2013/02/12(Tue) (第1725話) おせっかいなおばさん |
寺さん |
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“東海市の村瀬晴香さん(一七)は、毎年のお正月に楽しみにしていることがある。年賀状を郵便受けまで取りに行くことだ。一月五日の朝のこと。年賀状の束とともに、一通の封書が届いていた。差出人のところには「○○さんのハガキ在中」と書かれてあった。○○とは、晴香さんのクラスメートの名前だ。 開封すると、透明なビニール袋に包まれた、その友達からの年賀状が入っていた。そして、手紙が添えられていた。「十二月三十一日、道でこの年賀状を拾いました。このままポストに入れようと思いましたが、真心を込めて書かれたハガキにタイヤなどの跡が付いており、汚れてしまっていたので、その旨をお知らせしておいた方が良いと思い、送りました。風が強く吹いていたので、一枚だけ飛んでしまったのでしょうね。晴香さんや友達にとって飛躍の年となりますように」。差出人の住所はなく「おせっかいなおばさんより」とだけ書かれていた。 一月七日、高校の始業式の後、部活でその年賀状をくれた友達に「おせっかいなおばさん」の手紙のことを話した。すると、年賀状を出してきてくれるようにお兄ちゃんに頼んだのだが、ポストまで行く途中で落としてしまったのではないかとのことだった。でも、そのおかげて知らない方の心遣いに触れることができた。 晴香さんから、おせっかいなおばさんへ。「タイヤで汚れた年賀状と手紙は私の宝物になりました。新年からとても心が温かくなりました。見ず知らずの私と友達のために年賀状をここまで大切に思ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいです」”(1月20日付け中日新聞)
志賀内さんの「ほろほろ通信」からです。少し長いですが全文を紹介しました。この場合、拾ったハガキをポストに入れることなら多くの人ができることでしょうし、することでしょう。しかし、もらった人は汚れた手紙を見てどう思うでしょう。郵便屋さんが汚したと思って恨むかも知れません。汚しておきながら何の謝罪もないと言って苦情の投稿するかも知れません。事実自分勝手な思い込みではないかと思う投稿を時折見かけます。このお節介おばさんはこうした誤解を防ぎました。感謝の気持ちと宝物を作りました。いい話です。
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