2013/08/14(Wed) (第1813話) そっと寄り添う |
寺さん |
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“自らの命を絶つことを防いだり、残された家族の支援活動に取り組む「いのち・サポートひだ」が、心の悩みを抱えた人にそっと寄り添うボランティア養成講座を開くという記事が目に留まった時、《これからの人生、学ぶのならこれしかない。自分の使命かもしれない》と思えた。 私にも十五年前に自ら命を絶った息子がいた。親として助けてあげられなかったことが心に残っている。悲しみ、苦しみ、反省している時に学ぶ機会に出合うことができ、とてもうれしかった。《これからは、一人でもいいから息子の分、誰かを助けなくては》と心が熱くなった。 それから二年六ヵ月。さまざまなことを学んだ。しかし、相手の立場や人の心は、そんなに簡単に理解できるものではなかった。途中でやめようと思うこともあったが《優しくて一生懸命頑張って生きてきた息子の姿を恥じることなく人に語ろう》《命の大切さ、残された家族の悲しさを、これからは機会があれば語っていこう》と誓った。 まだまだ未熟な私だが、これまでの人生経験を生かし、困っている人にそっと寄り添って心の手助けができれば幸せだと思っている。”(8月2日付け中日新聞)
岐阜県高山市の建具職・下手さん(男・71)の投稿文です。早くして子どもを亡くした親の悲しみは言いようがない。特に自殺となるとその悲しみ、苦しみはたとえようがなかろう。そういう家族を支援する団体があり、その中でボランティア活動を学ぶ人の話である。下手さんは60歳後半にして、これが自分の使命と自覚された。そして2年半学ばれ、いよいよ活動に入られる。立派だと思う。ボクは幸いに身近で幼い命をなくしたことがない。下手さんの本当の気持ちは分かっていないだろう。 人生を無駄に使う人がいる。しかし、そんな命も危うくなると無性に大切に思えてくる。そんな大切な命だったらもっと有意義に使っていたらと思う。これは多くの人に言えることである。ボクもその一人である。何ごとも危うくなってその大切さに気がつくのが人間であるが、それでは遅いのである。しかしである、下手さんのように自分の使命を何歳にして感じるのか、分からないものである。それだけにおいそれと人生をあきらめてはいけないし、自殺なんて本当にもったいないことである。 先日いろいろ手伝ってもらってきた知人に、会って欲しいと言われて会った。はっきりとは言われなかったが、手術ができない箇所のガンであるという。一瞬にして別れが来る。ますます生きている時間の大切さを思う。
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