2010/11/22(Mon) (第1365話) 君に見せたい |
寺さん |
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“手紙の返事を書くために便箋を探そうと、手書きの便りを基本にしていた妻の文箱を4年ぶりに開けた。中から「お父さんが定年になり、これから2人で心行くまで海外旅行を楽しもうと思っていたのに、突然病気になり・・・」と途中まで書かれた、友人あての便箋が出てきた。体調が悪くて最後まで書くことができなかったのであろう。 結婚して35年強、しっかり者の妻に家事や育児をすべて任せ、思い切り仕事に専念させてもらった。おかけで侮いのないサラリーーマン生活を送ることができた。妻は、二つのことを器用にこなすことができない私の性格を見抜き、私が定年になるまでは、海外旅行に出かけるのは無理だろうと自分自身を納得させていたのかもしれない。 定年後、縁あって第2の職場に勤めることになり、妻の希望に沿うことが難しくなったが、新しい職場の上司に無理を言って時間をもらい、妻とイタリア旅行に出かけた。妻は「これからは仕事と遊びを同時進行でよろしくね。ギリシャ、トルコなどに行ってみたいね」と話していた。 それから1年後に妻が亡くなり、その思いをかなえてやることはできなくなったが、いつか妻の写真をポケットに忍ばせて出かけ、心行くまで素晴らしい風景を見せてやりたいと、妻の書き残しの便箋を見ながら思った。”(10月30日付け朝日新聞)
横浜市の大窪さん(男・65)の投稿文です。こういう話を読むと、いかに今が大切か、つくづく思う。この歳になればよりそうであろう。以前にも話したが、ボクの机の上には「今が本番、今日が本番、そのうちはもう無い」という、この「話・話」で知った言葉が書いてある。 大窪さんは奥さんとイタリアへ行かれた。しかし、その後はなくなってしまった。ボクの夫婦も先日イタリアへ出かけた。あまり外国旅行に感心のなかった妻が、帰ってどんな反応を示すか気になっていたが、次の話を出すと乗ってきた。まんざらでもなかったようだ。大窪さんのように写真を持って出かけるようなことにはなりたくない。でもいつそうならないとは限らない。ボクはまだ数年働くつもりだ。それだけによりチャンスをキチンと捉えていかねばならない。今回のイタリア旅行のように、体調不良であわやキャンセルというようなことにならないように、万全を期さねばならない。
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