(第2集)


川柳東浦の会の会報「ちたの風」に掲載された句を
1980年4月の第1号から順に整理し、できた分から
掲載してきました。そして、最終号(2001年11月・
260号)で1721句の整理を終えることができました。
                 (平成16年8月14日)
     (掲載月の説明 : 200108=2001年8月号)  


No 掲載月
1701 楽しみは仕事途中の無駄話 200108
1702 駅に着くまでに行き先決まらない 200108
1703 落書きの楽しさ知って書く日記 200109
1704 なつかしい顔になっていく入道雲 200109
1705 一日を生きて傷口ひとつ増え 200109
1706 指先をじっと眺めて出る涙 200109
1707 なんという暑さだ涙止まらない 200109
1708 炎天下 口を動かず気力なし 200109
1709 太陽と僕の間に風が吹く 200109
1710 寝たいときに寝て一日中寝ている 200109
1711 転んでから口が重くなった老人 200110
No 掲載月
1712 夏過ぎて茄子の命はまだ盛り 200110
1713 一陣の涼風似合う髪飾り 200110
1714 野球帽の似合う子供に育ってくれ 200110
1715 旅のたびに似合う服がないと言い 200110
1716 猫の目で明日を捜す午後十時 200111
1717 猫好きな人に犬の話する 200111
1718 定年が近く猫でも飼おうかな 200111
1719 天秤で歳月の重さ測りかね 200111
1720 年を経て曲がったきゅうり伸びている 200111
1721 ちたの風 明日につなげる風になる 200111
終わり


No 掲載月
1651 君のむく柿は渋みがとれている 200012
1652 BGMが流れて気がつく午後三時 200101
1653 理由を問う 誰もとらない柿のこと 200101
1654 澄んだ目にやがて戻っていく痴呆症 200101
1655 澄んだ目で見つめられ顔赤くなる 200101
1656 澄んだ目を返してください半世紀 200101
1657 あと幾年 気負いを捨てて歩く足 200102
1658 足元が冷えて話が続かない 200102
1659 先生になればよかったとまだ思う 200102
1660 先生が来る 回り道して帰る 200102
1661 純白のトレーナーが似合う先生です 200102
1662 この指の生い立ち思い愛おしむ 200102
1663 パソコンはこの指一本が頼り 200102
1664 年明けて変わっていたのはカレンダー 200102
1665 孫帰る 夜ってこんなに静かなの 200102
1666 止め時のふんぎりつかぬ白髪染め 200102
1667 春近し 春を捜して散歩する 200103
1668 駅伝のたすき繋いで春が来る 200103
1669 そっと来るので春の足音聞こえません 200103
1670 仕事場をそっと離れてする電話 200103
1671 そっと吹く風にわが町の匂いする 200103
1672 橋渡るむこうの春を見てみよう 200103
1673 春つれてやってくる客待つ間 200103
1674 きのう聞いた春の足音聞こえない 200103
1675 制服を脱ぐと体が軽い帰路 200104
No 掲載月
1676 中天に月 僕の道まだ半ば 200104
1677 楽しみをひとつふたつ持ち孫が来る 200104
1678 いまだ冬 楽しい夢はもう覚める 200104
1679 ポケットから楽しいことはすぐ零れ 200104
1680 わが道は山の麓で行き止まる 200105
1681 人を待つ間に人を観察し 200105
1682 力こぶ見せて家族の平和かな 200105
1683 春うらら 一駅歩く余力あり 200105
1684 力なく国旗が揺れる倦怠期 200105
1685 青空に今日の予定変えてみる 200106
1686 無駄話の数だけ白髪増えている 200106
1687 作り上げた信頼崩す五月病 200106
1688 カレーなら自分で作って食べられる 200106
1689 梅雨間近 積み木積み上げ備えする 200106
1690 手を振ればクラクション鳴らすお父さん 200107
1691 空は青 手帖に書いたこと忘れ 200107
1692 娘らを味方にしよう手紙書く 200107
1693 苦しみを抜け出すときに来る電車 200107
1694 魔法瓶 清濁合わせて丸飲みに 200107
1695 雨上がり 来る気配のない人を待つ 200107
1696 雷雲のゆくえ確かめ帰路につく 200107
1697 にわか雨 僕の心に傷がつく 200107
1698 雷雲が流れ挨拶は短めに 200108
1699 暑い日は熱いお茶がよいのです 200108
1700 途中まで見送る 後は後のこと 200108


No 掲載月
1601 暖簾押す 今日の疲れを取るために 200005
1602 乳母車 老母が押して右ひだり 200005
1603 印鑑は婚姻届と同じもの 200005
1604 遠来の客に合わせて咲く桜 200005
1605 子供らが絶えた原っぱに出る土筆 200005
1606 眠りから覚めて新芽はおずおずと 200005
1607 カメラでは君の本音が見えないよ 200006
1608 物忘れ激しくなって買うカメラ 200006
1609 カメラからのぞくと妻が美しい 200006
1610 ゆっくりと歩いて敵を避ける知恵 200006
1611 これも縁横断歩道で擦れ違う 200006
1612 吊革にアリバイ残し降りていく 200007
1613 紫陽花が咲いて電話をしたくなる 200007
1614 天国にも地獄にもなる金魚鉢 200007
1615 金魚の動きじっと見つめて考える 200007
1616 ときどきは入っていたい金魚鉢 200007
1617 梅雨空に戸惑う足をじっと見る 200008
1618 物干し竿 梅雨の間に悩むこと 200008
1619 雨雲があすのほうからやってくる 200008
1620 願望を打ち明けている入道雲 200008
1621 雲行きが怪しくなって席を立つ 200008
1622 禁煙の張り紙いまだはずせない 200009
1623 魚焼く煙は僕の方に流れ 200009
1624 写真燃す煙の多さ悔いの重さ 200009
1625 捨てられた村に蛍が飛んでいる 200009
No 掲載月
1626 追伸に言い訳ばかり夏便り 200009
1627 見覚えのない人が手を振る街角 200009
1628 ゆっくりと雲が流れて良い午睡 200009
1629 妻の出す苦いコーヒーに慣らされる 200010
1630 暑い風熱い話が吹いて珈琲 200010
1631 友が来る何がなくてもまず珈琲 200010
1632 出産を前の家族がよく集う 200010
1633 指折って数えてる日は長いもの 200010
1634 昼寝する未来のことは考えない 200010
1635 外は雨殺意を感じ私語止める 200010
1636 外食は昔食べたカレーという 200010
1637 いろいろな秋はあるもの昼寝する 200011
1638 赤ん坊の客がなかなか帰らない 200011
1639 いろいろな坂を登って鍛えてる 200011
1640 本を読む少しはゆるむ下り坂 200011
1641 秋きたる坂の向こうにある期待 200011
1642 友訪ねいろいろな秋見つけてる 200011
1643 涼しくなると優しくなる家族 200011
1644 足元が揺れて早めに寝てしまう 200011
1645 隠れても無駄なことです金木犀 200012
1646 コスモスが風に揺れ 僕も揺れ 200012
1647 新聞の片隅にある良い話 200012
1648 新聞が来て食卓は賑やかに 200012
1649 妻は留守 ゆっくり新聞でも読もう 200012
1650 てっぺんの柿は小鳥に残すかな 200012


No 掲載月
1551 野菜畑楽しい話も育ちます 199907
1552 楽しげに見える町にある落とし穴 199907
1553 狭い空梅雨が明けると広くなり 199908
1554 良い人と言われたいので聞き役に 199908
1555 指輪のない指の数だけ自由です 199908
1556 輪を描き ここが私のマイホーム 199908
1557 手をつなぎ輪を作って僕は鬼の役 199908
1558 お祭りのあとに本音の話する 199909
1559 蛍一匹見つけてうれし友来る 199909
1560 あなたと同類と言われうれしさも 199909
1561 類似の烙印重い荷を背負う 199909
1562 人類という不可解な仲間にて 199909
1563 去る人は去って空気はやわらかに 199910
1564 命日に西瓜を食べている家族 199910
1565 ストレスがじっと待っているいる連休 199910
1566 連なって蟻が行く先気にかかる 199910
1567 連休を待っている妻と畑仕事 199910
1568 気ままな旅で気ままな夢を見る 199911
1569 南瓜に西瓜 自慢の種が尽き 199911
1570 亡父と同じ道は歩かない 199911
1571 さわやかな風の通り道教えよう 199911
1572 髪染めて少し無理して街へ出る 199912
1573 賞罰なし病歴なしで年の瀬へ 199912
1574 脇道で見つけた夢が捨てられぬ 199912
1575 時折は脇にそれる余裕持つ 199912
No 掲載月
1576 脇道を歩き人生面白い 199912
1577 好きなだけ食べたバナナの後始末 200001
1578 ここまではきままに生きてきたけれど 200001
1579 私との間隔を取り座る人 200001
1580 可と不可の間で生きて生きのびる 200001
1581 間がもてぬ休日 妻は大掃除 200001
1582 切りの良い歳で良いことあるだろう 200002
1583 人生とは 正月だから言ってみる 200002
1584 石橋を渡って消えぬ不安あり 200002
1585 石像は撫でられ続け荷が重い 200002
1586 木枯らしの通り道にある石地蔵 200002
1587 口出しは家族のあかし夜が更ける 200002
1588 暖冬に新年の夢すぐかびる 200002
1589 お雛様早めに出して春を呼ぶ 200003
1590 節分の後の災難もてあます 200003
1591 沈黙の海に答えを求めても 200003
1592 楽しさの一つや二つ浮かぶ海 200003
1593 悟るまでなんど海へ行くのだろう 200003
1594 祭りの後に湧いてくる寂しさ 200004
1595 勝ち負けの続きにある丸テーブル 200004
1596 絵本売ってください夢が欲しいから 200004
1597 夢のある絵本を捜す古い町 200004
1598 朝から雨で絵本が足りません 200004
1599 遅咲きの桜 私は回り道 200005
1600 窓際の席でお城と桜見る 200005


No 掲載月
1501 網膜にうっすら焼き付く君の声 199810
1502 ほのかな気分を買いに行く茶店 199810
1503 知らぬ間にほのかに笑う肖像画 199810
1504 ほどほどにしておきなさい親心 199810
1505 自動ドア空いた右手をもてあます 199810
1506 言い訳が日に日に多く歯が痛む 199811
1507 体内から腐食 甘味は控えめに 199811
1508 待つ人はどこにもいない誕生日 199811
1509 君を待つ脳波のリズム乱れがち 199811
1510 忍耐を敗北と知る待ち時間 199811
1511 鶏頭が一本それだけの自己主張 199811
1512 やせ我慢捨てると青い空が見え 199811
1513 あの赤の明日が気になる彼岸花 199811
1514 過去未来ゆっくり流れに任せよう 199812
1515 男泣き今度はいつになるだろう 199812
1516 悩むこと一つや二つみかん食う 199812
1517 言い訳は上手にみかんの皮をむく 199812
1518 背伸びしてちぎったみかん酸っぱかった 199812
1519 悔しさが酒に紛れずただ歩く 199901
1520 正体は不明のままの師走の風 199901
1521 不自然な笑顔を向ける合成写真 199901
1522 冗舌な女が向かう喫茶店 199901
1523 北風に向かい 男は男たり 199901
1524 ここまでが私 雪で消えた顔 199902
1525 美しいものから隠す雪や雪 199902
No 掲載月
1526 世直しの期待を抱いて芽が育つ 199902
1527 右へ左へ芽が伸びて悔いがあり 199902
1528 地球をドッと割って出る新芽かな 199902
1529 雪の日の約束は雪と共に溶け 199902
1530 回れ右君にあって道変えてみる 199902
1531 不況風背中のうちに逃げ出そう 199902
1532 風邪薬 私の前で売り切れる 199903
1533 雪の日は長いファックス待っている 199903
1534 祝日は森の魔性にとりつかれ 199903
1535 森に来る いつか時計は止まっている 199903
1536 何となく一人になれる森の中 199903
1537 縁遠いゆとりに出会う絵画展 199904
1538 握手して次の言葉をさがしている 199904
1539 背伸びして山の偉大さ伝えよう 199904
1540 幾百の花を抱きしめ春の山 199904
1541 人間に疲れた人が登る山 199904
1542 去る人来る人忙しい四月馬鹿 199905
1543 ウグイスの声に騙され上着脱ぐ 199905
1544 思い出の詩集を抱いて春の野に 199905
1545 夢を買う人売る人で混む電車 199905
1546 ブーメラン男の夢はいまだ夢 199905
1547 夢抱いて歩き続けて疲れ果て 199905
1548 受話器を置いて気持ちを切り替えて 199907
1549 雲を見る君の笑顔が見えてくる 199907
1550 人生は楽だったとまだ言い切れぬ 199907


No 掲載月
1451 音もなく離れていくの娘たち 199802
1452 パソコン買って絵入りの葉書に 199802
1453 もう春だ埋めつくしたり予定表 199802
1454 日記なら夢みたいな夢語る 199802
1455 日記書く書いた後から風と消え 199802
1456 こだわりを捨てた頃から丸い顔 199802
1457 電話もいいけど手紙もほしい 冬 199802
1458 丁寧な挨拶をして年明ける 199802
1459 行き先を告げずに出るとやがて雨 199802
1460 逆らう女がいるやがて雨 199802
1461 春よこい老母歩ける間にこい 199803
1462 曲がった背が老友を待つ桜待つ 199803
1463 メロドラマ隣の席が気にかかる 199803
1464 青い空高い煙突 平和だなあ 199803
1465 梅一輪 昔の私思い出す 199803
1466 あみだくじ最後に引いて恨まれる 199804
1467 妻の旅一泊二日は長すぎる 199804
1468 猫の手をまだ上手には使えない 199804
1469 野良猫さえ避けて通る僕の庭 199804
1470 いつも風邪猫なで声で話せない 199804
1471 消されるすぐに書きたい落書きで 199804
1472 老いた背に魔法の杖が見つからぬ 199804
1473 今日こそ笑おう大きな口あけて 199804
1474 何もかも睡眠剤になって春 199805
1475 転勤地 味方は一人青い空 199805
No 掲載月
1476 煮えたぎる鍋の底には潜む石 199806
1477 恍惚の世界へ足が向く老母 199806
1478 下駄箱の捨てきれない靴二足 199806
1479 幸せだったらください玉手箱 199806
1480 どの箱を開けて迎えん娘婿 199806
1481 星いくつ数えてしまう街の中 199806
1482 偶然の再会白い花持って 199806
1483 庭先で遊ぶ雀に見とれる日 199806
1484 無意識に人間退化自動ドアー 199808
1485 青い実が落ちて不安な家族です 199808
1486 泣き言をふわりポケットに落とす 199808
1487 四十男ふんわりふわり恋をする 199808
1488 地図を買いふわりと旅に出てみよう 199808
1489 目を閉じて描くあしたは雨のち晴 199808
1490 自動ドアー無感動な子が育つ 199808
1491 口許が善にも悪にもなる女 199809
1492 ブラインドのすき間斜めに見る世間 199809
1493 遅らせた返事に傷が深くなる 199809
1494 ほほえみを浮かべてきつい返事する 199809
1495 返事を捜している間に終着駅 199809
1496 人寄せのトウモロコシが残っている 199809
1497 土踏まず土の臭いに飢えている 199809
1498 逆転を許して父のやさしさよ 199809
1499 金曜日暦をじっと見入りたり 199810
1500 水曜日遠くで鳩が餌をつつき 199810


No 掲載月
1401 最後まで残るのは私のストーブ 199705
1402 トンネルを抜けた出た後は昼寝する 199706
1413 春爛漫捨てた夢が惜しくなる 199706
1404 交差点迷うことなく行く先生 199706
1405 先生も教えてくれぬわらび取り 199706
1406 先生と呼ばれ自由が逃げている 199706
1407 捨てたはずの夢をいつしか追っている 199706
1408 いつの間に魔法の失せた魔法瓶 199706
1409 一人って淋しいものなの鯉のぼり 199706
1410 サングラス君の行方が分からない 199707
1411 戻りたい過去があるそれも幸せ 199707
1412 縁側のある家でする幸せごっこ 199707
1413 友情の裏側にあるのも友情 199707
1414 テレビの側から見る顔が面白い 199707
1415 真夏日のはげしさ 君もしたたかだ 199708
1416 人間の愚かさ笑う梅雨末期 199708
1417 漂えばすぐにも見える我が魂 199708
1418 漂流船となってしまえば楽なスーツ 199708
1419 漂泊の旅 夢はいつか叶うもの 199708
1420 効きそうにない胃腸薬を持ち歩く 199708
1421 親知らず抜いて優しさ取り戻す 199708
1422 許してしまえば楽になれる親離れ 199709
1423 言い訳をしている雑魚は雑魚のまま 199709
1424 大きな顔が遅れてくる暑さ 199709
1425 真夏日に冬の話がはずんでいる 199709
No 掲載月
1426 青信号の自由という罠がある 199710
1427 赤信号右も左も人不在 199710
1428 両岸を包んでめくる週刊誌 199710
1429 包装紙ほどくほどに虚無になる 199710
1430 友情に包まれていると思っていた 199710
1431 道端で見つけた秋と会話する 199710
1432 階段をゆっくり登れば軽い足 199710
1433 窓開けて招いてみる秋の風よ 199711
1434 夢うつつプラス思考がつまずいた 199711
1435 よどみに落ち葉が浮いている 僕だ 199711
1436 忘れるもの忘れてコスモス満開に 199711
1437 散歩道期待すること数えている 199712
1438 見渡せば すすき茫々わが孤高 199712
1439 沈思黙考時計の音が気にかかる 199712
1440 賞品でもらった時計すぐ止まる 199712
1441 暖冬のきざし時計もゆるみがち 199712
1442 風の色求め私は旅人よ 199712
1443 行間を読んで亡父に行き当たる 199712
1444 物忘れの激しさ事故のせいにする 199801
1445 落ち込んだ老母 念仏すら忘れ 199801
1446 薄情な女に育てた罪を負う 199801
1447 友情はときには重い重い石 199801
1448 同情を買う言い訳を考える 199801
1449 耳底に残った本音に惑わされ 199801
1450 待っているときには来ない郵便夫 199801


No 掲載月
1351 父の座を追われた夜のテレビ席 199609
1352 手遅れと知りつつ夏を追いかける 199609
1353 涼風を追いかけドッと汗が出る 199609
1354 炎天下 とても愉快な帽子買う 199609
1355 夏疲れ二人の会話続かない 199609
1356 楽しさを持った郵便夫通りすぎ 199609
1357 突然の晴天 足が疼き出す 199611
1358 星が流れて人間止めようか 199611
1359 傷ついた十月コーヒーは甘くする 199611
1360 深い秋 傷つく者はあなたです 199611
1361 傷ひとつそれくらいがいい履歴書 199611
1362 夢抱いてあしたを描くクレヨンだよ 199611
1363 見えるもの見過ごし平和な色めがね 199611
1364 あしたから約束守る臨時バス 199611
1365 仏頂面苦もなく風は通りすぎ 199612
1366 来年の出番まで待つ柿の種 199612
1367 約束を果たした 雲は消えている 199612
1368 人生の半ばを過ぎる厚い雲 199612
1369 一片の雲がある空を見ている 199612
1370 犬が吠えるいやな予感がする明日 199612
1371 雑犬で生きていきます未来まで 199612
1372 柿落下 言い訳せずに別れよう 199612
1373 無趣味という看板をさげている 199612
1374 夢をくれ天気予報は冬という 199612
1375 断りもなく一面の冬の空 199701
No 掲載月
1376 気兼ねして胃腸薬飲む師走の胃 199701
1377 歯の欠けた口は他人の音がする 199701
1378 波紋の行方知りたく舟を漕ぐ 199701
1379 約束を果たして静かな夜が来る 199701
1380 天気図は雨 欲しいのは夫婦愛 199702
1381 いなか道に孤独な石だ蹴ってやる 199702
1382 世紀末のうめきが聞こえる僕の耳 199702
1383 豆腐屋の声が消えて町は死んだ 199702
1384 いつの間にか好きになっていた森の声 199702
1385 言い訳はよそう確かな傷がある 199702
1386 明日は明日 言い切る君に負けている 199702
1387 青空のある幸せを教えよう 199702
1388 君を待つ間に古びた乾電池 199702
1389 使い古した乾電池が捨てられぬ 199702
1390 雨予報 試されている僕の足 199703
1391 我が庭に降りて楽しむ鳥もいる 199703
1392 明日のこと思って残した赤い実 199703
1393 一度二度逆らって落ちる寒椿 199703
1394 足音の軽さに気づく春間近 199703
1395 早咲の桜に悩む筆の先 199704
1396 一人の日の深夜電話がよく響く 199704
1397 初出勤 紙風船は大空へ 199704
1398 いつわりの春だと思う花粉症 199704
1399 飛行機雲あなたの過去が揺れている 199704
1400 言いがかりサラリと受けた丸い顔 199705


No 掲載月
1301 初雪や熱くなるのは若さゆえ 199602
1302 大吉が好きでおみくじ買っている 199602
1303 あの人の年賀状はゆっくり届く 199602
1304 手の鳴る方に近づくシャボン玉 199602
1305 これも道 世間知らずのままでいる 199603
1306 微熱あり休みをとったバレンタインデー 199603
1307 春間近 回数券を買いに行く 199603
1308 口実はストレスにするケーキ買う 199603
1309 花柄のネクタイ似合う僕の首 199603
1310 落ちついたふりして転勤辞令待つ 199604
1311 春光にめまい覚える辞令だよ 199604
1312 耳ざわりのいい言葉に慣れた耳 199604
1313 髪飾り春一番に踊ろうよ 199604
1314 そよ風に吹かれて私出番です 199605
1315 目を伏せて純な男の意思表示 199605
1316 いつの間に葉桜となりし我が相手 199605
1317 菜の花の相手は蝶で 私には 199605
1318 塩送る相手にいつか負けている 199605
1319 許すもの許して傷は快方へ 199605
1320 春風は魔物 遅刻を繰り返す 199605
1321 旅に出てひとつふたつの良い話し 199605
1322 夢うつつ良い話しだけ残すノート 199605
1323 夢うつつの中でよく笑う父である 199605
1324 父の日を言いはる父に負けておく 199605
1325 ネクタイがきつく本音が言い出せぬ 199605
No 掲載月
1326 あの角を曲げれば本音が見てくる 199605
1327 その先は知らずじゃんけん繰り返す 199605
1328 捨てられぬプライド坂は下り坂 199605
1329 下り坂ゆっくり下って悟るかな 199605
1330 盲点を自覚して父眠っている 199605
1331 夢ひとつみている間の白い髪 199605
1332 知らぬ間に消えていたのは父の椅子 199605
1333 運命と向きあう勇気虫歯あり 199605
1334 捨てるものポケットにあり旅の中 199605
1335 玉子は半熟 遺書はまだ書けぬ   199605
1336 包丁研ぐ妻は朝から元気です 199607
1337 セールスの電話だ妻は動かない 199607
1338 老化かな老母の植えたみかんの木 199607
1339 父の日に植えた苗が流される 199607
1340 植木屋の置いていった鋏よく切れる 199607
1341 カーテンを新調して待つ夏便り 199607
1342 不本意な運命線に妥協する 199607
1343 レモン汁男の意地を消している 199607
1344 清書するとき本音が消えている 199608
1345 気兼ねしてチャンネル回す太い指 199608
1346 亡父の残した煙突取りはずす 199608
1347 いつの間に煙突消えた裏通り 199608
1348 煙突も煤払いも知らぬ子が育つ 199608
1349 錠剤の色にだまされてみよう 199609
1350 潔白を示すために飲む下剤 199609


No 掲載月
1251 大らかにまっすぐ伸びよ生命線 199505
1252 捨てるもの捨てられず無駄な年輪 199505
1253 仏頂面顔映る コーヒー飲み残す 199506
1254 盲点を自覚して夫婦眠くなる 199506
1255 真顔より少し笑うよ似顔絵が 199506
1256 人間の臭いがしない美術展 199506
1257 窓際に一人居残る青い空 199506
1258 建て前を持ち出す風が強くなる 199507
1259 早寝早起き予定表は確かです 199507
1260 ぼくの目を避けて蛍が飛んでいく 199507
1261 蛍を追いかける少し足らぬ歩幅で 199507
1262 罪なことです蛍がでるという噂 199507
1263 父の日を言いはる父のさみしさよ 199507
1264 旅に出てひとつふたつの石拾う 199507
1265 久しぶりに夫婦の会話それも梅雨 199507
1266 今年は冷夏 老いるのが怖くなる 199508
1267 父の日にスペアキーを買う母娘 199508
1268 夢や夢大きく育つ花の種 199508
1269 うれしい話しを秘密にしています 199508
1270 父母の痛みを知らぬ土踏まず 199508
1271 夕べの石は重かった父の夢 199509
1272 捨てるものポケットに詰め旅に出る 199509
1273 方言の消えた村には来ぬ蛍 199509
1274 戦争の話は尽きぬ熱帯夜 199509
1275 イニシャルが同じで同じ夢いだく 199509
No 掲載月
1276 二百十日を無難に過ごし五十才 199510
1277 かざ車回り回ってかざ車 199510
1278 玉子は半熟 早い仲直り 199510
1279 ストレスよ消えよとばかり秋刀魚焼く 199511
1280 ラブレター出す方角に飛行機雲 199511
1281 本音の話しをしない折れた菊 199511
1282 許すもの許してもみじ散り急ぐ 199511
1283 空き缶の唄が聞こえる秋の町 199511
1284 もみじ降る踏まれることを知らず降る 199512
1285 街の灯のむこうの宇宙にあこがれる 199512
1286 燃えつきぬ夢 日記帳に余白あり 199512
1287 燃える目で見つめて旅は始まりぬ 199512
1288 燃えるもの燃えて男はふるさとへ 199512
1289 じゃんけんに負けた指も我が指よ 199512
1290 その先を知らずにもみじ散り急ぐ 199512
1291 風化した夢の軽さよ朝寝坊 199512
1292 サンタは覚えている母のぬくもり 199601
1293 足りぬ懺悔 梢の柿は残ったまま 199601
1294 背中から呼ばれた背が温かい 199601
1295 誘惑は真綿のごとく冬の床 199601
1296 もの忘れ激しい頭にある帽子 199601
1297 追い風は魔物 自転車はすぐ転ぶ 199602
1298 おみくじの殺し文句に勝てぬぼく 199602
1299 隠すもの隠して雪はしたたかに 199602
1300 雪月花 幸せという文字があり 199602


No 掲載月
1201 結局は捨てられている蝉の殻 199409
1202 雷鳴は亡父やさしい僕がいる 199410
1203 逆行を許す愚かさ水不足 199410
1204 まだ流す涙があって余命表 199410
1205 沈思黙考 涙が乾いている 199410
1206 悔しさに涙が止まらずサンマ焼く 199410
1207 一陣の風ふところに君を待つ 199410
1208 読書百遍 遠い距離にある二人 199410
1209 プライドを捨て秋の陽の短さよ 199411
1210 深情け回転ドアが回らない 199411
1211 人間に飽きて人間月に吠え 199411
1212 秋から冬へと人間を取り戻す 199411
1213 柿熟し人間性が問われていく 199411
1214 単純な男の耳を持っている 199411
1215 明日もまた霊柩車に出会う風 199411
1216 あの角を曲がって夢は消えている 199412
1217 だれとなく手を振る気のいい案山子 199412
1218 青春の思いが残る虫歯抜く 199412
1219 人混みを抜けてやさしい風となる 199412
1220 二度三度追い抜かれてる終電車 199412
1221 短編をひとつ読む間の冬日かな 199501
1222 夕日を背に闘争心が萎えていく 199501
1223 雑草の根が伸び冬が早くなる 199501
1224 大根を輪切りに深い嫉妬心 199501
1225 過保護かな根本から朽ちていく 199501
No 掲載月
1226 涙腺がいつかの道をたどっていく 199501
1227 手鏡の中の顔に飽きてきた 199501
1228 落日の行方を問えば寝つかれず 199501
1229 律儀さが取れて溶け出す雪だるま 199502
1230 気まぐれな父でいようと午睡する 199502
1231 人間に飽き書くことの尽きたノート 199502
1232 おいてから良い話しだけ残すノート 199502
1233 無駄花が散ってノート白いまま 199502
1234 南から帰る鶴僕をさける 199502
1235 鶴が二羽わがままかってに飛んでいく 199502
1236 切れ切れの友情つなぐ年賀状 199502
1237 隣の部屋に忘れた玉手箱 199502
1238 味気ない話しが続く午後三時 199502
1239 曇天に風車は少し狂いがち 199503
1240 運命と向きあう勇気本を閉じ 199503
1241 運命に流されてみる木の葉舟 199503
1242 目立ちたいそれだけのこと梅の花 199503
1243 父として騙されてみる置き手紙 199504
1244 人情にとらわれ雨が近くなる 199504
1245 急ぐこと二つ三つはある亀よ 199504
1246 身についた習性弱い左肩 199504
1247 中傷が気になる背中丸くなる 199504
1248 形見買う二十一世紀は間近なり 199505
1249 ポケットから片手を出してわだかまり 199505
1250 折り方を忘れた鶴にうなされる 199505


No 掲載月
1151 ピエロかな一問一答の手酌酒 199403
1152 どぶろくや自己否定を繰り返す 199403
1153 自尊心は捨て切れませんコップ酒 199403
1154 冷や酒が五臓にしみる転勤よ 199403
1155 忘却という文字が好きな深酒よ 199403
1156 春間近 本音で歌う酒の歌 199403
1157 禁酒という不相応な決意かな 199403
1158 何もかも嬉しい今朝はみそ汁よ 199404
1159 鉛筆が折れた急いで帰宅しよう 199404
1160 行く末を悟った後の空模様 199404
1161 空理空論 中年の胃が痛む 199404
1162 疑問符の多い手紙が届く午後 199404
1163 終盤のきつい曲がり角避けてみる 199404
1164 散り果てた桜ふたたびの夫婦愛 199405
1165 さえずりが天に心は晴れていく 199405
1166 しきたりを破る楽しさ四月馬鹿 199405
1167 カーテンを開ける楽しさ渡さない 199405
1168 解熱剤楽しい夢を消している 199405
1169 よく眠る蟻は確かな春の中 199405
1170 言い訳ばかりが目立つ花吹雪 199405
1171 桜散る散る五月病が待っている 199405
1172 花と遊ぶぼくでいたい きょうあした 199406
1173 日曜日の雨に夫婦が狂っていく 199406
1174 品のいい五十路になるのも間近かな 199406
1175 梅雨近く破れ晒して楽な傘 199406
No 掲載月
1176 同床異夢 終着駅が近くなる 199406
1177 雨の中バイオリズムが狂っていく 199406
1178 倦怠期 卵の殻が薄くなる 199406
1179 五月雨と仲良くしよう五月病 199406
1180 虹が出るような友情思い出す 199407
1181 それぞれの海を持っている娘たち 199407
1182 老いて饒舌 とても土にはなりきれず 199407
1183 男なら黙して土をたがやさん 199407
1184 ストレスは土に返そう日曜日 199407
1185 疲れたと古いポケット探ってみる 199407
1186 日々悶々 泳いでみたい君の空 199407
1187 幸福な夫婦でいようキウイの花 199407
1188 のどぼとけ妻の言葉が飲み込めぬ 199408
1189 梅雨には梅雨の空が似合う色紙 199408
1190 退屈な午後に書いた暑中見舞い 199408
1191 空梅雨に不安がある置き手紙 199408
1192 雨乞いの手紙がさまよっている七月 199408
1193 うたた寝の間に消えた夢を追い 199408
1194 筋書きは知らないでおく二羽の鳩 199408
1195 夢のある挨拶をする朝の風 199408
1196 潔く枯れ葉にもなる相聞歌 199409
1197 どことなく君に似てきた恐竜よ 199409
1198 避けられぬトンネルがある面白さ 199409
1199 懺悔録書いてトンネル抜けている 199409
1200 子離れが進み夫婦はトンネルへ 199409


No 掲載月
1101 もはや秋 赤くなりきれぬプチトマト 199310
1102 冷夏です不景気です五十肩 199310
1103 コスモスの海に溺れた芸達者 199311
1104 秋から冬へと父の遺産が減っていく 199311
1105 人生は流転 公園の花時計 199311
1106 公園のブランコが好きな父だった 199311
1107 公園で綿菓子など刺激買い求め 199311
1108 未練かなふた呼吸おき電話とる 199311
1109 仲直りをしよう秋刀魚が黒くなる 199311
1110 夫唱婦随 物憂く走る夜汽車 199311
1111 苦いお茶ゆっくり飲む心は冬 199312
1112 人形の部屋で話しは辛くなる 199312
1113 ささやきが怒声に変わる十二月 199312
1114 栄枯盛衰ささやきもない夫婦 199312
1115 言い訳を用意し夫婦で年をとる 199312
1116 人知れず落ち葉となるハッピーエンド 199312
1117 意味不明の笑いに手が出ぬ夕ごはん 199312
1118 言い訳が上手な猿になる師走 199401
1119 崩れるにまかせて私 冬の旅 199401
1120 疲れかな呪縛に悩む薬指 199401
1121 爪切ればまっすぐ正月やってくる 199401
1122 宝くじ買う罪ひとつふえている 199401
1123 小説でも書こうかな永年勤続 199402
1124 傷ついて傷ついて背中丸くなる 199402
1125 剣道の心得があり昼寝する 199402
No 掲載月
1126 罪悪な昼下がりのスポーツ中継よ 199402
1127 子供らに手をふっておく草野球 199402
1128 片目閉じればやさしい風になる 199402
1129 カーテン閉じ詩集など読む微熱かな 199402
1130 夕焼けにたたずむ癖が身について 199402
1131 神経の半分で会話する妻と 199403
1132 胃腸薬飲んで死後の話しなど 199403
1133 先生は理由をつけて酒を飲む 199403
1134 先生と呼ばれた夢はすぐ醒める 199403
1135 追従を吐いた口から朽ちてゆく 199403
1136 ネクタイの手順が狂う寒い家 199403
1137 飲み残しのコーヒーにきっと苦い秘密 199403
1138 無口な男に似合う酒を買う 199403
1139 晩酌は三合 確かな明日を待つ 199403
1140 朝酒に狂いを見せる伝書鳩 199403
1141 言い訳が上手になったはしご酒 199403
1142 電話機が静かに響く一人酒 199403
1143 甘酒がいつか冷えきる親離れ 199403
1144 さみしさを隠しています酒一合 199403
1145 まわし酒まわして深い友情よ 199403
1146 倦怠期 夫婦茶碗に酒残す 199403
1147 離婚記事 茶碗酒でも飲もうかな 199403
1148 残業が減って酒減って夫婦です 199403
1149 真実は知りたくないと雪見酒 199403
1150 苦節十年 地酒をあたためる 199403


No 掲載月
1051 窓越しの景色に媚びるうすい胸 199306
1052 桜は満開 鳥は声ばかり 199306
1053 うぬぼれの強さの順に鳴く山鳥 199306
1054 ホーホケキョチッチッチッ負けぬ妻がいる 199306
1055 ウグイスの声にすべては過去のこと 199306
1056 こぶしの花はますます白く蝶になる 199306
1057 満開の桜が好きで中年で 199306
1058 真昼の温泉はすべて夢である 199306
1059 春の夢うつつの中で手を合わせ 199306
1060 お供えに私の夢を捧げます 199306
1061 奉納の太鼓がひびく胸三寸 199306
1062 輪の中にはいれと太鼓をたたく人 199306
1063 祭好きの鳶が誘いを待っている 199306
1064 のぼり旗の手招きに足軽くなる 199306
1065 桟敷にすわる 村人の顔になる 199306
1066 持ち寄った重箱の重さは情念 199306
1067 重箱の中味は春の山里で 199306
1068 総菜も平和も分けて一期一会 199306
1069 さわやかな風に遠慮を忘れた手 199306
1070 無礼講の文字が浮かぶ茶碗酒 199306
1071 車座の中でいつしか明かす素性 199306
1072 山里の酒も本音も飲み干して 199306
1073 最後まで話しこんでしびれる足 199306
1074 再会を約してまた飲む別れ際 199306
1075 花びらハラハラ宴の後始末 199306
No 掲載月
1076 祭礼だ見て見ぬふりの薬師堂 199306
1077 人は人と黙って芽を出す五月の木 199307
1078 これも梅雨 古い日記帳かびて 199307
1079 傘持って握手する手が見あたらぬ 199307
1080 少年に戻り黄色い傘を買う 199307
1081 哀しみを防ぐ傘を売ってください 199307
1082 雨垂れの音に二人は不整脈 199307
1083 前線が停滞 頭痛ひどくなる 199307
1084 マーガレットの海で蝶々生きのびる 199307
1085 雨だれの恨みは深い石を打ち 199308
1086 どこに不満があるのかいまだ梅雨 199308
1087 多汗症の男に消えぬ古い傷 199308
1088 消える火は消えるにまかす更年期 199308
1089 母が去り妻が去り居間の灯り消え 199308
1090 ワープロの画面が消えて虚無となる 199309
1091 四百四病 私の知らぬ神がいる 199309
1092 老後の話しをしながら草を取る 199309
1093 薬草を求めて母にたどり着く 199309
1094 草笛が聞こえる村へ旅支度 199309
1095 スポーツ面が大きくなって平和かな 199309
1096 インターホンの音から夢が覚めていく 199309
1097 妥協点を知らぬ人と争わぬ 199309
1098 拝啓と書いて続かぬ空模様 199310
1099 片べりの靴 訴える性差別 199310
1100 無理のある妥協で地図黒く塗る 199310


No 掲載月
1001 父母が優しくなると秋の色 199211
1002 謎解きの悩みは深い時刻表 199211
1003 平凡に日々過ぎて柿青いまま 199211
1004 ハンカチをきちんとたたむ別れ時 199212
1005 渋滞の渋さ苦情はほどほどに 199212
1006 骨董屋で青いロマンさがしあて 199212
1007 雨の中 これがロマンと見栄を張る 199212
1008 相合い傘そんなロマンに疲れました 199212
1009 ポケットの中から冬で僕眠る 199212
1010 自閉症バスは遅れてやってくる 199212
1011 不器用な私であったとみかん剥く 199212
1012 内緒話をしてこれで共犯者 199301
1013 早めに咲き残業はなく寒椿 199301
1014 私のさみしさなんて 師走だよ 199301
1015 孤独に包まれた私が動かない 199301
1016 私の主張が通らない女系家族 199301
1017 残業はなし空白の一ページ 199301
1018 いまは冬 本音を吐かぬコップ酒 199302
1019 電話機が静かに鳴って平和です 199302
1020 饒舌な男に跡は継げません 199302
1021 足跡を躊躇して消す冬の雨 199302
1022 足跡をたどろうとする道狭すぎる 199302
1023 無意識につぶやく癖の父の椅子 199302
1024 みそ汁の臭いが消えて病んでいる 199303
1025 相性の悪さを補う目玉焼き 199303
No 掲載月
1026 訪問者のいない今日のコーヒータイム 199303
1027 父として今は優しくしておこう 199303
1028 居酒屋で今日も本音隠したママ 199303
1029 しおりが抜け私どこにいるのやら 199303
1030 青春の想いを秘めた古い地図 199303
1031 風船の揺れは不満と思う指 199304
1032 合格の知らせの前の無駄話 199304
1033 ワープロを叩く指は不感症 199304
1034 蟻と僕 素知らぬ顔で同居する 199305
1035 手の内を明かしてしまう花見酒 199305
1036 縁側で夢みる鳥の夢をみる 199305
1037 これも縁 歯車の歯がずれている 199305
1038 春うらら縁ない人に声をかけ 199305
1039 菜の花にドッと会う一瞬の忘却 199305
1040 メルヘンを追いかけ桜の下にくる 199305
1041 沈黙の食卓で冷めるカレーライス 199305
1042 短針から狂う都会の花時計 199306
1043 靴から疲れて足踏みくり返す 199306
1044 つゆ間近ひとつ早めのバスに乗る 199306
1045 口論に負け痛み出す古い虫歯 199306
1046 春の夢 言い訳ばかりうまくなる 199306
1047 流し湯に流れぬことの三つ四つ 199306
1048 薬効は忘却にあり湯に浸る 199306
1049 湯の中は幻 陽は中天に 199306
1050 湯の花と一心に遊ぶ手のひら 199306


No 掲載月
951 眼鏡拭く疑心暗鬼の四月です 199205
952 ラジオから軍歌聞こえる春の罠 199205
953 ライバルが優しくみえる目玉焼き 199205
954 優しさを求めて終わりのない旅へ 199205
955 朝もやに包まれ優しくなる私 199205
956 初夏の香りを待っているフライパン 199205
957 口ずさむ口から春があふれ出す 199205
958 倦怠期 待合室で風を聞く 199205
959 砂時計 甘い話しに乱れます 199206
960 日に三度 殺し文句を飲みこむ胃 199206
961 太陽に照らされて夢白くなる 199206
962 母の日はサービス過剰の夢合わせ 199206
963 吉夢を追い続けて道迷う 199206
964 五月の風 母の匂いが消えている 199206
965 眼帯の裏にさみしい履歴書 199206
966 野良犬が神よ神よと事故死する 199207
967 横顔のいい人にあるメロドラマ 199207
968 呼ぶ人など誰もいなくて父の日に 199207
969 柩が柩を呼んだ日が暮れて 199207
970 神々が呼んでいるごとくに蛍 199207
971 やさしい顔に微熱が それも母 199207
972 蜘蛛の巣に謎をかけてる待ち合わせ 199207
973 腕時計見る癖がやがて嫌われる 199207
974 無能のレッテルに割れたガラス瓶 199208
975 働いて働いて川広くなる 199208
No 掲載月
976 雷鳴や 男らしく髪を切る 199208
977 男らしい男になろうと哲学書 199208
978 似顔絵は紳士らしく描いてみせ 199208
979 蛍狩り父の哀しさが見え隠れ 199208
980 素知らぬ顔をして楽しいおとぎ列車 199208
981 水たまり疲れた犬がグルグルと 199208
982 入道雲にみとれいつしか少年に 199209
983 深井戸をのぞき明日が遠くなる 199209
984 夕焼け小焼けリズムを整え出直そう 199209
985 リズムがよくて進みがちな時計 199209
986 盆踊りのリズムに狂うレコード針 199209
987 無風という風に冷える左肩 199209
988 他人の中で乱れた葬送曲 199209
989 堂々と嘘つきになる子の父で 199210
990 脇役と悟ったときは五十肩 199210
991 妻の留守セールスマンに負けられぬ 199210
992 居留守かな赤いカーテン揺れている 199210
993 留守がちの女がつける赤い仮面 199210
994 追伸と書いて迷う赤鉛筆 199210
995 陣痛の果てのコスモス一面に 199210
996 無口な男に秋がどっと寄せ 199211
997 嘲笑の聞こえぬ耳でロバの耳 199211
998 病歴はなしと書いて痛む胸 199211
999 道化師が泣いて歴史の幕が降り 199211
1000 アドリブばかりの私の歴史 199211


No 掲載月
901 三日月に二人して乗る童話が好き 199110
902 指定席 さがしている間の終演 199110
903 悶々と日替わりランチを待っている 199110
904 秋不順気になる娘のイヤリング 199111
905 青春の残像も消えた手鏡 199111
906 変化を求めた旅が静かすぎる 199111
907 変わりやすい天気の中で人を待つ 199111
908 生は罪秋から冬へ身構える 199111
909 幸せに疲れ鉛筆丸いまま 199111
910 私だけ許してしまう舞台裏 199111
911 秋の月好きというには白すぎて 199111
912 痴話喧嘩 女一気に冬支度 199112
913 落ち葉には悪魔が潜む冬日差し 199112
914 待つことに飽きて疲れて落ち葉になる 199112
915 待っていた電話は鳴らぬ親離れ 199112
916 平和かな日替わりランチを待つ蟻ら 199112
917 裏切りに慣れた薬指太くなる 199112
918 妻と見るもみじはいつか一枚に 199112
919 私と縁を切りたい影法師 199112
920 跡形もなく少年が消えた顔 199201
921 峠にたどり着くまでの良い話し 199201
922 脇道を歩き続けまだある余命 199201
923 広い道を行けばきっと行き止まり 199201
924 馬鹿な親です暗い道を行く 199201
925 ふりかかる落ち葉が重い十二月 199201
No 掲載月
926 呼び出し音すぐ消えて午後のさみしさ 199201
927 西日の部屋で老後の話しなど 199201
928 二十一世紀の約束しているメロドラマ 199202
929 駅伝中継 手も足も奪われて 199202
930 人恋し人を捜して向こう岸 199202
931 負けたかな向き合う席目を伏せる 199202
932 人嫌い猫嫌い向こうに情報誌 199202
933 雑踏に乾いた古傷捨てていく 199202
934 寒い朝シルバーシートが空いている 199202
935 梅林で孫の話を 春支度 199203
936 遮断機を無視した鳩の死亡記事 199203
937 堂々巡りの村芝居めく大都会 199203
938 巡り巡って古本屋で出会った人 199203
939 冬だから知恵の巡りが悪くって 199203
940 方言を聞くネクタイの軽やかさ 199203
941 虚々実々 漬け物石が軽くなる 199203
942 女性史に女らしさを書きとめる 199203
943 転勤をひかえ発言を控えている 199204
944 春風の株券軽く空を舞い 199204
945 燃えつきた後に新芽のふくきざし 199204
946 燃える目が四月の電車走らせる 199204
947 枯れ草を燃やし土筆を見つけだす 199204
948 沈黙の雑木林にいる私 199204
949 いい奴というには遠い冬景色 199204
950 窓ガラスに写る女が美しい 199204


No 掲載月
851 選挙カー ベットに届けと妻の声 199106
852 道草の楽しい娘のレンゲ草 199106
853 見舞いの桜は夜に散りいそぐ 199106
854 目に青葉すべてのことは夢として 199106
855 回復の兆しはなくて髭伸びる 199106
856 人並みに闘病記書く待ち時間 199106
857 メロドラマに飽きたら退院しなければ 199106
858 入院で悟ったことはすぐ忘れ 199106
859 その先に右往左往の道がある 199106
860 手も足も口も動く治療師で 199106
861 治療師の質素な口車の乗った 199106
862 好物をすべて否定されて迷う舌 199106
863 自然食の勧めに迷う妻の腕 199106
864 忠告は忠告として三分搗き米 199106
865 ごろ寝してゴールデンウィークは嫌い 199106
866 連休明け不安な足の通勤者 199106
867 少しずつやわらぐ痛さ未来論 199106
868 歩くのがこんなに嬉しいれんげ畑 199106
869 夏までの辛抱ですと蛍待つ 199106
870 風鈴クルクルと僕のネジをまく 199107
871 雨あがり男の虹はすぐ消える 199107
872 乗り慣れた自転車すいと菩提寺へ 199107
873 乗り継ぎの電車が見えぬ夫婦仲 199107
874 終電車に乗って亡父の顔を見る 199107
875 合い鍵を持ってから夢は大胆に 199107
No 掲載月
876 足一本痛み無気力な風になる 199107
877 手の内を隠し男は交差点 199107
878 行き殺す無風の中の風鈴で 199108
879 気にかかるうわさ話に口すすぐ 199108
880 昔昔 妻を見あげた虹の橋 199108
881 石橋を叩いて渡る軽い悔い 199108
882 中年の疲れがユラリ橋に揺れ 199108
883 夏の夜は自問自答のわなに落ち 199108
884 蛍こいこい宝くじを買いました 199108
885 夢夢夢 破れた星が落ちてゆく 199108
886 すぐ幕となる父と子の紙芝居 199109
887 男の切る玉ねぎは目に痛い 199109
888 本物の夏が光りの中にいる 199109
889 満天の星を消した文化の灯 199109
890 太陽を三つ四つ描く抽象画 199109
891 蝉の中 夫婦は静かに時を待つ 199109
892 海深く男の美学は語るまい 199109
893 夏病みの妻が見つめる鍋の底 199109
894 裏庭にいつしか雑草生い茂る 199110
895 家計簿の上で止まった細い指 199110
896 腹三分 秋風サラリと吹き抜ける 199110
897 鈍行で行き着く先は吹きだまり 199110
898 ハーモニカ吹き少年に戻りたい 199110
899 吹き替えの声がずれてるメロドラマ 199110
900 おだてられ吹きっさらしの席にいる 199110


No 掲載月
801 中年の微熱が続く重い月 199011
802 月の道おとぎ話が欲しくなる 199011
803 月に傘 別れ話が言い出せぬ 199011
804 白髪増え冬が来たなと味噌煮込み 199101
805 空白のページが青春の墓標 199101
806 四十路を突き詰めて峠にでる 199101
807 愚痴話は峠を越えてからにする 199101
808 峠から月を見る脳裏に痛みあり 199101
809 湯豆腐の底から沸き立つ怒りだな 199101
810 赤い実の好きな娘の恋心 199101
811 老母の道草いまだ醒めぬ夢 199101
812 人恋し賽銭箱が重くなる 199102
813 受験生の親です痛む足がある 199102
814 双六の真ん中にある落とし穴 199102
815 中央で踊り続けているピエロ 199102
816 中央をめざす人から死に急ぎ 199102
817 思いきりカーテンを開くと良い兆し 199102
818 目覚ましを三つおいて寝つかれず 199102
819 雪やコンコン肩の荷をソッと降ろし 199102
820 娘らと過ごす部屋にすきま風 199103
821 冬の中に秘密を抱いた親離れ 199103
822 日記帳の中で殺した人に会う 199103
823 中年のこだわりがある褪せた日記 199103
824 絵日記の苦手な占い好きの娘 199103
825 嘘ばかり書く鉛筆が折れている 199103
No 句  掲載月
826 吉報が春一番に乗ってくる 199103
827 やさしい子に往復切符買い与え 199105
828 合格の通知に長いしっぽがあり 199105
829 外は晴れ 読書の敵が多すぎる 199105
830 本を閉じ自問自答の白い壁 199105
831 戦後史のページを追えば痛む足 199105
832 母の日はその言い分に負けておく 199106
833 若葉の匂う女に語りかけ 199106
834 猫の目で浮き世を見ている面白さ 199106
835 猫は猫 父は黙って家を出る 199106
836 猫舌の政治屋が説く平和論 199106
837 飽食の海でまもなく沈む船 199106
838 靴下の穴から夫婦の疑問符 199106
839 酢卵を勧めて帰る彼は海 199106
840 僕の置いた石につまずいてしまう 199106
841 本物の痛さになって馬鹿が言えぬ 199106
842 足二本で歩けぬなんて信じない 199106
843 この足の他に馬鹿だというものは 199106
844 痛む足 四月に入院するなんて 199106
845 体験というにはあまりに白い壁 199106
846 沈思黙考 隣のベットあいたまま 199106
847 見習いの看護婦は娘と同い年 199106
848 愛想のよい看護婦の注射針 199106
849 腰椎が酷使に負けて僕も負け 199106
850 老母には老母の気配りいなり寿司 199106


【第1集掲載開始:2003年(平成15年)3月20日】
【第2集整理終了:2004年(平成16年)8月14日】


川柳&ウォーク