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第108号  2013年4月

2013/04/29(Mon) (第1761話) 喜寿の介護福祉士 寺さん MAIL

 “「私にサクラ咲きました」。介護福祉士の試験を受けた七十七歳になる母から、エ−プリルフールの四月一日に届いたメールだ。毎年、ちゃめっ気たっぷりの「うそ」を用意する母にしては自虐的すぎる。かけた電話がつながるまでの短い間に、母のたくさんの苦労と並々ならぬ努力が思い出された。
 そして母の声を聞いた瞬間、合格を確信した。うれし涙で声にならない私とは対照的に「なんか受かっちゃった。あれっ? 風邪でも引いたの?」とけろっとしている。
 後期高齢者になる年に介護福祉士の試験に初挑戦。ミニサイズに改造したテキストを使って電車の中でも才暇を借しんで頑張ったが、学科試験で落ちた。再挑戦した昨年は、学科試験に合格するも実技試験で涙をのんだ。そして今回、三度目の正直で見事合格!
 限られた条件の中、知恵を絞って努力することを楽しめるのが母の長所。心から尊敬して誇りに思う。体に気をつけて、この年だからこそできる介護を提案していってほしい。ただ一つ。けがをしては仕事にならないので、大好きな木登りはそろそろ自粛してね。”(4月21日付け中日新聞)

 名古屋市のパート・原田さん(女・44)の投稿文です。後期高齢者になって介護福祉士に挑戦とは、何とも恐れ入る。もう介護を受ける年に近いのにである。そして、見事に合格するのだからまたまた立派である。この後は多分介護福祉士として働かれるであろう。高齢者には高齢者の気持ちがよく分かる、喜ばれる介護福祉士になられるであろう。
 ボクの机の上には「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」という教えが置いてある。まさにその実践者である。




2013/04/27(Sat) (第1760話) PTA会長 寺さん MAIL

 “三月の卒業式に続き、今月の入学式の祝辞を終え、二人の子どもが通う小学校のPTA会長という大役がほぼ終わった。二年前、なり手のないPTA会長を決めるくじ引きで大当たりしてしまい、仕方なく会長識を引き受ける羽目となった。
 しかし、職務を遂行しているうちに職責の重大さや、学校行事との関わりなどが徐々に分かり、PTAの役員全てが一年で交代するという慣例に疑問を持つようになった。考えた末、前例を破り、二年間会長識を務める決意をした。幸い私と同じ考え方で残留してくれる役員が四人ほどいて、協力を申し出てくれたことが大きな勇気づけとなった。
 そんなことで、曲がりなりにも二年間の会長職を全うすることができた。最初は戸惑いばかりであったが、一年目の経験を二年目に生かし、多少の改善を図ることができた。
 規約を改正し、次からの会長は二年間務めてくれることとなった。会を通じ、先生や父母の方とも新しい交流が生まれた。PTA会長職は終了するが、この二年間の経験を生かし、機会があれば今後もこうした組織活動へ参画しようと気持ちを新たにしている。”(4月21日付け中日新聞)

 三重県亀山市の会社員・後藤さん(男・41)の投稿文です。前回に続いて、地元役員の話である。しかし、こちらは全く立派、凄いという話である。
 今まで1年のPTA会長職であったものを2年務める、それもくじ引きで選ばれた職であるのにである。最近は役職の引き受け手を選ぶのに全く苦労である。人柄を見て選ぶなどと言うのは全く無理で、この場合のようにくじ引きも結構あるようだ。ボクの地域のPTA会長もどうもそのようらしい。務めている内にその職務の重要性に気づき、2年続ける決意をする。それに同意して役員を2年続ける人が4人も現れた。これも凄い。後藤さんの決意と人柄に惚れられたのであろう。
 ボクの村には5つばかりの会があるが、どれもすべて任期は1年である。ボクが今務めている町会長職も1年である。そして多くの人がこの弊害を感じている。ボクも感じている。しかし、2年続けるとは絶対に言えない。後藤さんは凄い。




2013/04/25(Thu) (第1759話) 老人会が閉幕 寺さん MAIL

 “「一本締めで終わります」。長年続いた町内老入会も幹事さんの掛け声で閉幕を迎える。老入会も時の流れには勝てず、会員の減少に加え、高齢化と役員不足で終わりを迎えたのです。
 最後の総会は食事とビンゴゲームで楽しく過ごしました。仕切るのは女性役員の皆さん。チームワークと段取りの良さ、目上の人への細かい気配りなど、和やかな雰囲気に終始しました。その様子は閉会がうそのように思えるほどでした。
 私たち老人会は親睦旅行や食事会など、回を重ねるごとに親密度が増しました。社会貢献の一環として駅周辺の清掃にも参加するなど、会の誇りとともに高齢者の心意気を示してきました。
 そんな老人会を新しい形で再起させるためにと、町内会長をはじめ若手の皆さんが思案中の様子です。高齢者が急増する時代、一人一人が体を大事にし、周りの仲間と交流を深めることは大切だと思います。微力ながらも、また社会に貢献できる幸せを感じたいものです。”(4月14日付け中日新聞)

 名古屋市の河上さん(男・79)の投稿文です。高齢者が増えている。恐ろしい勢いで増えている。老人会はどんどん盛んになっていっていいのに、どうして衰退していくのだろうか。
 今年3月までボクは老人会の会長を務めた。そして分かったことは老人会に入ってこない、役員のなり手がない、ボクの地域でも同じであった。入らない理由に老人会に魅力がないことがまずあげられる。ボクが勧誘に行った時、入ってどういうメリットがありますか、と問われると確かに言いにくかった。しかし、この歳になったら地域に奉仕するのが主で、奉仕しながら交流などの益を得るのである。河上さんが言われるとおりである。そんなこと言う人に向かってこんなこと言っても理解されることはない。絆、絆というわりに目の前は疎遠になっている。今年度町会長をしているが、住民の家族構成も電話番号も知らされていない(以前は知らされていた)。これでは危急の時の対応ができない。もっと皆で考えねばならないと思う。




2013/04/23(Tue) (第1758話) 愚かな言い訳 寺さん MAIL

 “「今からやるって言ってんじゃん」母との口論で毎度口にする言葉だ。勉強、家事の手伝い、片付け・・・。生活する場面で怒られるとすぐに言ってしまう。これが□癖であり、言い訳であることも分かっている。自分でも気をつけようとするけれど、いつの間にか出てしまうのだ。
 ある日、やらなければいけないことを忘れていて、注意されたことがあった。その時、私は言い訳せず「あ、ごめん」と言い、すぐに行動した。母は「気いつけや」とひと言、言っただけだった。
 私は、いつも自分が口にしていた言い訳がとても愚かなものに感じられた。言い訳をしなければ母と口論になることもないのだ。そんな当たり前のことに気付いて、私は自分が少し成長したように感じた。以来、私は口癖である言い訳をしないように気をつけている。しかし、それよりも「言われたことはすぐにする」ということを心がけなければならないなと思った。”(4月12日付け中日新聞)

 愛知県安城市の高校生・村尾さん(女・16)の投稿文です。我々は自分をいつも正当化させたい、間違っていると言われたくない。そこでいつも言い訳を考えている。無意識でそのようにしている。村井さんもそうだった。しかしある時、母親に注意された時、素直に誤り従った。母親の態度も優しかった。いい方向に回転を始めたのである。それを村井さんは気づかれた。16歳の女高生の話である。前回は88歳の高齢者の話であった。いい回転が始まるように努めたいものだ。




2013/04/21(Sun) (第1757話) 幸せに感謝 寺さん MAIL

 “子ども会の廃品回収が行われた日は朝から小雨で、古い新聞や衣類を地面に直接置くことができなくなりました。そこで資原回収用のかごを借りてその上に載せ、ビニールをかぶせて留め石を置いておきました。
 《子ども会の皆さん、こんな日に大変だなあ》と思いながら家事を済ませ、借りたかごを片付けようと外へ出ると、かごもビニールも石もきれいに片付けられていました。決められたことはできても、余分なことはしないといった昨今の風潮をよく耳にしますが、うれしことに世話係の方と子どもたちが片付けてくださったようです。世話係の方の温かい言葉や行動が子どもたちの心にも響いたのでしょう。
 今まで町内のいろいろな仕事や当番などをしてきましたが、こうした温かい心遣いを人から受けた立場になると、こんなにもうれしいものかと、人のぬくもりをしみじみと感じました。本当に、ありがとうございました。このような世話係の人たちに育てられている子どもたちは、立派に成長することと思います。このような方たちにかこまれて暮らしていることの幸せに深く感謝しました。”(4月11日付け中日新聞)

 岐阜県海津市の河合さん(女・83)の投稿文です。この文を私の理解では、言っていることが逆の気がします。廃品回収の物品が雨に濡れないように配慮された河合さんが感謝されることではなかろうか。しかし、配慮したものを綺麗に片付けてもらったことに河合さんが感謝される。これぞ人生の達人ではなかろうか。達人の領域に達せられた人の気持ちであろう。何にもすべて感謝である。こんな配慮を見せられた人は、自ずと謙虚な気持ちになる。いい回転が始まる。
 この場合、もしそのままになっていたら・・・多分河合さんは役だってよかったと思ってその片付けをされたであろう。しかし、多くは片付けぐらいしたらどうだ、と不満に思われるのではなかろうか。もうやってやらない、と思われるかも知れない。多くは感謝の言葉や態度を期待するのである。人生の達人に達するのはなかなか容易ではない。




2013/04/19(Fri) (第1756話) 「お父さん、お帰り」 寺さん MAIL

 “小さい箱が宅配で届いた。この箱が届くことを、ずっと待っていた。うれしくてたまらない。実は、この箱の中身は主人の顔をした指人形だ。
 主人が亡くなったのは六年前。それ以来、居間に主人の写真が飾ってある。その顔が、私の気持ち次第で笑顔になったり、怒った顔になったりする。不思議だ。しかし、動かないし、しゃべらないからつまらない。
 ある日、本物そっくりに作ってくれる指人形師がいることを、姉から教えてもらった。指人形なら動くし、主人の声をまねて出せば、しゃべることもできる。《よし、これだが》と思って問い合わせたところ、作っていただけることになった。どんな顔に仕上がるのか楽しみだった。
 大事に大事に箱を開けてみた。すると、少しほほ笑んだ顔が箱から出てきた。主人そっくりだ。思わず笑ってしまった。早速、指にはめ、主人のしぐさや声をまねてしゃべってみた。まるで子どものようにはしゃいでいる自分がおかしくてたまらない。そして・・・小さくなって帰って来た主人を、そっと抱きしめた。「お父さん、お帰り」”(4月10日付け中日新聞)

 愛知県半田市のパート・竹内さん(女・51)の投稿文です。ご主人が亡くなって6年、指ご主人に似た指人形まで作って愛おしむ、こんなに愛しく思う夫婦があるのか、感嘆します。早く亡くされたからそうなのか、いや、そのように思われる夫婦の交歓、愛情があったのでしょう。改めて夫婦っていいものだと思う。いい夫婦は良いものだ。
 我が夫婦はもう45年に近くなった。穏やか日々を過ごしている。ある意味、空気のような部分もある。これで一方が亡くなった場合、どうなるのであろう。淡々と受け入れるのか、嘆き悲しむのか、よく分からない。




2013/04/17(Wed) (第1755話) 夢日記 寺さん MAIL

 “「夢日記」を付け始めて二十年近くになる。夢を捉えることは実に難しいものだ。七、八時間一気に眠ると、最後に見た夢しか覚えていられない。それで私は一石二鳥を狙って、床に就く前に百CCほどの湯を飲む。すると、眠りに落ちてから三時間ほどで必ず自然に目が覚めるのである。
 目覚めの直前は「レム睡眠」で必ず夢を見ているので、それをトイレに立つついでにメモしておく。そして再び同量の湯を飲む。するとまた、約三時間後に目覚めるので、再度夢を記録する。こうして、運が良ければ三つの夢を捉えることが可能となる。
 私はあまり水分をほしがらない体質であるが、血液濃度の保持のために良いとされているので、水分吸収によりまずは健康的である。それに喉を潤せるので風邪をひきにくくなるのだ。こうして二十年ほど健康を維持しながら、夢を記録し続けて脳を活性化させている。”(4月3日付け中日新聞)

 岐阜県多治見市の阪野さん(女・64)の投稿文です。夢の内容を記録する。その努力をして20年近くになるという。夢の研究者なら分かるが、それが健康法とは面白い話であるが、ボクには信じられない。20年と言われるから単なる思いつきではない。書き留めた夢の記録をどうされるのだろう。その夢を題材に小説を書くとか、何か活用法を考えてみえるのだろうか。是非そうして欲しいものだ。
 ボクもよく夢を見る。それもあまりいい夢ではない。夢を見なかったらどんなに楽かと思う時がある。阪野さんに相談したら、それこそ活用しなさいと言われてしまうだろうか。活用できれば待ち遠しく楽しくなるだろから。




2013/04/15(Mon) (第1754話) 検査入院の夜 寺さん MAIL

 “「寝て極楽起きて地獄」というが、旅先で温泉につかり、寝るのが最高のぜいたくだと思っている。一年に二、三回は楽しみたいと願っているのだが。
 つらかったのは、昨年秋に検査を兼ねて三日間入院した時だ。真っ白な天井にベッド、そしてピンク色のカーテンがじつに清潔に見えたが、消灯後無性に寂しくてほとんど眠れず、夜明けが待ち遠しかった。普段は午後十時に就寝し、午前六時に起きるが、最近眠りが浅くなった。訳の分からぬ夢ばかり見て、睡眠不足にならないかと心配しているが、妻は「いびきをかいてよく寝ている」と笑う。夜半にふと目を覚ますと、枕元のラジオのスイッチは切られているし、妻が寝るのも起きるのも気が付かないのだから、いつの間にか寝入っているのだろう。(後略)”(4月3日付け中日新聞)

 岐阜県海津市の市田さん(男・80)の投稿文です。ボクもつい少し前、3日間の入院をした。ちょうど48時間の入院であったが、何も支障がなければもう帰りたいだけである。確かに病院はあまり居たいところではない。でも、市田さんのように寂しかったわけではない。3日の入院がこのように寂しかったとは、この方はこの歳までいかに元気だったか、いかに恵まれていたかと言うことであろう。ボクと比べて一回り年上の方の気持ちである。80歳ともなるとより寂しくなるのだろうか。この先はこんなことが度々であることも覚悟しなければならない。人間は寝ないでは居られない。それが寝られないのは辛い、うまく寝られる人は極楽である。




2013/04/13(Sat) (第1753話) つらい時間 寺さん MAIL

 “三月十一日の本欄「逆転ゴールで万感うれし涙」を読み、とても共感しました。筆者は十年間、ハンドボールを続けたとのこと。私もつい先日、二十一年間続けたラグビーの選手生活から身を引きました。最後の六年間はレベルの高いチームに所属しており、ラグビー人生の中で一番つらい時間でした。しかし、その分うまくプレーできたときの喜びや安堵感もひとしおでした。
 私が引退時に先輩からいただいた言葉があります。「ほとんどの選手が百パーセント満足することなく引退する。それが人生。全員が満足するなら、世の中は人生の成功者であふれている。大事なのは、競技を通して培ったこと、後悔していること、そのすべてをこれからの人生に最大限生かすこと。そこで初めてやってきてよかったと実感できる」この言葉を体現するのはこれからです。投稿された女性が経験したつらい時間も無駄ではありません。ともにこれからも成長していきましょう。”(4月2日付け中日新聞)

 愛知県豊田市の会社員・有田さん(男・28)の投稿文です。スポーツも競技となると辛いものである。例えば高校野球を見ていていつも思うのだが、地方代表になって喜んでも甲子園ではいつか負け、悔し涙で泣くのである。嬉し涙で泣くのは全国でただ1校である。強い者は強い者なりに泣き、弱いものは弱いものなりに泣く。「ほとんどの選手が百パーセント満足することなく引退する」のである。だから有田さんの先輩の言葉が生きるのである。
 今年3月30日の「(第1746話)第二希望でも」も同じ話である。負けたこと、失敗したことを活かしていくのが人生であろう。そのことを後ろ向きの姿にすることこそ人生の敗残者であろう。




2013/04/11(Thu) (第1752話) 予約でお待ちの方が 寺さん MAIL

 “(前略) 本を借りると「貸出シート」というレシートをくれる。そこには本のタイトル、返却期限などが印字されている。借りた本の一つに「次に予約でお待ちの方がいます」と書かれていることに目が留まった。安江さんが何げなく「よし、まずこの本から読もうかなあ」と漏らすと、「僕も同じなんですよね」と言われた。
 彼いわく「予約してでも読みたくて、待ちに待って借りているわけです。それは僕も次の番の人も同じ。この本には読みたいという気持ちがいっぱい詰まっていると思うんです。だから次の人に早く回したくなる。それだけじゃなくて、僕と同じ本を読みたいと思っている人がいると思うだけでうれしくなるんですよね」。
 安江さんは「私よりもっと深く考えている人がいて感心しました。返却期限は二週間ですが、早く読んで早く返すことが本に対する愛情だという考え方もあることを、あらためて考える機会になりました」と話す。”(3月31日付け中日新聞)

 志賀内さんの「ほろほろ通信」から、男性2人の図書館での会話です。その本を待っている人があればその本から読んで早く返す、小さなことかも知れないがこれも気配りである。それを嬉しくなる、愛情などと前向きな発展するのも人柄、本当に人様々だと思う。こんな気配りができる人なら他の多くのことは何ごともなく成されているのだろう。
 図書館で本を借りる、ボクはもう久しくしたことがないし、忘れてもいる。娘らは子供の本を借りているようだ。家から少し遠いがその気になれば行けるところである。ボクも頭に入れておかねばならないことである。




2013/04/09(Tue) (第1751話) 奨学金の説明 寺さん MAIL

 “先日、テレビの報道番組で奨学金の返還滞納問題を取り上げていました。奨学金を申し込む時の学校側の説明不足が一因という内容に、驚いてしまいました。私は娘二人を女手一つで育て、大学を卒業させました。今は二人とも就職して、大学の奨学金を返還しています。
 私は、奨学金の申込書も返還計画書もすべて娘たち本人に読ませて、本人に書かせました。当時、娘たちはよく分からなくて、私に質問を連発していたのを覚えています。時間をかけてちゃんと理解した上で奨学金を受けて、大学での勉強も就職活動もその後の社会人としての自覚も、自立したものに育ったように感じます。
 私は説明する役目は学校がやるのではなく親がやるものと思います。親が子どもにすべきことは、子どもが自立した大人になるよう導くことです。たとえアルバイトであっても何か特別な理由がない限り、返還できると思います。問題の原因は、携帯代は払えても奨学金は返せないなど、倫理観のない人が増えているということではないでしょうか。”(3月25日付け中日新聞)

 岐阜県高山市の自営業・森本さん(女・53)の投稿文です。奨学金申請に教師は手助けはするが、するのは学生である。そしてその親である。親に授業料等の支払い能力が足りないから借りるのである。返済する覚悟は親子がするものである。ボクはこのテレビ番組を見ていないので、何が言われていたのかよく分からないが、それでも森本さんの言われるように滞納問題を教師のせいにするのは的外れであり、何でも他人のせいにする風潮の現れではなかろうか。森本さんは娘さんにキチンと説明されたのは、親の責任を十分に果たされたと思う。
 ボクも高校、大学と奨学金を受けて卒業した。そして返済計画に従ってキチンと返済した。そのお陰か、一部返還免除をされた記憶である。




2013/04/07(Sun) (第1750話) 社内ボックス 寺さん MAIL

 “私が勤め始めて四ヵ月の会社には、知的障害者や体の不自由な方も働いています。おしぼりを作る会社です。簡単な仕事だと思ったのですが、おしぼりを二つ折りにするのもこつがあり、苦労します。一番大変なのは一日立ちっ放しだということです。先輩は一ヵ月もすると慣れるよ」と言いました。本当にそうでした。今では楽しささえ感じています。
 この年になると物覚えも悪く、周りの方に随分迷惑をかけているのではないかと思っていたころ、先輩がロッカーの前で小さなメッセージカードを読んでいました。「それなあに」と聞くと、「社長さんからの誕生日祝いのカードよ」とのことでした。
 この会社には「有難うボックス」があります。親切にしてもらっても言葉で伝えられなかったときは、「有難うボックス」にメッセージを入れて伝える仕組みです。わが家では、何かをしてもらったときはお互いに「ありがとう」と口にします。しかし、会社の中ではなかなか面と向かって言うことができません。これからは親切にされたり、教えを受けたりしたときは、「有難うボックス」を利用したいと思います。(3月24日付け中日新聞)

 名古屋市のパート・岡本さん(女・62)の投稿文です。店には「お客様意見箱」など、いろいろなところにいろいろな意見を聞く箱が置かれている。多くは注文、苦情、又はアイデアなどの承り箱であろう。岡本さんの会社は「有難うボックス」と言われるから、嬉しかったことに限られるのだろう。これは聞いたことがない。有難うは本当は面と向かって言った方がいいのだが、なかなかいう機会が見つからない。また言いにくいものだ。そこでこの箱だろうが、いいアイデアであると思う。当人から直接言われるより、人を介して伝えられる方がいい場合もある。いずれにしろ、感謝の気持ちはいろいろな手法で伝えたいものだ。




2013/04/05(Fri) (第1749話) 教育は死なず 寺さん MAIL

 “愛知県犬山市内の中学校の卒業式に参加した。在校生と卒業生が対面し、保護者が見守る前で、一人一人に卒業証書が渡された。
 そこで感動した出来事に遭遇した。式典終了後の別れのセレモニーでのことだった。突然一人の卒業生が、「予定にないことだけど、皆に一言言いたいことがある」と言って、演壇に上がった。「みんなは、きょう家に帰ったら、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんにありがとうって言うんだぞ」と、卒業する仲間に向かって淡々と語った。その後、職員席の前に進み、深々と礼をした。
 私は突然の出来事に感涙せざるを得なかった。なぜならば、その生徒には、学校から戻っても「ありがとう」と言える家族はいない。在学中は、言動に皆が心配していた生徒であったからだ。学校の先生方の日ごろからの温かく熱心な指導が推察された。そして「教育は死なず」の言葉を思い起こした。
 すべての子どもは宝物。悪い子になろうと思って生まれてきた子は一人もいない。たとえどんな逆境の中で育っても、温かい心に包まれれば救われるのだと、あらためて教えられた。”(3月24日付け中日新聞)

 岐阜県可児市の少年相談所長・井戸さん(男・61)の投稿文です。まさに感涙の話である。中学高学年ともなると親は鬱陶しいもの、話をするのも少なくなる。久しぶりに子供と話したら、声変わりをしていたのに気づいた、と言う話もあるくらいである。そういう同級生に向かって「きょう家に帰ったら、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんにありがとうって言うんだぞ」と言う発言、この言葉を聞いた人はにびっくりされたであろう。そして感涙された人も多かったであろう。この生徒はそのありがとうを言う人がいないという、平生から寂しく思っていたのであろう。「親のことを悪く言える親があってお前らは良いわな」と内心苦々しく思っていたのではなかろうか。親を亡くして親のありがたさを知る、まさにそのことである。




2013/04/03(Wed) (第1748話) 地域の仲間に 寺さん MAIL

 “私は結婚して十八年になりますが、この地に来てから、地域の人と関わることがありませんでした。私は毎朝、家の近くの神社に欠かさずお参りしています。お参りすることがきっかけで、いつも朝の六時半にラジオ体操をする地域の人に出会い、ラジオ体操をするようになりました。皆さん、感じの良い人たちばかりです。
 早朝の空気はさわやかで、一日の良いスタートが切れます。すてきな方たちに出会うと、幸せな気持ちになります。私も人に元気を与えられる存在でありたいと思うようになりました。
 袖すり合うも他生の縁といいますが、良い人たちとの出会いに感謝するとともに、これからどんな地域の人と触れ合えるのか、ワクワクしています。この神社と、ラジオ体操をしている人のおかげで、地域のご縁ができたことを、とてもうれしく思います。”(2月24日付け中日新聞)

 愛知県豊橋市の主婦・坂本さん(42)の投稿文です。絆、絆という一方で、実際には近くの人とは疎遠になっている。ここ数年地元の役員をしながらよりそう感じている。特に昨年度は老人会の役をやりながらよりそのように感じた。60歳も過ぎれば良識ももう十分であり、ここまでそれなり過ごすことができ、感謝の気持ち、周りへの気づかい等があってもいい。ところが意外にそのようになっていない。高齢者でそうであれば自分のことに精一杯の若い人であれば尚更である。
 坂本さんも18年は地域との関わりはなかったと言われる。積極的に関わる気持ち、機会がなかったのであろう。でも、地域の人とまじわる機会が持てて喜んでおられる。良かった。これを機会にいろいろな関わりが増えていくと思う。
 ボクはこの4月から600戸近くの村の町会長(自治会長)を勤め始めた。26名の役員さんと村の運営に関わっていく。高齢者も若い人も、長年この村に住んでいる人からまだ数年の人も、いろいろな人が役員にいる。どんな展開になるか、まだよく分からない。一人でもこの村に住んで良かった、この役員をやって良かったと言ってもらえるように努めたいと思う。




2013/04/01(Mon) (第1747話) 四つの教訓 寺さん MAIL

 “学生時代に目的もなく怠惰な生活をし、いざ社会人になり働き始めた時に、世話をしてくれた先輩に教えていただいたことがありました。(1)身なりは清潔に。人は見かけにより判断されるので服装には気を付ける。(2)笑顔で対応する。人は笑顔でいる人に心を許し、何事でも相談にきてくれる。(3)物まねを徹底的にする。できる先輩の行動、癖などありとあらゆる言動の物まねをする。そうすることで良い習慣がつき上達も早くなる。(4)依頼された仕事に対してより好みをしない。何でも受け入れ、相手から信用信頼を得るように行動することが大事。
 働き始めた時、教えていただいたこの四つの教訓は、すぐにできるし当然のことと思っていました。しかし、この年になっても自分はまだ完全にできていません。これほど難しいことはありません。新社会人、学生さんたちに先輩の教えを伝えたいです。”(3月20日付け中日新聞)

 三重県松坂市の会社員・山本さん(男・56)の投稿文です。この教えは非常に面白い。笑顔で対応以外はこの逆のことを言う場合の方が多いのではなかろうか。人は見かけではない、物まねはするな、好きな仕事をやれ、と。でも、山本さんの話も皆うなずいてしまう。理想と現実の違いだろうか。いや、そうではない。どんな言葉も教訓もTPO、時、場所、場合であろう、使い方である。怠け心の言い訳に使わないように、自己啓発に向けて使うことである。



 


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