“三月に退職してからしばらくたち、気づいたことがある。「今、私は無職だ」ということだ。銀行の窓口などで「職業は?」と聞かれるたびにハッとする。自分の意思で再就職を断り、現在に至るのだから致し方ない。
そんな私ながら、一方で「本当に無職なのか」と自問することがある。炊事、洗濯、掃除、買い物などの家事に加え、家庭菜園の世話、母の介護やリハビリ施設への送迎、夫の病院付き添い、庭木の剪定や消毒、車や家のメンテナンス、税金や各種料金の支払い・・・。やるべきことは山積していて実に忙しい。
フルタイムで働いていたときは「早く退職して、悠々自適の生活を満喫したい」と思ってきたが、そんな生活は夢物語の幻想であったことを遅ればせながら知った。仕事を辞めても自分の自由な時間がぐんと増えるわけでは決してなかったのだ。今日も雑事が私を待っている。”(6月10日付け中日新聞)
三重県鈴鹿市の遠藤さん(女・60)の投稿文です。ボクは完全退職してもう4年が経ち、そしてこのコロナ騒動で妻と過ごす時間が多くなった。妻は専業主婦だったから、もう幾十年と1日の過ごし方が出来上がっている。もちろん家族の状況などで変わってきたと思うが、それでも勤めていた人に比べ変動の幅は少ない。そして、何もしていないと言うときがほとんど無い。テレビを見ていても何かしながらである。それでも遠藤さんの言われる雑事よりは少ない。以前は母の介護が大きかったが、今は亡くなってもう無い。夫の病院の付き添いは今までのところ無い。庭木の剪定や消毒、家のメンテナンスはボクの仕事である。それでもよく動いている。
フルタイムで働き、退職してこの投稿である。フルタイムで働いていたときの遠藤さんは、どんな生活をして見えたのだろうか。ここに書かれているようなことは、どのようにしておられたのであろうか。気になるところである。今まで通りにしていたら確実に自由時間は増えたはずである。それが自由時間は増えなかったと言われる。どうしてこう言われるか、ボクなりに想像するが、どうも判然としない。どう分析されるか、本当に聞きたいところである。
しかし、これが女性がいつまでも活力を失わず、元気な理由だろうと思う。男は退職して家事に励むようになったと言っても、多分たかが知れていて、余暇を持て余しているだろう。にわか仕込みと女性の違いである。ボクを基準にしての話で思い違いもあろうが、女性は家事が元気の素であり、愚痴など言わず頑張って欲しいと思う。