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第110号  2013年6月

2013/06/29(Sat) (第1790話) おもいでかえる 寺さん MAIL 

 “娘が結婚することになり、披露宴で使う写真を探しに来た。整理しきれないまま十数年もたってしまった三人の子の写真を仕分けした。屈託なく笑ったり、真剣に走ったり、大真面目な顔で楽器を演奏したりする子どもたちが写っていて、とても懐かしくなった。
 そして突然、その写真を撮った時には意識していなかった子どもたちへのいとおしさが込み上げてきて、写真の大切さを痛感した。
 そんなことから、東日本大震災被災地へ二度目のボランティア活動に出かけるにあたり、被災写真の洗浄を加えたいと思った。大震災から二年以上がたち、洗浄された写真の展示場も閉鎖されつつある今も、「おもいでかえる」という団体が仙台で活動を続けていることが分かった。
 何度も来られている方たちは、塩水に漬かってしまったアルバムの台紙から写真を丁寧にはがす作業を、初心者の私は、流されて持ち主の分からない写真の裏の泥やカビをふき取る作業をした。赤ちゃんのスナップ写真、入学式や結婚式の写真・・・。どれも皆、大切な思い出の一枚。どうか一枚でも多く思い出が帰りますように。”(6月19日付け中日新聞)

 愛知県安城市のパート・浅井さん(女・60)の投稿文です。身の回りにはお金で買えるものと買えないものがある。お金で買えるものの多くは何とかなる。しかし、お金で買えないものは何とも難しい。過去のこととなるともうどうにもならない。思い出の写真は一つである。ボクもたくさんのアルバムがあるが、ある時はそれ程に思わないが、無くなるとかなりショックであろう。
 津波はすべてを押し流した。その写真を探し出し、綺麗にして持ち主に戻す。こんなことをされているボランティア団体もあるのだ。浅井さんは愛知県から2度も災害地に出かけられ、こんな活動をされた。ボクなど多少の義援金は出したが、それだけである。浅井さん始め多くのボランティア活動をされている方には頭が下がる。




2013/06/27(Thu) (第1789話) DJポリス 寺さん MAIL 

 “こんなにびっくりしてうれしかった朝はなかった。サッカー日本代表がワールドカップ出場を決めてくれた次の日の朝のことだ。試合当日は大混乱が予想されるため、東京の渋谷駅前交差点で通行制限があると事前に公表されていた。だから、テレビで試合を見ていた私は、試合後の選手や監督のコメントを聞くと、早々にテレビを消して休んだ。これ以上見続けると、羽目を外したサポーターが群衆となり、大騒ぎをして警官と衝突する場面も見なければならなくなるだろうと思ったからだ。
 ところが、予想は見事に外れた。一人の警官がDJばりの巧みな話術で群衆を魅了し、安全に誘導したとの二ュースがテレビでもネットでも流れた。群衆の中の誰一人として怒らず、むしろ笑顔で警官の言葉に聞き入っていた。その映像に感動してしまった。
 こんなニュースはどんどん世界にも配信してほしい。日本人が大震災の時に譲り合いの精神で乗り切り、世界の人々に称賛されたが、今回の映像も大いに誇っていいと思う。”(6月13日付け中日新聞)

 岐阜市の介護施設職員・林さん(女・48)の投稿文です。ボクも翌朝ニュースを見て、何のことだろうと、最初は戸惑ったがそのうち分かった。警察官の誘導の話であった。その後新聞記事で、機動隊の広報係の巡査で、「広報上級検定」の合格者であることを知った。そして、警視総監賞が授与されたことも知った。
 DJつまりデスクジョッキーとはラジオ番組などで、音楽を掛けながらその間をトークで繋ぐ司会者のことである。この警察官をDJポリスと誰が呼び始めたのかは知らないが、聞いた人にそれだけ新鮮な感動を与えたのであろう。
 6月24日の中日新聞家庭欄に「DJポリスに学ぼう」としてこのポリスさんの言葉を紹介していた。それを紹介します。前者は普通の言い方で後者がこのポリスさんの言葉です。
それをやってはだめ!→それはイエローカードです
通行中の皆さん→12番目の選手であるサポーターの皆さん
お巡りさんの言うことを聞きなさい→お巡りさんもチームメート、チームメートの言うことにも耳を傾けて下さい
 なるほどと頷くばかりです。




2013/06/25(Tue) (第1788話) 旅の思い出 寺さん MAIL 

 “友達や近所の人に会うと、宣次さんは海外旅行の話をした。定年後四年間で十六回も行ったことが誇らしい。妻はまだ会社勤めなので、すべてツアーの一人参加だ。
 いいご身分で、などと皮肉まじりに言う人もいる。宣次さんは、元気なうちに海外旅行をしない人が不思議だ。いずれ足が弱る。病気になるかもしれない。六十代の間に五十カ国は回りたかった。妻には「あなたのお金で行ってね」と厳しく言われる。貯金はすべて海外旅行で使い切って死ぬつもりだ。
 「フランスの田舎へ出かけてみるよ」「あら、去年の六月に行ったじやないの」ツアーの日程表を調べると、確かに八日間旅していた。いつも駆け足旅行だし、アルバムを整理するヒマがない。ヨーロッパの名所は似ていて、どこがどこやら不明だ。ビデオとデジカメで大量に記録しておくのが、宣次さんの趣味だった。
 「あなたの旅って、何だかもったいないみたい。せっかく遠くまで行くのに自分の目で見ないんだもの」と妻に笑われた。宣次さんは海外へ行くのがちょっぴり不安になってくる。
 テレビでいろいろな国の街歩き番組を見るのが妻は好きだ。ツアーでは行かない市場や路地に感激し、喜ぶ妻の方が、旅の醍醐味を満喫しているように感じられるのはなぜだろうか。”(6月12日付け中日新聞)

 作家・西田小夜子さんの「夫と妻の定年塾」からです。一瞬ボクの話かと・・・似ている。ボクも外国には興味があり、定年後には早く多く行きたかったが、老母の介護があってなかなか実現できなかった。4年前の6月にその母が亡くなり、遅れを取り戻そうとその後2年半で10回出かけた。今年町会長職が予想され、1年出かけられなくなるという思いもあって拍車がかかった。ボクはビデオは撮らないが、写真を多く撮ってくるのは同じである。自分の目で見てきただろうか・・・十分に見てきたと言い切る自信はない。ボクは昔から、旅行の楽しみは「行く前に3割、行って5割、帰って2割」といってきた。行く前にたくさん調べ勉強し、帰って記録をキチンとする。確かに昔はそうしていた。滅多に行かないからそのようにできる。多くなるともう面倒である。前も後もおざなりになっていた気がする。ただ後はホームページの掲示板でクイズ形式にして紹介してきたから振り返る機会になったし、再度調べ直す機会になった。良い場を持っていたと思う。そして撮ってきた写真はフォトフレームで毎日のように見ている。毎日6時間、20秒間隔で写真が移り変わっていくようにセットしている。この二つは宣次さんと違うところであろう。でもボクも要注意である。




2013/06/23(Sun) (第1787話) おやじさんパワー 寺さん MAIL 

 “私の日課の一つに朝のウオーキングがある。先日、田園の細道で乗用車の後輪を用水路に落として途方に暮れている若い男性がいた。その傍らで営業中と思われるタクシーが止まり、運転手さんがジャッキを持ち出して奮闘中。私も急きょ応援。そのうち、近くからトラクターや小型トラックが駆けつけてきた。
 一見して六十歳すぎの方ばかり。大きく斜めに傾いた車にあれこれと知恵を出し合い、車体をジャッキアップしてタイヤの下に石を詰め込んだ。あとはロープでけん引。ハンドルの切り方、ロープが万一切れたときの危険回避方法など各自の経験がモノを言い、スムーズに脱出できた。
 「ありがとうございます」。礼を述べる男性を尻目にタクシーの運転手さんは「じゃあな」の一声のみ。ほかの人たちもまるで何事も無かったかのように仕事に向かわれた。その間約十五分。皆さんそれぞれ予定がある中で、自分のことのように手伝ってあげる。困っている人を見ると黙っていられない団塊のおやじさんたちを、あらためて素晴らしいと感じた。いつまでも頭を下げる男性を後ろに見ながら私も少し胸を張った。”(6月9日付け中日新聞)

 愛知県豊田市のパート・池本さん(男・65)の投稿文です。居合わせた4人のおじさんがちょっとしたいいことをする。少しの汗をかいたこともあってさぞいい気分であったろう。多くの人にとっていいことをすることはいい気分にさせるものなのだ。それが分かっていながらなかなか手が出ない。きざな行為と見られないかと他人の目を気にしているのである。ボクなど綺麗なところに一つか二つのゴミが落ちているととても気になる。何気なく手を出せば済むことである。それを後で手が出なかったことを苦にするのである。
 今は元気なおじさんが活躍せねばならない時代だ。特に地域のことはおじさんがしなくて誰ができるか・・・いない。




2013/06/21(Fri) (第1786話) 有償ボランティア 寺さん MAIL 

 “「無料でやってもらうのは申し訳ない。わずかでもお金を払う方が気軽にお願いできる」。愛知県日進市で最近、シルバー人材センターの有償ボランティア事業を利用した高齢女性の言葉だ。
 一律五百円の利用料で登録会員が高齢者宅を訪れ、電灯の交換やエアコン掃除などの簡単な作業をやってくれる。取材前は「ボランティアなら、無料にすればいいのに」と思っていたが、女性の話を聞いて納得した。実際、利用者の多くから「有料の方が遠慮せずに頼める」」という声が上がっていた。
 ボランティアは本来「自発的な無償奉仕」」の意味だ。だが最近は、こうした有償ボランティアも各地で広がってきている。高齢化で住民同士の支え合いが必要となる中、「遠慮」というハードルを下げる有償ボランティアは、大きな力になりそうだ。”(6月5日付け中日新聞)

 「目耳録」という記事欄からです。難しい問題だが、ボクは有償ボランティアでいいと思っている。相手にも余分な気遣いが必要でなくなる。そして何ごとも無料はよくないと思っている。役所もいろいろ無料のサービスをしているが、わずかでも取るべきである。無料だと使う方に節度がなくなる。わずかでも取れば、必要でも無ければ控えるようになる。控えるようになることを批判する人もあるが、経済社会で無料は成り立たない。ただ取れば、客だとばかり横暴になる人のあるのも困ったものだ。一宮友歩会では言われたことはないと思うが、他のウォーキングの会では参加費を取っているのにこのサービスは何だと不平を言われたことがある。
 町会長には、実は市から手当が出ている。でも多くの町内会ではその手当を町費に入れてしまっている。名誉職と思われていた時代からの慣例でそのまま続けていることかと思うが、これでは時間ばかりでなく金銭的にも負担が多く、ますますやり手はない。最近、町会長に渡すようにしたという地域も聞くが、ボクはする気はない。年十数万円もらって、もらっている癖にと言われたらたまらない。お金のことは難しいものだ。




2013/06/19(Wed) (第1785話) 夫婦わん 寺さん MAIL 

 “台所を修繕するため食器棚などを片付けていると、奥から木箱に入った夫婦ぞろいのお茶わん、おわん、湯飲みのセットが出てきました。それは、私が学生時代にアルバイトをしていた店の社長さんから結婚祝いににいただいたものでした。
 結婚したらこれを使うのを楽しみにしていましたが、母から「義理のお母さんや、義理の弟、妹と同居するのだから、夫婦ぞろいを出してはいけない」と言われました。私としてはとても不満でしたが、《同居とは、そういうものか》と思い、言われる通りにしました。
 そして、二十六年の年月が過ぎてしまいました。もう九十歳になり、認知症もある母にこのことを話しても、きっと記億にないでしょう。でも、今では、それでよかったんだ、と感謝さえしています。長い時間、ずっと包まれたまま出される日を待っていてくれた夫婦ぞろえを一つ一つ手に取ってみると、バイト時代や新婚当時が懐かしく思い出されました。今更照れくさいので、来客用に使うことにしました。
 明るくなった台所の真新しい食器棚に並べた夫婦ぞろいが、何だかうれしそうにしている気がします。”(6月3日付け中日新聞)

 愛知県愛西市の農業・中野さん(女・51)の投稿文です。こんな配慮があるのかと驚いた。昔の人の配慮は凄いものだ。自分よりまず人である。
 人の喜びを、表面上を喜んでみせるが素直に喜べる人は少ない。それだけに喜びを見せる時は慎重にならねばならない。中野さんのお母さんはそのことに気遣ってみえたのだろう。今の時代この気遣いはあまり必要ないと思うが、だが一事が万事である。一つのことがすべてにつながっていくので、この心がけは忘れないようにしたいものだ。特に恵まれていると思える人は要注意だ。ボクもその一人だが・・・。
 この文の中で「今更照れくさいので、来客用に使うことにしました」と言うことはいただけない。今こそ堂々と、長年忘れていた楽しみを味わうべきである。




2013/06/17(Mon) (第1784話) 祈りの字手紙 寺さん MAIL 

 “入院中に同じ病室だった方から定期的に届く絵手紙に励まされていることをつづった「希望の絵手紙」(五月八日付)を読み、亡くなった友のことを思って涙しました。
 私は、漢字一文字にメッセージを添えた「字手紙」を闘病中の友人に時々送っていました。「返事は気にしないでね」ともしたためましたが、彼女はその都度、「ありがとう」と電話をくれました。その元気そうな声に安心したものです。
 しかし、昨年秋に送った時には、電話はありませんでした。《具合が良くないのかな》と思いつつも、こちらから電話をかけることははばかられました。字手紙も《かえって迷惑では・・・》と思うようにもなっていました。
 それでも久しぶりに三月末、満開の桜がとても美しいので「桜」という一字を書いて送ろうと思っていた時に、彼女は亡くなりました。先日掲載された「希望の絵手紙」を読み、《彼女もひょっとして、私のつたない字手紙でも楽しみにしていてくれたのかも・・・。もっと送っておけばよかった・・・》と少し後悔しています。”(5月30日付け中日新聞)

 静岡県藤枝市の主婦・小山さん(60)の投稿文です。絵手紙があるのだから字手紙があっても不思議ではないが、それでもあまり聞いたことがない。人はいろいろあって、実にいい。
 病人の見舞いや励ましには気を使うものです。気に触るような言葉や態度はなかったろうか。小山さんも返事があると安心された。無いとよかったろうかと不安になる。でもほとんどのことは気にすることはなかったのである。今の時代、手紙は本当に減った。手紙は来るだけでも嬉しいものである。ボクには絵手紙は無理だが、字手紙ならいけそうである。覚えておきたい方法だ。




2013/06/15(Sat) (第1783話) 三浦さんの偉業 寺さん MAIL 

 “世界最高峰のエベレストの登頂に成功した三浦雄一郎さんの姿に、喜びというよ熱い感動が湧き上がってきました。史上最高齢の八十歳での登頂、おめでとうございます。何といってもすばらしいのは、三浦さんの目標を持ち、その目標に向かって諦めないという生き方です。自分の敵は自分で、自分に負けないことの大切さを教えてくれました。
 目標があるから頑張れる。炎の人間となれるし三浦さんが登山を始められたのは六十歳の時とのことで、以来、体を鍛え心を鍛えていかれました。偉業を達成した三浦さんの発した言果にさらに感動しました。「世界最強の登山家たちが、ぼくを引き上げてくれました」と。
 「五十歳、六十歳は鼻たれ小僧」を実証してくれました。足腰が痛いなんて言っていられません。大きな希望と勇気を私たちに、いや世界に与えてくれました。私も負けない心で新しい目標を立て、進みたいと思います。”(5月30日付け中日新聞)

 岐阜市のパート・桐山さん(男・72)の投稿文です。80歳で世界最高峰のエベレスト登頂、プロといえどもいくつもの仰天です。僕ら凡人とあまりにかけ離れた話で、これでも同じ人間でしょうか。富士山に登る人が増えていますが、それでも生涯に1度でも登った人を周りで探してもそれ程にあるとは言えないでしょう。富士山でもエベレストとなると桁が違います。まずは素直に賞賛しましょう。
 僕ら凡人はどうすればいいのでしょう。やはり与えられた立場で、桐山さんの言われるように「負けない心で新しい目標を立て、進む」でしょうか。最近のボクは少し心が負けています。つまらぬことで腹を立てたりしています。「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」机の上に張ってあるこの文に恥ずかしい思いです。




2013/06/13(Thu) (第1782話) 自然を残そう 寺さん MAIL 

 “日課の朝の散歩に出かけ、カワセミを三度見かけました。尾北自然歩道を流れる五条川周辺です。最初はコバルトブルーの一羽が、川の下流から水面すれすれに勢いよく飛んできました。二度目はつがいで、川面に茂る雑草を気ぜわしく行き来していました。三度目はつがいでなく、一羽だけが草花の枝に羽を休めていました。
 その光景を対岸からしばし食い入るように観察しました。辺りには誰一人おらず、まるでそこが絵画のキャンバスに早変わりしたような錯覚に陥りました。いつもなら、この鳥をカメラに収めようとする愛好家を何人か見かけるのですが。
 めったに見られないカワセミに合えた幸せをかみしめています。自然はいつまでも自然のままに残しておきたいと、誰もが願っています。地元の自治体や居住する方々は、日ごろから奉仕活動などによって自然を残す努力をしています。子々孫々まで豊かな自然を大切に残してほしいと願い、家路に就きました。”(5月29日付け中日新聞)

 愛知県大口町の松坂さん(男・66)の投稿文です。尾北自然歩道はボクの家からそれ程遠くないところにあり、ボクも時折行くことがある。そしてカワセミはいつも見られるというわけではなく、ボクもここで数回カワセミを見ている。綺麗な鳥で、見かけると本当に幸運と思い飛ぶ姿を追っている。自然とは本当にいいものである。動植物園で見てもこの感動はない。これをお金で買おうとしたらどのくらいになるだろう。多分、いくら積んでも買えないのではなかろうか。また失った自然を戻そうとしたら、これもいくらお金を積んでもできないと思う。そんな自然は守っていかねばならない。変える時には十分過ぎるほどの慎重な判断の上でしたいものである。




2013/06/11(Tue) (第1781話) 義父母の力 寺さん MAIL 

 “子どもを育てるには三者が必要だといわれている。三者とは学校、家庭、地域である。要は三者が一体となって教育に当たれば、子どもたちは健全に育っていくということだろう。特に私は家庭の力を実感している。私と妻だけで二人の子どもは育てられない。片方が寝込んだり、けがをしたりしたら、誰かに助けてもらわないとやっていけない。
 私の場合、近くに住んでいる妻の父母にその役割をお願いしている。勉強にしても、自転車の乗り方にしても習い事にしても、義父母の助けがなかったら、中途半端で終わってしまっているものばかりだ。その意味で、私にとって教育の場である家庭は、妻の父母も合めた家庭である。「じいじ」「ばあば」と、子どもたちも妻の父母を慕っている。そういう関係の中で生活できる子どもたちの幸せをかみしめているところである。”(5月29日付け中日新聞)

 岐阜県八百津町の公務員・細江さん(男・44)の投稿文です。この文は、ボクの娘婿のものかと一瞬思った。ボクの家も全く同じ状態にある。娘はボクの家から150mほどのところに住んでおり、娘から妻に1日に何通のメールが届くのだろう。頼み事も小さな出来事も伝えてくる。孫が保育園の時は週に数回送っていき、小学校に入ったら帰ってくるのを家で待っていることも結構ある。先日は孫がけがをし、ボクもかり出されて大騒ぎであった。そして週に何回となく訪ねても来る。僕らがいなかったらどうするのだろうと、思うくらいである。でもこれは僕らにも大きな楽しみである。いい関係にあってありがたいことである。
 僕らが子育ての頃は両親と遠かったこともあり、このようにはいかなかった。でもやってきた。多くの人は与えられた境遇の中で何とかしていくのである。今の時代、細江さんやボクの家の状況は意外に少ないのではなかろうか。




2013/06/09(Sun) (第1780話) 下校時の見守り 寺さん MAIL 

 “孫娘がこの春、小学校に入学した。入学前から下校時の安全確保に不安を感じていた。校門を出てから帰宅するまでの間が安全の空白区域である。市内をはじめ、近隣地区から痛ましい交通事故のニュースや不審者情報メールが頻繁に届く。下校時の交通安全対策や不審者対策などは、必ずしも万全とはいえない。
 そんな中、何か自分で地域に恩返しできることはないかと模索していたとき、地元の老人クラブ有志数人が児童の下校時間に合わせて町内の要所に立ち監視活動をしていてくださることを知り、これまでの不安は一気に拭い去られた。行政の手の届かないところを優しくサポートしていただき、児童を持つ家族にとってこの上ない安心と安全を享受している。心から感謝したい。
 下校時の見守り活動は他地域でも実施されていると思うが、その効果は大きいはずだ。この種のボランティア活動が全国規模で展開されて、児童の下校時の安心・安全のレベルがさらに高まることを切望する。”(5月29日付け中日新聞)

 愛知県瀬戸市の水野さん(男・65)の投稿文です。登下校時の見守りについては、ボクの地域でも数年前から始まっている。PTA、町内会、老人会が当番を決めて毎日行っている。ボクの地域であまり自慢できることはなさそうだが、これについてはまだ数年のことではあるが、自慢できそうだ。またボクの知人で自主的に毎日やっている人もある。頭が下がることである。
 先日ボクは「通学路」という幟を点検して回り、古いものは取り替え、新たに箇所も増やした。幟は市に要望すればいただけた。実はこうしたことを知ったのも町会長になったからである。いろいろな人がそれぞれの場で活動し地域で子どもを守る、大切なことである。




2013/06/07(Fri) (第1779話) 老人クラブの重要性 寺さん MAIL 

 “私は地域で十五年にわたり老人クラブの会長を務め、この三月末で引退したが、運営のイロハについていろいろと体験しました。現状のテーマとして、一つは会員の減少です。名古屋市十六区の会員数は二〇一二年度に八万六千五百九十五人だったが、翌年度は八万二千百二人となり、四千四百九十三人の減少となりました。年々減少に歯止めがかかりませんが、地道な努力で会員確保をすべきです。
 もう一つは会長、役員はボランティアのため、人材確保に苦慮することです。幸い、わがクラブは後任会長がすんなりと決まり、本当に良かったと思っています。
 人生九十年時代を迎え、老人クラブはますます重要性を増しています。誰でも気楽に参加できる講演会や演芸会、旅行、軽スポーツ競技などの行事を企画、実施すれば、会員の皆さんに歓迎されると思います。高齢者が社会において何か役割を持つことは、健康面でも大切だと思います。私自身も微力ながら今まで体験したことをばねに、再び貢献できることを模索しています。(5月29日付け中日新聞)

 名古屋市の大河内さん(男・79)の投稿文です。まずは大河内さんにご苦労様といいたい。そして言われるように高齢者が増えているのに、老人クラブは衰退しているのである。ボクも昨年度、地元の老人会会長をやり、その悲哀を感じた。その一つには定年が65歳になり、70歳でも働く人が増えてきたことがあげられるが、これが原因ならそれはいい。それは問題ではない。問題は全く見向きもしない人や役員になることが嫌で入らない人、脱会する人があることである。
 ボクの地域に限って言うと、老人会が一般の人に何をやっているか分からないことである。何かの魅力がなければ入らない。しかし、もっと活発にする方法はあると思う。ただそれを誰がやるかである。ボクの地域で一番の問題は、いろいろな会の役員がすべて1年任期であることである。このことは以前から思っていたことであるが、今年町会長をやっていてその感をより強くしている。大河内さんは15年務められたというから全く恐れ入るが、15年という長さはまた別の問題がある気がする。




2013/06/05(Wed) (第1778話) ボクの1778話 寺さん MAIL 

 この「話・話」を始めてまもなくの2004年6月23日に「(第10話)1778話」で、作家・眉村卓氏の「妻に捧げた1778話」の本のことを取り上げた。その中で「その爪の垢ほどにもならぬが、私も密かに決意するのである」と書いた。この決意とは内容はともかく数字上1778話を密かに決意したのである。そして丸9年かかり、今回その目標を達成した。当時この決意はそれ程強いものでもなく、あまり大きな数字にただ目標を持とうと思っただけのことである。それだけに500話、1000話の時はよく続けてきたと達成感を感じた。そして、1778話に達した。素直に喜ぼう。
 最近は話題探しにかなり苦悩を覚えている。でもまだ通過点と思おう。今はほぼ1日おきにアップしているが、これが少し苦しくなっている。これが数日おきになっても続けよう。もうライフワークである。書く価値、続ける価値はあると思っている。「話・話」はボクにとっても大きな刺激になる。共に成長していこう。多くではないかも知れないが、このページのカウント数は毎日伸びている。読者はある。これも支えに頑張って行きますので、今後ともよろしくお願いします。




2013/06/03(Mon) (第1777話) 地域の安全 寺さん MAIL 

 “二軒隣の一人暮らしの方から「一週間、検査入院をするので、よろしくお願いします」とメールが届いた。今年、町内の組長となったわが家は、回覧板を回したり、町費を集めたりするお手伝いをさせていただいている。
 その方とは世代も違うが、先日、ごみ出しの際に、アドレスを交換しておいた。自宅の電話番号はお互いに知っていたが、自由気ままに送受信ができるメールの方が、何かあったときに連絡が取りやすいだろうと思ったからである。
 「外出するときは室内の電気やラジオをつけたままで」などの近所づきあいから、町内全体の防犯を心がけたいものだ。一通のメールで「○○さんには一週間、回覧板を回さないようにしよう」「入院中は、私たちが家の前の掃き掃除をしよう」など、在宅の雰囲気を漂わせる手伝いができる。
 やれる人が地域の安全のために微力を尽くして、町内全体がよくなり、学区全体がよくなり、区全体が、市全体が・・・と広がっていけばいいと思った。”(5月28日付け中日新聞)

 名古屋市の主婦・藤原さん(46)の投稿文です。藤原さんの気遣いは素晴らしい、ここまでできる近所付き合いは近頃では少なかろう。でも本当に必要なことである。「遠くの親戚より近くの他人」とか「向こう3軒両隣」という言葉もある。少子化、高齢化の今こそ必要である。
 個人情報保護法ができ、それが変な動きになり、世の中おかしくなっている。必要なことまで伝えないのである。新聞等でもよく話題になっている。町会長には区域内の家族構成等が以前は知らされていた。それが今は全くない。先日も「見守りネットワーク推進協議会」なるものが開かれ、町会長の当て職で出席した。独居老人や高齢老夫婦、障害者、母子家庭などの暮らしに注意して見守って欲しいという。しかし、その対象になる人の名簿は渡されない。どこに誰が住んでいるかも分からない。自分達で探して下さいと言うことである。そんなことをしたらそれこそ問題視されかねない。これでは掛け声だけ、ポーズだけで終わるのである。




2013/06/01(Sat) (第1776話) 地域で育てる 寺さん MAIL 

 “私の住む地区の小学校から、春の遠足時の案内役を依頼されて十年余になる。「ふるさとを知ろう」という趣旨で、地域を四分割して順番に回り、四年で一巡する。今年は道端に石仏やほこらのたくさんあるおよそ十キロのコース。子どもたちが石仏などに興味があるかどうか不安だった。
 子どもたちは全員で三十五人。いくつかの班を編成し、それぞれが今日の目標を発表する。六年生は一年生と手をつないで、励ましながら二列になって出発した。冷たい風が吹いていたが、皆、とても元気だ。石仏、ほこら、大きな木、炭焼き小屋などに案内、説明した。子どもたちは真剣に聞いてくれ、安心した。
 同行した校長先生は「子どもは宝物。その宝物を地域の人たちと一緒にしとねる(育てる)、ひとなる(人となる)」必要性を強調された。私も同感だ。地域の過疎化は深刻だが、住民が少ないからこそ、子どもたちが人と人とのより温かなつながりを紡いで、古里に自信と誇りを持てるようにしていかねばならない、と再認識した一日であった。”(5月20日付け中日新聞)

 岐阜県恵那市の会社役員・山口さん(男・72)の投稿文です。子どもを育てるのは家庭、学校、そして地域である。山口さんは地域で育てるを実践されている。それも地域を知ることによってである。知れば愛着も生まれる。大切な活動である。恵那市といわれるから過疎化が進んでいるのだろう。切実な思いもあるだろう。頑張って欲しい。
 ボクの地域は戸数は増え続けている。でも子を育てる環境はよくなっているだろうか。この1年いろいろ知ることになろう。町会長になってまだ数ヶ月であるが、問題点ばかりに目につき困惑している。


 


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