“仕事を退職するまでは、名鉄犬山線で名古屋駅へ通う毎日。ラッシュで身動きがとれない通勤時の楽しみは、窓から外の景色が見える位置を確保して「名古屋城」を見ることでした。帰りは暗いのでお城は見えませんでしたが、いつの頃からかライトアップされ、夜も見ることができました。
電車のスピードは、あまり速くないので、お城の緑色の屋根や金シャチが、はっきりと見えていました。ビューポイントは、名古屋駅に向かって東枇杷島駅手前あたり。本当に毎日のルーティンでした。考え事をしていて「あっ」と気づくも遅し、見過ごしてしまうことも多々ありましたが。
退職後は、滅多に電車で名古屋駅には行かなくなりました。昨年、久しぶりに乗車する機会があり、いつものビューポイントで目を凝らして見ていたのですが、お城が見えません。見えていた空間にビルが建ち、お城は見事に遮られてしまっていました。うーん、残念。
その後、何回も名古屋駅に行きましたが「お城が見えないのは寂しいなぁ」と思っていました。が、先日見つけたんです。新たなビューポイントを。庄内川を渡る前あたりで一瞬、お城がど~んと姿を現してくれるんです。密かな私の楽しみ復活です。”(3月27日付け中日新聞)
愛知県江南市の田崎さん(女・66)の投稿文です。犬山線で名古屋へ通う、ボクも長年田崎さんと同じ生活であった。昔の犬山線の混み具合は尋常ではなかった。よく通ったものだと、懐かしく思う。今は混んでいても比較にならない楽さである。そんな状況で田崎さんは楽しみを見つけておられた。名古屋城を見ることである。それが大きなビルが建ち、時と共にビューポイントが変わっていく。そして新たなビューポイントを見つけられた。ボクも何となく名古屋城を見ていたと思うが、それ程に意識することはなかった。田崎さんの楽しみを知って、ボクも今度気をつけたいと思う。小さなことでいい、いろいろなところで楽しみを見つける。これも生活の知恵であろう。この投稿が縁で、田崎さんと繋がるか。