“「今年はいつもの半分だね」。目の前にある、二メートル弱の高さのミカンの木を見てつぶやく。毎年、二百個近くの黄色い実がなる。葉っぱの緑より目立つ、オレンジ色や黄色の大きな玉で枝が折れそうになっている。主人がうれしそうに色づきを見守っている。毎年、十二月と一月の二回に分けて収穫するのは彼だ。
一つ一つ大事そうにはさみを入れ、箱に入れている姿は無邪気な子どものようだ。数日置いてから、家族で食べる。玉が大きいわりに、甘みがありおいしい。
今年も楽しみにしていた。今年の夏から秋にかけて、日本中が天候に苦しめられた。豪雨に台風が、人々に混乱と絶望を与えた。幸いわが家は、一回の停電で済み、ミカンの木は頑張ってくれたようだが、幹を守るため、多くの実が犠牲になった。
冬になり気温がぐんぐん下がると、青かった実が一気に色づいた。黄色からオレンジ色に変わっていくのを見て主人が「いつ収穫しようか」とウキウキしている。例年よりは少ないけれど、主人を笑顔にしてくれるミカンの木に感謝。来年はきっと、たくさんの実をつけてくれることだろう。”(12月11日付け中日新聞)
浜松市の主婦・鈴木さん(51)の投稿文です。ミカンの木の寿命は30~40年と言われます。何年前に植えられたのでしょうか。そしてこれはボクの感じですが、果物は1年おきに豊作、不作が繰り返される気がしています。
果樹を自分で作って収穫するのは嬉しいものです。鈴木さんの気持ちがよく分かります。ボクも毎年味わっています。今年は酷暑に台風等もあり樹木にも厳しいものがあったでしょう。ボクの家では枯れた木もあります。そして、ボクの家には父が植えたミカンの木が2本あります。父が亡くなってもう35年以上過ぎますから、多分はもう50年以上の寿命でしょう。移設した場所が悪いのか、近年ほとんど成ったことがありません。ところが何としたことか、今年その木の1本が100個近くの実をつけたのです。びっくりです。木の命の素晴らしさを思いました。今までは邪魔な枝を切るだけでほとんど手入れをしませんでしたが、これからはもう少し大切に扱おうかなと思っています。
ボクの家には他に柿、枇杷、イチジク、キウイ、夏みかんなどがあり、これらは毎年大量に収穫します。また、桃やブドウもありますが、これらは余り収穫していませんでしが、今年は成りました。これからはもう少し手入れをしようと思っています。ある有り難さ、もう少し手を入れないと申し訳ない気がしています。
これを今年の最後とします。良い話をできるだけ集めたいのですが、難しい時代、なかなか苦労するものがあります。でも、最後は良い話で終わることができました。読んで下さった皆さん、ありがとうございました。良い年をお迎え下さい。