“私は身体障害者で、足がしびれて歩行が困難だった。しかし老人ホームで歩行訓練したおかげて、数百メートルなら休まずに歩けるようになった。そういう状況下、名古屋の中学のクラス会の案内が来た。どうしても行きたい。ホームでは老人の単独の遠方旅行の例がない。慎重論が出た。 しかし切符購入時にみどりの窓口に依頼すれば、無料で改札口から乗車まで、それと下車後、タクシー乗り場まで車いすに乗せてくれる。問題は金沢駅の西口から改札口までのわずかな距離であるが、これぐらいは歩ける。やっとホームから許可が下りた。 いよいよ当日。タクシーで金沢駅へ。改札口までは一人で用心深くつえをついて歩けた。改札口から「しらさぎ」の席まで駅員さんが車いすで運んでくれた。名古屋駅ではプラットホームに駅員さんが待機。タクシー乗り場まで全く歩く必要がなかった。 会の参加者は九人、うち女性四人が誰か分からない。名前を聞いて、あーそうかと思い出し、昔の面影を探した。 楽しい時間はあっという間に過ぎ、何人かが名古屋駅の改札口まで送ってくれた。帰りは行きと同様に両駅の駅員さんの助けで、時間通り無事老人ホームまで帰れた。やったぞ、と感じ、今後の生き方に自信が持てた。”(3月12日付け中日新聞)
金沢市の関崎さん(男・77)の投稿文です。関崎さんはボクの知人です。と言っても面識はありません。関崎さんの奥さんがボクの妻と同じ職場であった。と言ってももう45年近い昔のことです。妻と奥さんは仕事を辞めた後も年賀状のやり取りをしていた。もう何年も前に奥さんが亡くなり、年賀状のやり取りもなくなった。数年前、突然関崎さんからメールが届いた。その後時折メールのやり取りをする。それだけの知り合いである。でもこうして関崎さんの文が目に止まった。同じ文でも知り合いかないかで大違いである。すぐに見た旨、メールを送った。励みになったろうか。 車椅子の人が、金沢から名古屋まで一人で往復することができる。書かれている通り、たくさんの人の親切を受けることになるが、でもそれができる日本になった。自然に任せておけば、強者がますます強くなるのが人間社会。それをいろいろな知恵で、弱者に優しくするのが国家としての社会ではなかろうか。高齢化社会が進むこともあって、車椅子の人はますます多くなるだろう。明日の我が身かも知れない。そういう人達もできるだけ街に出ることが必要だろう。引きこもりはますます事態を悪化させる。関崎さんのように、活動的であって欲しい。