2015/01/25(Sun) (第2060話) 良い年 |
寺さん |
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“元日、夫と二人で母に新年のあいさつに行った。「今年も良い年にしたいね」と言うと、思いがけない答えが返ってきた。「去年は私にはもったいないくらい良い年だった。今年も健康に気を付けて、去年のように過ごしたい」 母は今七十八歳。月に数回、地域のボランティア活動に参加したり、気が合う友人とお茶を飲んだりするほかは、のんびりと家事をしている。私には変化が乏しい毎日を送っているように見える。それなのに、なぜそんなにもったいないくらい良い年だった、と思っているのだろう。 不思議に思い、その訳を尋ねてみた。すると、こんな答えが次々と返ってきた。「こんな私でも役に立てることがあるのはありがたい」「おいしいと思って食事ができるのはありがたい」《そうだったのか》。母の言葉を聞いていて、あることにふと気が付いた。《母は小さな幸せに感謝する気持ちをいつも持っているからだ》と。 帰宅後、夫がこう言った。「お手本になる生き方だね」そうだ、私も今年は母を手本にして毎日を過ごしてみよう。今年の大みそかに「私にはもったいないくらい良い年だった」と言えることを目標にして。“(1月6日付け中日新聞”
名古屋市の小学校講師・池村さん(女・53)の投稿文です。ここにも感謝の気持ちが大切なことを知る話があった。「去年は私にはもったいないくらい良い年だった」と言うには感謝の気持ちがなくては出て来ない。感謝の気持ちは平穏な日々の原点である。ボクもこの「話・話」を書くようになったからか、歳を取ったからか、昔と違って感謝の気持ちを強く持つことが多くなった。「話・話」の影響はかなり大きい。これだけ良い話を集め、読み、意見を書く。感化を受けない訳がない。これで感化を受けなかったら愚かか傲慢の何物でもない。歳を取ったことも大きいと思う。一社会人とし、一家庭人として、欲を言えば切りがないが、概ねなすことはなしてきた。父の死亡年齢も超えた。その余裕であろうか、何事もありがたく思えるようになった。池村さんのお母さんは78歳、ボクにはもう一時代ある。まだまだ感謝の気持ちを持つことが多くあろう。そして池村さん夫婦、こんな母親から良い教えを受け止められた。夫婦円熟に勢いを増すだろう。良い手本があってもそれを受け止めなくては何もならない。受け止めるには素直な気持ちも必要である。素直な気持ちと感謝の心、できるだけ早くから持てるに越したことはない。
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