“「おばあちゃん、僕の先祖ってどんな人?」ある日、僕は祖母に聞いてみた。年長者だけあって、祖母は自分より三世代前の人物まで詳しく知っていた。僕はふと計算してみた。親は二人いる。祖父母は、父方、母方合わせて四人。祖父母にも二人ずつ親がいるから、曽祖父母は八人。一世代さかのぼるごとに、その世代の先祖の人数は二倍増える。つまり、十世代さかのぼれば二の十乗で千人を超すではないか。
もし、十世代前の千人以上の先祖のうち、一人でも欠けていたら、この世に僕は存在しない。先祖の力を身にしみて感じた。”(10月14日付け中日新聞)
「300文字小説」から愛知県一宮市の中学生・寺澤君(12)の作品です。大切なことに気付かれたものである。本当にそうなのである。自分一人で生まれ自分一人で育っているような振る舞いをしている人も多い。これは傲慢である。親があり先祖があって自分がある。まさにご先祖様の力である。これほど明らかなことを忘れている。10代遡ると2000人以上になるらしい。こう気づくと自分があるのは奇跡といっても言いすぎではなかろう。更に親があって自分が育てられている。親ばかりではない。周りのいろいろな人の恩恵もある。感謝しなければなるまい。
墓についてもいろいろ取り沙汰される時代になった。墓終いも進んでいるようだ。ボクの家の墓には3代前の人の名が書かれている。ボクの家は名家ではない。家系図はない。もっと父母に聞いておけば良かった。墓の墓碑銘で知るのみである。でも墓で知ることができる。