2016/07/02(Sat) (第2294話) 道ひと筋 |
寺さん |
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“五月の日曜日に、高校卒業五十周年の同窓会があった。いつも東京から参加する級友T君の姿がないので、幹事に尋ねると、体調が思わしくなくて今回は欠席だという。その五日後、彼の訃報が届いた。 T君は大学卒業後、日本点字図書館に就職し、一生をその仕事にささげた人だ。なぜ点字だったのか。そのきっかけは、高校時代のボランティアだったと、いつのころか聞いた記憶がある。「それが仕事になるなんてね」。彼は恥ずかしそうに言っていた。 在職中は数々の点字出版物を手掛け、1998年には自らも『点字・点訳基本入門』という手引書を出版した。級友のよしみでいただいたが、地元でほそぼそと点訳ボランティアをしている私には、まぶしくも心強い存在だった。 遺言で献体し、葬儀は行わないと伝え聞いた。視覚に障害のある方にずっと寄り添い、そのサポートをするボランティアを多数育て、最後には自らの角膜をも提供して、彼は旅立った。「道ひと筋」という生き方に徹した級友は、人生のしまい方も見事だった。そういえば、今年の年賀状は北陸新幹線車窓から写した山河の写真だった。肩の荷を下ろした彼は今ごろ、美しい風景を追って、旅の続きをしているに違いない。”(6月15日付け中日新聞)
愛知県豊橋市の主婦・洲淵さん(68)の投稿文です。高校時代にボランティアで体験したことを仕事にして一生を見事に終えた。道ひと筋に生きた。こういう人は当然大きな功績も残す。良い人生だったろう。少なくとも同級生の洲淵さんは敬服されている。心から1人でも敬服する人があれば、それは1人では終わらない。この文を読んで敬服された人は多かろう。ボクもその1人で、だからこうして紹介している。 「道ひと筋」この価値をもう一度考えてみたい。これは継続と言うことである。継続の価値は高い。「継続は力なり」続けていれば能力もでき、いろいろな成果も生む。いろいろな考え方、生き方があるが、大きなことのできない凡人には小さなことの継続ならできる。またそれしかできない。それができればもう凡人ではなくなる。継続はそれ程に難しい。これはボクの口癖である。
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