“私の兄弟姉妹を紹介します。長女九十三歳、次女八十七歳、長男八十五歳、次男八十二歳、三男八十歳、三女(私)七十八歳、四女七十六歳、四男七十三歳、五女六十九歳。以上九人。
現在自慢できるところ。全員健在。よく食べ、よくしゃべり、よく笑う。一人も介護を受けていない。大きなけんかはしたことはない。全員お人よし。何ともめでたい九人兄弟姉妹です。だけど陰では、こそこそ悪口ざんまい。小さいころはきょうだいが多くて、恥ずかしいと思ったときもありましたが、今となったら全員が幸せを感じながら、楽しく生活しています。
日ごろは二、三ヵ月に一度、次女の家に集まりおしゃべり会を楽しんだり、毎日誰かが電話をくれたりします。短いときは十五分くらい、長いときは三時間くらいになることも。それが一日に三、四人とかかってくると、電話だけで一日が終わってしまうことも。これがボケ防止になってるのかな、と思います。
最後には「あと十年は生きたいね」「そんなに生きたら、家族や国に迷惑。ほどほどにあの世に行けよ」とか言って、話は長々と続きます。でも今の子どもたちには、こんな経験はできないと思うと、少し寂しさを感じています。”(11月7日付け中日新聞)
愛知県尾張旭市の自営業・加藤さん(女・78)の投稿文です。これはまた何という至福な兄弟姉妹でしょうか。産めよ増やせよの戦前の親世代にはこうした多産の話をよく聞く。ボクの同級生にも10人以上の兄弟の人がある。しかし、69歳から93歳の今、9人全員が健康、そして今も親しく交流している、とはまた凄い。まず健康を損なう人があっても普通である。そして、兄弟は他人の始まりという。一人二人疎遠になっていても不思議ではない。「何ともめでたい九人兄弟姉妹です」と言われるのも当然である。
今は少子時代である。あっても2、3人、子供を持つことを否定する夫婦もある。何がそうさせているのだろうか。いろいろあっていいが、でもこれでは日本の人口は減り続けるのである。減って何が悪いか、という人もある。しかし、少し考えてみると、これは大変なことである。今までの社会が成り立たないのである。いい社会に変わるのならいいが、とてもそう考えられない。だから今、子供を持つ世帯を増やそう、大切にしようといろいろな政策が打たれている。でもこのことはもう何十年も前に分かっていたことである。遅きに失していると思う。