2013/06/25(Tue) (第1788話) 旅の思い出 |
寺さん |
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“友達や近所の人に会うと、宣次さんは海外旅行の話をした。定年後四年間で十六回も行ったことが誇らしい。妻はまだ会社勤めなので、すべてツアーの一人参加だ。 いいご身分で、などと皮肉まじりに言う人もいる。宣次さんは、元気なうちに海外旅行をしない人が不思議だ。いずれ足が弱る。病気になるかもしれない。六十代の間に五十カ国は回りたかった。妻には「あなたのお金で行ってね」と厳しく言われる。貯金はすべて海外旅行で使い切って死ぬつもりだ。 「フランスの田舎へ出かけてみるよ」「あら、去年の六月に行ったじやないの」ツアーの日程表を調べると、確かに八日間旅していた。いつも駆け足旅行だし、アルバムを整理するヒマがない。ヨーロッパの名所は似ていて、どこがどこやら不明だ。ビデオとデジカメで大量に記録しておくのが、宣次さんの趣味だった。 「あなたの旅って、何だかもったいないみたい。せっかく遠くまで行くのに自分の目で見ないんだもの」と妻に笑われた。宣次さんは海外へ行くのがちょっぴり不安になってくる。 テレビでいろいろな国の街歩き番組を見るのが妻は好きだ。ツアーでは行かない市場や路地に感激し、喜ぶ妻の方が、旅の醍醐味を満喫しているように感じられるのはなぜだろうか。”(6月12日付け中日新聞)
作家・西田小夜子さんの「夫と妻の定年塾」からです。一瞬ボクの話かと・・・似ている。ボクも外国には興味があり、定年後には早く多く行きたかったが、老母の介護があってなかなか実現できなかった。4年前の6月にその母が亡くなり、遅れを取り戻そうとその後2年半で10回出かけた。今年町会長職が予想され、1年出かけられなくなるという思いもあって拍車がかかった。ボクはビデオは撮らないが、写真を多く撮ってくるのは同じである。自分の目で見てきただろうか・・・十分に見てきたと言い切る自信はない。ボクは昔から、旅行の楽しみは「行く前に3割、行って5割、帰って2割」といってきた。行く前にたくさん調べ勉強し、帰って記録をキチンとする。確かに昔はそうしていた。滅多に行かないからそのようにできる。多くなるともう面倒である。前も後もおざなりになっていた気がする。ただ後はホームページの掲示板でクイズ形式にして紹介してきたから振り返る機会になったし、再度調べ直す機会になった。良い場を持っていたと思う。そして撮ってきた写真はフォトフレームで毎日のように見ている。毎日6時間、20秒間隔で写真が移り変わっていくようにセットしている。この二つは宣次さんと違うところであろう。でもボクも要注意である。
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