2009/10/27(Tue) (第1190話) 傘が運んでくれたもの |
寺さん |
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“いつものように子どもたちを学校へ送り出すある朝の出来事です。その日は朝から雨が降っていました。長男の傘が壊れていることを思い出し、「傘、壊れとったよね」と言いながら開いてみました。すると『あれ。壊れてない』。まるで魔法にでもかかったかのように不思議そうにしている私に「お母さん、ここ見て」と長男。よく見ると、折れていたはずの傘の骨が細い針金と金具で見事に修理されていたのです。 驚くと同時に傘を修理してくれた人の顔が頭に浮かびました。誰もいない授業中のげた箱はひっそりと静まり返っています。その片隅で乱雑に立てられた傘の一本一本を、いつも一人黙々と整頓してくださる方。その人物こそがきっと傘を修理してくれたに違いありません。「校長先生だ」。私がそう言うと、長男も間違いないといった表情でにやり。 思い起こせば、長男が幼稚園のころから傘を壊す度に「大事にしなさい」としかり、今まで新しい傘を何本買ったことでしょう。その修理された傘は、優しくて温かい気持ちを違んできてくれただけでなく、物を大事にすることの大切さも教えてくれました。”(10月16日付け中日新聞)
名古屋市の主婦・西川さん(41)の投稿文です。この行為が校長先生だとすぐわかるのは、この校長先生の人柄や行動は父兄の間でも知れ渡っているのでしょう。当てて息子さんが嬉しそうににやりとされるのだから生徒にも信頼があるのだ。先生は人相手だけに信頼が大切である。この校長先生は役目を十分に果たされている。 西川さんがこの文を書きたくなられたのは、偉い校長先生が下働きされることを嬉しく思い、誇りに思っておられるからであろう。人は偉くなってまずは自分の役割をキチンと果たす。その上で、良いと思うことをする。偉くなっていいことは、自分の思うようにできることが増えることである。問題はその時何をするかである。 現在の日本で傘の寿命は2日無いと聞いたことがある。コンビニや100円ショップで売っている。1回限りの全く使い捨てなのである。雨の多い季節のゴミ拾いでは傘の多いこと。ものを大切に使う、傘にもこの精神を取り戻したい。
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