもあかーい血は流れ 199207
908 昨日よりは今日の窓を磨きたい 199208
909 ベッドからどなたを見ても美しい 199208
910 母らしい言葉は苦手グッドバイ 199208
911 娘らしいはにかみをする三面鏡 199208
912 優等生らしい返事に飽きてくる 199208
913 手のひらを抜け出すものの多かりき 199209
914 入院一回と汚点のついたプロフィール 199209
915 リズムに乗って遊戯続けるおじいちゃん 199209
916 草一本取るにもリズムを携えて 199209
917 夏も終わりリズム薄れるわが暮らし 199209
918 渋滞が私の家の前で起き 199209
919 盆休み渋滞のない道歩く 199209
920 かけ違えたままのボタンと旅に出る 199209
921 こだわりの強い人から手を離す 199209
922 投げられた石も投げた石もあり 199210
923 踏ん張りのない方から消えるシャボン玉 199210
924 萩に埋もれ留守にしがちなわが心 199210
925 雑種犬が身構える留守の家 199210
No 掲載月
926 バーベキューで盛り上がり留守家族 199210
927 十年目の色よい柿はすぐ落ちる 199210
928 柿食べて友の便りを聞いている 199210
929 石の上に三年置いた顔がある 199210
930 骨折れた傘にも人は集まるよ 199210
931 約束の場所に花束置いてあり 199210
932 気がつくと家に向かっている私 199211
933 デッドボールに泣くのは勇み足の君 199211
934 流れゆく雲と歴史の一秒間 199211
935 千年杉どんなドラマを見てきたか 199211
936 歴史の町で私のルーツ探している 199211
937 消えてゆく虹を見ている砂漠にて 199211
938 こんなにも丈夫な足が二本あり 199211
939 躓いた小石を拾い合う家族 199211
940 境界がないよあなたと海が好き 199212
941 幸せだとうなずくまでの数秒間 199212
942 乗り心地よくない今朝のロマンスカー 199212
943 若い日のロマンはそっとポケットに 199212
944 そっと並ぶロマンスグレーの人の横 199212
945 左遷の人も巣立ちの人も立つホーム 199212
946 正直な鏡 おばさん一人いる 199212
947 やわらかい言葉で攻めてくる店員 199212
948 少年と少女駆けてゆくプロローグ 199301
949 方向音痴にライトアップのテレビ等 199301
950 わたしよりきれいになった同級生 199301


No 掲載月
851 笑いながら何度も許す人と会う 199201
852 落ち葉掃く仏にあったような時間 199201
853 バトン渡す相手がいない青い空 199202
854 オブラートで包む言葉が多すぎる 199202
855 向かい風 咳のある子をなぎ倒し 199202
856 向かい風 陽気な顔でほっとする 199202
857 向かい合う鏡がきっと怖くなる 199202
858 走っても歩いてもなお遠いゴール 199202
859 どこへでも吹いていけれる風の自由 199202
860 雪の朝 最後のパズル埋めれそう 199202
861 足跡をここからつける始発駅 199203
862 約束の場所にいつもの笑顔あり 199203
863 微熱あり名所めぐりが空白に 199203
864 巡り合って良かったという君といる 199203
865 血の巡り悪くなったと答案紙 199203
866 請求するように切手横向きに貼り 199203
867 買うものがない日はせめて切手買い 199203
868 背痛歯痛 傷つきやすいにんげんよ 199203
869 途中下車しているうちに追い越され 199203
870 気がつけば引き立て役になっている 199203
871 にんげんに刺激をされに行く都会 199204
872 ゆっくりと歩けよ雨の乳母車 199204
873 燃え尽きるまでにさようならが言えた 199204
874 埋もれ火に少しずつ置く青春記 199204
875 燃えがらに水を浴びせるおばあさん 199204
No 掲載月
876 リボンつけ若い若いと言い聞かせ 199204
877 旧友と会う日はリボン大きめに 199204
878 水たまり君を転がし笑っている 199204
879 どの人も春に染まって温かい 199204
880 失礼して他人を覗く双眼鏡 199204
881 花を買うわたしに乾杯したい日に 199205
882 行きずりの小石にまでもなめられる 199205
883 春いっさいそれでも転ぶわたしです 199205
884 手弁当春いっさいを満喫し 199205
885 森を出るとやさしさすぐに吹き飛んで 199205
886 どうしても母の微笑を真似できぬ 199205
887 絵心をくすぐるようなやさしい目 199205
888 淋しくて手紙十通書きなぐり 199205
889 献血後人間らしくなりました 199205
890 跳ね返す間もなく沈んでいった石 199206
891 こんなはずじゃなかった水を一杯飲む 199206
892 胃に沈む夢のいくつか忘れたよ 199206
893 こころの中の夢を他人が消しにくる 199206
894 太郎花子の夢が入っている玉手箱 199206
895 バラ満開ソシアルダンス踊ろうよ 199206
896 今日はまだつぼみのままのバラに会う 199206
897 くちびるが乾き人間恋しくなる 199206
898 母の日にぴくぴく動く泣きぼくろ 199206
899 夏に向かっていい顔をする鯉のぼり 199206
900 巻き戻しスイッチで君は戻れるか 199207


No 掲載月
801 占いを信じて丸木橋渡る 199108
802 腰痛や橋までの道遠すぎて 199108
803 後戻りできる橋ならいくつでも 199108
804 雷雲が渡しの後を追ってくる 199108
805 落雷やいまごろ母はひとりぼち 199108
806 雨傘日傘 迷うばかりの日常や 199108
807 錠剤をつかんで迷う水コップ 199108
808 私からひとりふたりと消える友 199108
809 乳母車の母を転ばす水たまり 199109
810 ワープロに握られているプロフィール 199109
811 群衆が光り輝く樹を倒す 199109
812 鍵穴に光るものあり覗かねば 199109
813 逆光に嫌いなものは見ないこと 199109
814 カードあれば何でも買えると子の笑顔 199109
815 カードの裏で壊れていった友がいる 199109
816 変化球 投げねばならぬ時が来た 199109
817 ふり返る数の多さよ峠道 199109
818 紙ヒコーキいつかは落ちるのに飛ばし 199110
819 道連れになりたい人が先に行き 199110
820 万歩計 風吹く日にも動いている 199110
821 風が吹くまで直立姿勢の案山子たち 199110
822 秋風が吹いて病院への道を 199110
823 追いかけると風は一直線に吹き 199110
824 ライバルが風吹く中を駆けてくる 199110
825 目かくしはよそうあなたの目はきれい 199110
No 掲載月
826 幸せな人だ笑って歩いている 199110
827 見たいものが何でも見える木のてっぺん 199111
828 破れ傘 繕う勇気ありますよ 199111
829 変化もなく五時のラジオが流れ出す 199111
830 友だちがときどき投げる変化球 199111
831 カレンダーに心の変化書き入れよう 199111
832 終止符を打とうカラスも帰るから 199111
833 根気よく作り続けた砂の家 199111
834 いつの間にか下り坂を歩いている 199111
835 ビール瓶軽くなったら寝ることだ 199112
836 子宝を掴みそこねた老夫婦 199112
837 訃報来る待っていたわけではないけれど 199112
838 君が来るはずの電車を待っている 199112
839 待ちましたとだけ書いておく伝言板 199112
840 何もない日にかける母への電話 199112
841 何もかも電話で済ませたくないよ 199112
842 真剣に言ったさよなら忘れられ 199112
843 自分から傷を広げていく河童 199112
844 カタツムリここがあなたの居場所だよ 199112
845 初霜やぴりっと走り生命線 199201
846 空席がひとつ この世はままならぬ 199201
847 逃げ道はいくつも作り冬の中 199201
848 風向きが変わり横道に入り 199201
849 道の途中で何度も出会う人がいる 199201
850 遮断機が上がれば変わりない暮らし 199201


(初掲載:平成16年10月16日)
(最終掲載:平成19年9月11日)


川柳&ウォーク