2010/01/29(Fri) (第1234話) いつに戻りたい? |
寺さん |
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“「タイムスリップできるとしたら、いつに戻りたいですか」。ドライブ中にカーラジオから聞こえてきたこの質問に「私なら・・・」と言いながら、頭の中は過去の記憶が駆け巡った。子ども時代、学生時代、嫁いでから・・・今となってはすべて良い思い出に。今こうして健康で楽しく過ごすことができているので「タイムスリップしたくな〜い!」と主人に言うと、思いもよらない言葉が返ってきた。「お世辞でも『新婚時代に戻りたいわ』ぐらい言ったらどう?」《しまった!》と思ったが、遅かった。新婚時代は、義父母とうまく同居できるかという不安があった。「侮いのない人生を、あなたのおかげで送ってこられたということよ」と言って、その話題は終わった。 後日、友達に同じ質問をしてみたら、やはり「過去に戻りたいとは思わないわ。それより、十年後に行って主人とのんびり過ごしたい」。その夜、その友達から面白いメールが届いた。「同じ質問を主人にしたら、即『おまえに会う以前に戻りたい』ですって!」。主人と私は大爆笑。今回のことで、私はあらためて主人に大感謝。これからも健康で仲良くいこうネ、あなた。”(1月17日付け中日新聞)
愛知県一宮市の主婦・鈴木さん(56)の投稿文です。以前にも似たような話を書いたことがある。「いつに戻りたい」ということばをどのように理解するかによって、回答は違ってくる。戻った後がどのように展開するかは分からない。新婚時代に戻りたいとは、もう一度あのように甘い時代を過ごせると思っているか、それ以上に良い以後があると思うからであろう。でもそれは保証されていない。やり直せばもっと良い人生になるとは、大きな思いこみ、皮算用である。 今現在がそれなりに恵まれていると思えば、そう簡単にいつに戻りたいは言えない。今現在はこれまでの人生があっての成果である。少なくともボクには言えない。問題は今後である。鈴木さんもこの問いから過去をふり返り、今あるありがたさを感謝されている。それでこそこの問いの意味があるのではなかろうか。遊びのような問いであるが、こんなことを考えるきっかけになった。
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