“就寝するにあたり、居間のある場所にいつもそこにある玄関の鍵がないことに気づきました。家中をあちこち捜すこと3時間、どこにもありません。午前2時すぎ、ふと玄関先の郵便箱が気になり、開けたら何と鍵がメモ用紙に巻かれた状態で入っているではありませんか。「通りがかりの者ですが、鍵が玄関に刺さっていたので、抜いて入れておきました」とのメモがありました。感動し感謝の念で涙があふれました。おそらく発見者は、鍵が刺さった状態のままだと犯罪に遭うことを心配したものの、時は深夜とあって呼び鈴を鳴らすことがはばかられたのでしょうか。
メモは宝物として戸棚の引き出しに入れました。私も別のことで他人の役に立てたらと思っています。”(12月2日付け中日新聞)
愛知県豊川市の赤松さん(男・87)の投稿文です。玄関の鍵がない、これは大事である。誰かの手に渡っていたとしたら、もう気が気でない。一番入りやすいところである。家中掻き回されるかもしれない。でも、親切な人がいて、ポストに入れておいてくれた。その原因も鍵を抜くことを忘れ、刺したままにしていたのだ。いろいろ気を使った計らいであった。まずは感謝です。
しかし、こうしたうっかりはどんどん多くなる。多いのは、鍵をかけたか思い出せないのである。心配になって戻ってみると、ほとんどはかけてあるのである。無意識の習慣である。ボクも何度家に戻ったことか、戻ることが徒労になっても仕方がない、と思って戻るのである。赤松さんの事例とは少し違うかもしれないが、忘れるという意味では同じである。何事も意識を持ってやる、言うほどに簡単ではない。