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第61号  2009年5月

2009/05/30(Sat) (第1117話) ツバメに学ぶ 寺さん MAIL 

 “今年も我が家にツバメがやって来た。とは言っても、その巣は隣家の玄関だが。我が家の玄関の上の外灯はもっぱら「外泊」用で、週に2度か3度やって来る。昨年は外灯に4羽、玄関の扉の所に3羽、ポストに1羽と一晩に合計8羽が来た時もあった。中でも一番興味深かったのは、私の目線の高さのポストにいたツバメで、生まれたばかりのヒナだった。
 この時期、日没後の夜7時ごろにやって来て、周りを見渡した後に眠りにつく。朝は大変に早くて、日の出前、辺りが白みかけた頃にはもう家の周りを盛んに飛び回っている。早寝早起きの典型と言えよう。
 最近エコドライブとか、地球に優しい環境とか、ちまたではよく耳にする。ツバメよりも知能や知識に優れた人間は、いま一度ツバメを見習い、早寝早起きを実践すれば、無駄な電力も使わず、二酸化炭素も排出せずに済むのにと思う。”(5月16日付け朝日新聞)

 一宮市の会社員・山内さん(男・43)の投稿文です。ツバメが飛ぶ季節になった。前の田に出ると、水を張った田の上をスイスイとツバメが飛んでいる。この風景を見るのは気持ちがいい。しかし今の時代、どこに巣をかけているのだろう。昔はどこの家でも見られたのに・・・一度探して歩かねば。
 ツバメは明るい時間が活動時間である。ツバメに限らずほとんどの鳥、動物はそうである。こうした自然現象を無視した活動をするのは人間位である。それをできるようにしたことが人間の知恵であり、素晴らしいところだと言うことであろうが、少し度が過ぎてきた気がする。それが山内さんのツバメを見て感じた気持ちであろう。
 人間も自然と共に生きる生き物である。自然とあまりかけ離れた生活には無理がある。夜明けと共に活動を始め、日没と共に終了する。これが現代風に言えばエコ生活であるが、多分これは人間の生理にもあっているだろう。現代はこれをしようにも個人ではなかなか難しい人もあろうが、心がけておきたいことである。
 ボクは早寝早起きを信条としてきたので、前日特別のことがない限り、朝6時過ぎまで寝ていたことはほとんど無い。また、夜12時過ぎまで起きていたことも少ないだろう。




2009/05/28(Thu) (第1116話) 母校ノート 寺さん MAIL 

 “2週間に1度くらいのペースで東京に出張する。商談が終わり、緊張がほぐれると、やはり「赤ちょうちん」が恋しくなる。
 そんな出張帰りのある日、何げなく立ち寄った新橋の地下にある居酒屋で、壁際の本棚いっぱいに並べられているノートを見つけた。「お客さんたちの出身高校のノートなんですよ」と、店員さんが教えてくれた。全部で850冊超。全国47都道府県分あるという。勧められて私も、滋賀県にある母校のノートを新しく作り、最初のページに自分の連絡先を書いた。
 店の奥には、和やかな笑いに包まれたグループがいる。私と同じ団塊の世代とおぼしき人、働き盛りも女性も、若者もいる。でも、みな同じ「母校」でつながっている。他校のノートを見せてもらった。先輩、同輩、後輩や、地位、性別、職種に関係なく、家や会社では話せないような胸のうちが記され、それに対する温かい励ましや、人情にあふれたメッセージがつづられていた。ノートから元気をもらった人や、仕事の力添えをしてくれる相手と出会った人もいるそうだ。”(5月16日付け朝日新聞)

 京都市の会社員・山本さん(男・60)の投稿文です。この知恵はいろいろなところに使えると思って紹介しました。居酒屋でなくても、喫茶店や食堂、公民館や体育館、いろいろな人の集まる場所だったどこでも活用できそうです。また、母校でなくても同じ地方出身者や職業、同じ趣味の人などのノートでもいいでしょう。
 ボクならさしずめ、川柳やウォークのノートとなろうが、今のところ行きつけの場所がない。でも何か活用できそうな気がしてきた。
 それにしてもこの居酒屋さん、850冊越えとは凄い。広がるものである。やはり頭は使いようだ。多分この知恵は、商売にも多いに生きているだろう。




2009/05/26(Tue) (第1115話) 人生最後の授かりもの 寺さん MAIL 

 “もう私には何の楽しみもない人生だとあきらめていました。何十年も家業と子育ての日々に追い回され、友達もできませんでした。しかし、ある時、市の公民館に水墨の会があるのを聞いて、妹と二人で入会させてもらいました。
 先生はボランティアでしたが、いい先生にあたり、五年ほどで県展に出せるまでのご指導をしてもらいました。「下手でもいいから描き続けましょう」という励ましのお言葉をいただき、老体にむちを打って描き続けました。会の熱心な皆さんからいろいろ教えてもらったおかげで、楽しい教室でした。今は亡き先生に感謝の日々です。病床にあっても描き続けられる喜びをもらえたと、うれしく思っています。
 絵は悲しみも和らげてもらえると思って、下手でももらってくださる方へと描き続けています。あと何年描けるか分かりませんが、一日一日、喜んで描き続けたいと思っています。”(5月13日付け中日新聞)

 岐阜県大垣市の渡辺さん(女・84)の投稿文です。この文で気になったのは「もう私には何の楽しみもない人生だとあきらめていました」と言う冒頭の箇所です。渡辺さんにしてみれば70歳代後半のことになります。「何の楽しみもない人生」と思うときがボクにもいつか来るのか、気がかりになる。
 「求めよ、さらば与えられん」という言葉がある。渡辺さんはあきらめていたと言いながらも求められたのだ。そして、与えられた。求める心を忘れなかったら、その機会はいつかある良い実例である。老いるとは年齢ではない。追い求める心を忘れることである。追い求めるには気力や努力がいる。人間生きるとは大変なことである。でも、人間簡単に忘れるものではない。渡辺さんはあきらめていたと言いながら、チャンと追い求める心は残っていたのだ。楽観していてもいいとも思う。




2009/05/24(Sun) (第1114話) 届いた手帳 寺さん MAIL 

 “高校に入学して間もない息子が生徒手帳をなくしてしまった。学校で紛失届を出し、再発行の用紙をもらってきた日に息子あての封書が届いた。中にはなくしたはずの生徒手帳が入っていた。
 すぐにお礼が言いたくて、普段は口下手な息子が電話をした。あいにく通じず、次の日に私が電話をした。相手の方は「中に鍵も人っていたし、困ってるんじゃないかと思いまして」と送ってくれたという。
 息子が祖父母に制服姿を見せるために行き、落とした場所にたまたま通りかかったその方が手帳を拾ってくれたらしい。きっとわが子は世の中には親切な人がたくさんいることを知り、自分も心のやさしい人間になりたいと思ったはずだ。届いたのは手帳だけではなく、心も届いたんだと胸が無くなった。”(5月12日付け中日新聞

 名古屋市の寺島さん(女・41)の投稿文です。寺島さんは入学して間もないだけにあわてられたでしょう、それだけにこの親切は嬉しいものだったでしょう。
 ボクがこの文で興味を引いたのは、寺島さんの息子さんが「祖父母に制服姿を見せるために行き」と言う箇所です。高校生になって制服姿を祖父母に見せるためにわざわざ行く、このことは普通のことなのだろうか。今のボクにはよく分からない。家族関係が希薄なっているといわれるだけに、この行動を嬉しく思った。ボクの孫達はそうしてくれるだろうか、今から楽しみだ。とはいうもののそれまでのボクの接し方が重要だ。今日は小学3年の孫をウォーク大会に連れて行った。




2009/05/22(Fri) (第1113話) 道聞かれ顔 寺さん MAIL 

 “「道聞かれ顔」というのがあるらしい。道を尋ねる人にも(この人、気よく教えてくれるかな)といった不安があるらしく、(この人なら大丈夫)という人に道を聞くようだ。おおむねニコニコ顔で、おおらかな雰囲気のお人よしらしい。
 私の女房は道聞かれ顔らしく、何かにつけ尋ねられたり話しかけられたりする。その都度、丁寧に答え、それはそれで喜んでいたりする。ところが私はというと、体が昔風に言えば六尺豊かな大男のせいもあるのか、道聞かれ顔とはとんと縁がなく、道はもちろん人に話しかけられることもなくきた。その私が、還暦を越したころから、人によく話しかけられるようになった。女房は「今まで他人のことなど見向きもしないような怖い顔をしてたものね。このところ白髪も目立つし、優しい顔になってきて、他人にもそれが分かるんだわよ。年とったということだけど、ある意味とてもいいことよ。喜ばなくちゃね」と言う。
 ただ年を重ねてきただけの私だが、少しは他人に受け入れられるようになってきたらしい。老い支度の一歩として、どんどん道を聞かれながら生きていきたい。”(5月11日付け中日新聞)

 愛知県常滑市の会社員・冨本さん(男・61)の投稿文です。「道聞かれ顔」こんな言葉があることを初めて知った。まだまだ初めて聞く言葉が多い。日本語の豊かさを思う。
 道に限らず聞きやすい人、聞きにくい人、これは往々に感じてきた。聞きやすい人はそれは一つの人格、人徳であろう。一朝一夕で成るものではない。老境になればそのようになっていたいものだ。
 ボクは50を過ぎて、どんどん知っていること、思っていることを話していくのが責任だと思った。でも、これは鬱陶しがられることもあるし、自己主張と取られることもある。本当は聞きやすい人になることがより好ましいのだ。人徳なき人の喘ぎである。




2009/05/20(Wed) (第1112話) 五月の風 寺さん MAIL 

 “「・・・貧しいから、何もあなたにあげることができません。せめて、この五月の風をあなたに贈ります。・・・」
 若いころ、こんな意味の詩をどこかで目にしたような気がする。そんなあいまいなフレーズをこの季節になって今年も思い浮かべている。わが家の小さな小さな庭のハナミズキやヤマボウシの木々も新緑を鮮やかに増してきた。そんな木々の間をそよぐ薫風に身をまかせて、この詩のココロを想う。文庫本を手にロッキングチェアに埋もれる午後の一時、この上なく至福の時間。こんな満ち足りた穏やかな時間を得られることの幸せに感謝して、五月の風を全身で受け止める。
 昨年の今ごろは、母に余命三ヵ月のがんの宣告を受けて、本一人に告知をしないまま、緩和ケアが功を奏することだけを願う毎日だった。季節の移ろいを感じることがないまま桜が散り、気が付いたら夏になっていた。その母の位牌や遺影、そして母の思い出の品々を集めて名付けた「母さんのメモリアルルーム」。その部屋の窓を大きく開けて、五月の風を誘い込む。
  「母さん、さわやかな風ですよ。気持ちいいですか?」私から母に五月の風を贈ります。喜んでくれたでしょうか?”(5月9日付け中日新聞)

 岐阜県各務原市の会社員・加藤さん(女・60)の投稿文です。ボクにも懐かしい詩です。この詩は、もう30年も40年も前に森光子が主演するテレビドラマ「天国の父ちゃんこんにちは」の中で朗読されたものです。詩は「貧しいから あなたに差し上げられるものといったら 五月の爽やかな風と 精一杯愛する心だけです でも、結婚してくれますか でも、結婚してくれますか」と言うものです。この詩と共に「こんちワ〜〜 パンツ屋で〜す」と言う元気な声が思い出されます。インターネットで調べてみると、この詩に思い出のある人の何と多いことか・・・・。ボクもこのドラマが放映されていた頃に結婚した。
 森光子さんは、加藤さんの投稿が掲載された5月9日、89歳の誕生日に「放浪記」上演2000回を達成された。そして11日、政府は女優初の国民栄誉賞を贈ることを決定した。ただただ敬服の一言です。
 加藤さんの文で 「母さんのメモリアルルーム」と名付けた部屋を設けられたことにも、一つに知恵を見た。著名人にはいろいろな記念館が作られる。その個人版みたいなものである。いろいろな人があるものだ。




2009/05/18(Mon) (第1111話) 一輪の草花 寺さん MAIL 

 “二、三年前に花畑のスイセンの球根の植え替えをし、余分になったものを近くの空き地の草原に捨てておきました。私はそれを忘れていましたが、この春あちこちできれいなスイセンの花が咲いていて、驚くと同時に捨てたことを悔い、言い知れぬいとおしさを覚えました。
 何と素晴らしい自然の中で生きる花のたくましさでしょうか。そうして捨てたその花をながめることでおのずから心が和んできたのです。
 現代の社会は「美」を競う世だともいえます。色、形、夜目の明かりまで、そのすべてが人の目を奪うことに必死です。しかし、それは人工の美しさで、華やかであっても清らかさはありません。従ってそれによって心の安らぎを得ることは少ないでしょう。
 でも一輪の草花に見る清らかな美は何物にも代えがたいものがあると思います。庭の片隅に、それがなければ小さな植木鉢でもいいのです。花を植え、世話をし、ながめてみましょう。万両の価値がありますよ。”(5月4日付け中日新聞)

 岐阜県下呂市の青木さん(男・82)の投稿文です。ボクも全く同じ気分を味わっています。いらなくなったヒガンバナの球根を近くの堤防に捨てておきました。それが根付き、花を咲かせました。そして、毎年数が増えていきます。もう数年もすればかなり見られるものになるでしょう。普段は背の高い草が覆い繁った堤防ですが、ヒガンバナの咲く頃になると、このヒガンバナを見てくださいとばかりに草が刈られるのです。この先どうなるか楽しみです。ボクが青木さんと違ったのは、この可能性を期待していたことです。
 球根や宿根草はある程度当然ですが、種子のものでも種が落ち、自然に増えていく。新しい芽を発見すると嬉しいものです。植物の生命力は素晴らしい、そこに感動や安らぎがあります。ボクの家にもかなりの種類の草花がありますが、最近はほとんど新しい種を蒔きません。草取りなどの整理で済ませています。野菜でも今、冬瓜、ゴーヤ、ツルムラサキ、紫蘇などが自然生えしてきました。この野菜などトラクターで何度も掘り起こしているのに生えてくるのですから、驚きです。




2009/05/16(Sat) (第1110話) ぞうきん 寺さん MAIL 

 “小学二年に進級した長男が学校へ持っていく提出物の中に、ぞうきんが二枚。しまった!明日が提出期限。百円ショップに買いに走るが、売り切れ。お金を出して買うのはやめて、古いタオルで作ることにした。ミシンを出すのも面倒なので手縫いに。縫っていたら、私が小学生の時の出来事を、ふと思い出した。
 同じようにぞうきんの提出があった。母が持たせてくれたのは、穴が開いたタオルを手縫いしたぞうきんだった。みんなが持ってきたのは、新品のタオルをミシンで縫ったぞうきんばかり。私は提出するのが恥ずかしく、みんなに紛れて提出した。ある男の子が「あっ、このぞうきん、破れてるぞ。貪乏ったらしい」と言って、私が提出したぞうきんをつまみ上げた。私は赤面してうつむいた。母を僧らしく思った。すると担任の先生が「古いタオルで作るのが”本当のぞうきんの姿”。水をよく吸って、使いやすいんですよ」と話してくれた。それを聞いて私は、母を誇らしく思った。
 今、私は長男のためにぞうきんを縫っている。破れてはいないが古いタオルで。このぞうきんを手にした長男は、どう思うだろう。”(5月4日付け中日新聞)

 豊田市の主婦・丹羽さん(37)の投稿文です。またまた長い紹介文になりました。そして「話・話」で縫い物の話など記憶がないに、前回に続いて縫い物の話になったのは面白いことです。
 ぞうきんは古いタオルで作るのは当然のこと、買ってきたり新しいタオルで作るなどは不埒なこと、これがボクの常識です。丹羽さんは古いタオルでぞうきんを作られ、間違いを犯されなくてよかった。先生が言われたように、これが本当のぞうきんの姿なのです。しかし、昨今はぞうきんも買ってきたり、新しいタオルで作るのがどうも常識なっているようです。これは日本人のきれい好きが高じたものとボクには思えます。ものを大切にしなければならない時代です。場に応じた使い方をもう一度よく考える必要があります。
 それにしても優しい先生であった。丹羽さんには記憶に残るいい思い出になった。息子さんもこの投稿文を読まれ、母を、祖母を誇りに思われると思う。




2009/05/14(Thu) (第1109話) 縫い針 寺さん MAIL 

 “「四ノ三の針をください」「今とき珍しいですね。針なら何でもいいっていう人が多いですからね」。近所のお店に、縫い針を買いに行ったときのやり取りです。
 90歳近くになる一人暮らしの母から「四ノ三の針でないと指になじまなくてね」と頼まれていたのです。「昔はもっとたくさん種類があったんですが」とお店のおじさんがうれしそうに箱を出してきて、様々な縫い針を見せてくれました。上の「四」は針の太さ、下の三」は長さを表すんです、上が「四」なら絹糸用、「三」だと木綿糸用です、と説明してくれました。
 買い物から戻って、いつものように母に代わって私が針に糸を通します。「お母さん、これは木綿糸だからこの針じゃ通らないよ。三ノ三のほうがよかったんじゃない」。でも、そんな言葉を気にするそぶりもなく、母にとって針といえば 「四ノ三」のようです。若いころ、帯の仕立てを仕事にしていたときもあったので、この針を使う感覚が体にしみついているのでしょう。たとえ針1本でも使いこなしている母はすごいと思いました。
 手を使うことがどんどんなくなっている自分の生活を反省します。と同時に、なんとも豊かな気持ちを感じた時間でもありました。”(4月27日付け朝日新聞)

 千葉県柏市の主婦・小野さん(54)の投稿文です。少し長いが全文を紹介しました。ボクには全く無縁の世界で、針の呼び方を初めて知りました。試みに妻に聞いてみたが、知りませんでした。現代の女性の皆さんはどの程度知っておられるか、興味が湧きます。最近は針を使われることも随分減ったでしょう。針で衣服などを作るなどということはほとんど無いでしょうし、繕いなどもあまりしないでしょう。してもせいぜいミシンでしょう。
 我々より一世代前の人の生活技術には驚くものがあります。この小野さんの話のように縫い物始め料理、洗濯、家事一般にいろいろな技術がありました。電気器具や機械に頼ることによって楽になりましたが、それらの技術は必要なくなると共に喪失しました。楽になることによって喜びは減りました。喜びを求めてやまない人間には皮肉なことです。小野さんはそんな生活を反省されています。楽ばかりがいい訳ではありません。楽と苦労をどこで折り合いをつけるのか、難しいところです。




2009/05/12(Tue) (第1108話) ファミリーサポート制度 寺さん MAIL 

 “「おはようございます」。お弁当が人ったリュックを背負った三歳のS君と、着替えを人れた袋を持ったお母さんが約束の時間にやって来た。
 この町には子育て支援策としてファミリーサポート制度があり、私はその提供会員。(中略)
 事前打ち合わせで短時間会っただけのS君が私たちになれてくれるか心配だったが、目新しさからか喜んでくれ、遊んだり楽しくお話をしたりして三時間を過ごした。お母さんが迎えにくるころには、夫のあぐらの中へすっぽり入って眠そう。泣いているのではと心配しながら迎えに来たお母さんは、それを見て「あら、まあ」。
 ここまで大人を信頼してくれるS君の様子に、お役に立てた安堵と、とてもいとおしいものを感じた。「さようなら」をしたのに、もう一度戻って来てハイタッチをして帰って行ったS君、楽しい思い出をいっぱいありがとう。”(4月27日付け中日新聞)

 愛知県清須市の主婦・奥田さん(67)の投稿文です。いろいろな助け合いの仕組みがあるものだと感心した。子育て中の人には何かと制約が多い。それを少しでもサポートする。こうしたサポートが少しでも少子化社会解消になれば、よりいいだろう。奥田さんの場合、遠くにいる孫に接しられない分、孫のように接し奥田さんの喜びにもなった。
 子供が結婚しない、だから孫も持てないと嘆く人が多いが、こうした制度に目を向けられたらどうだろうか。孫のような子供に接する喜びと共に、他人の子供をかわいがっている親を見たら、ヒョッとして自分の子供ももっと積極的に結婚する気になるかも知れない、そんな思いつきをした。最近ボクは頼まれて人の結婚話にいろいろ動いている。当人に積極性がなかなか感じられない。先日「どうする未婚社会」と言うテレビ討論を見ていたが、何か視点が抜けている気がして仕方がない。




2009/05/10(Sun) (第1107話) 親切の輪(その2) 寺さん MAIL 

 “こんなことも。いつも利用するコンビニは手動ドアだ。車いすでの出入りは難儀する。ある時、アルバイトの女子大生がカウンターから飛び出して来て、ドアを開けてくれた。その店では初めてのことだった。それ以後、ほかのアルバイトの人たちも山口さんの姿を見かけると介助してくれるようになった。三年がたった。店員が何人も替わった今も、それは引き継がれているという。
 そんなさまざまな気遣いは、山口さんが車いすで町へ出るようになった十三年前と比べて、明らかに広がっているという。”

 優しさの連鎖である。最初に行動を起こした女子大生は素晴らしい。その優しさを受け継いだその後の人も素晴らしい。人が替わっても引き継ぎが行われたのだろう。継続によって最初に行動を起こした人の素晴らしが更に際だつ。
 「話・話」でもう何度も書いたが、ボクが会社に入ってから、ボクの話がきっかけで社員による道路清掃活動が始まった。継続されれば、ボクが会社を辞めた後でもボクの名は思い出されるだろう。今年からこの活動に推進委員長が設置され、きっかけ上ボクが推進委員長に指名された。頑張って継続発展させていきたい。
 車いすにはいくら改善を施しても町には不都合がところが残ると思うので、それは親切な人の輪で補っていきたいものだ。それが我が為だ。いつ自分自身が車椅子生活になるかも知れないし、ヒョッとして家族、親族まで含めればすでに車椅子生活の人があるのではないか。ボクにはある。




2009/05/08(Fri) (第1106話) 親切の輪(その1) 寺さん MAIL 

 4月26日付け中日新聞の「ほろほろ通信」からです。少し文が長く、話が2話になっているので2回に分けて紹介します。

 “車いすの生活をしている三好町の山口主さんから、またまた「いい話」が届いた。
 スーパーに買い物に出掛けた時の話。アルバイトの女子高生が、レジで声を掛けてくれた。「雨が強くなってきましたよ。大変でしょう。ぬれますから車まで送りますよ」と。いつも一人で車を運転してきていることを知っていてくれたのだ。でも他のお客さんが並んでいたので「ありがとう」とだけ言って遠慮した。
 ずぶぬれになることを覚悟して車の所まで車いすを動かし始める。ふと気付くと、体に雨が当たらない。振り向くと見知らぬ人が、後ろから傘を差し掛けてくれていたのだ。レジのところで見かけた五十歳くらいの女性だった。おそらく、レジの女子高生との会話を聞いていてくれたのだろう。「ありがとうございます。奥さんの方こそぬれてしまいますよ」。山口さんに差し掛けるため、本人が傘からはみ出てしまっていた。”

 人は本来優しいものである。女子高生の優しさ、それを見ていた女性の心遣い、少し回りに気を遣えば、優しさを発揮する機会は到る所にある。ただ気配りと行動が一歩でないのである。そこを一歩踏み出し行動が起こせる人は素晴らしいのだ。だから投稿の対象にもなる。と、ボクは思う。
 「人は本来優しいものである」と書いたが、性善説と性悪説があるように、「人は本来醜いものである」と思ってみえる方もあろう。ボクも時折醜いものであるに傾きかけることがある。でも、こうして世の中の良い話を拾いあげながら、優しいものであると思い続けたい。




2009/05/06(Wed) (第1105話) タイマー活用 寺さん MAIL 

 “若いと思っていましたが、もう高齢者の仲間入りをしました。寄る年波には勝てず、よく物忘れをします。最も困るのがキッチンでの煮炊きです。火をつけていることを忘れて、その場を離れ、失敗します。素材や鍋をダメにしてしまうだけでなく、火災の原因にもなり危険です。そこで、簡単なタイマーを購入し、何でもタイマーをかけることにしました。魚は5分焼こう、煮物は10分煮る、お湯は7分で、スパゲティは6分茹でようという具合に、設定します。操作は簡単ですから、すぐに慣れます。
 こうしておけば安心です。タイマーは大音声でピツ、ピツ、ピツと鳴ってくれます。ちょっと離れたところでも、私には「魚が焼けしました」「お湯が沸きます」「大根が煮えますよ」という感じで聞こえます。お料理そのものの失敗も少なくなりました。重宝すること請け合いです。私と同じ悩みをお持ちの方、ぜひタイマーを呼び鈴代わりにご活用下さい。”(4月15日付け朝日新聞)

 札幌市の主婦・斉藤さん(66)の投稿文です。高齢になると物忘れについてはもうどうしようもない、ボクなどもういやになってしまう。妻も同様である。いつも騒いでいる。忘れても大したことないなら笑っておられるが、火を使う主婦などは笑っておられない。そこでタイマーのお出ましとなる。わが家も活躍しっぱなしである。妻がそこにいなくてピーとなると、ボクも飛んでいく。これは生活の知恵である。最近は思いがけない便利なものもできている。ますますこうした知恵を働かす必要があろう。




2009/05/04(Mon) (第1104話) 優しさのバトン 寺さん MAIL 

 “春休み、20歳の息子がいとこ2人を沖縄旅行に連れて行った。この子たちは私の弟、息子にとっては叔父の子供だ。上の子が中学3年になり、今後は受験勉強に励まなくてはならない。息子はその前に美しい海を見せたいと思ったようだ。
 10年前、私の夫が骨肉腫と診断され、治療に専念していたことがあった。私たち夫婦は余裕が無く、子ども達になかなか楽しい思いをさせてあげられなかった。そんな中、弟夫婦は私の子供たちをとてもかわいがり、面倒をみてくれた。
 飛行機に向かう3人の後ろ姿を見送りながら、幼かった息子が当時の親の思いも、慈しんでくれた叔父夫婦の心も理解し、恩返しできるときが来たのかと思うと、目頭が熱くなった。優しさのバトンがつながっていくことに喜びを感じている。”(4月14日付け読売新聞)

 宇都宮市の看護師・増淵さん(女・50)の投稿文です。優しい行為、いい行動が受け継がれていく、こういう話もいいですね。人は受けた恩を忘れないものです。特に小さいときに心に響いたことはよく覚えている。それだけに、いやな思い出は辛いものです。悪いバトンになることもある。こんな話を聞くと、子に対する大人の責任の大きさを改めて思います。
 ボクも父が亡くなって近所の人から「お父さんによくしてもらったから」といって、親切にしてもらった。これもバトンである。何の話かと思えば野菜作りの知恵である。ボクの父は野菜作りをよく研究していた。それを皆に教えていた。ボクは何か優しいバトンを渡したであろうか。




2009/05/02(Sat) (第1103話) (いたずら3)話して笑わせて 寺さん MAIL 

 “外国から訪れる観光客をガイドする自分の仕事について、私は「しゃべってなんぼ、笑わせてなんぼ」と思っている。昨年4月1日に約40人のお客さんを連れて、バスで大阪から京都に向かった。発車して間もなく、私が「皆さん、ごめんなさい。先ほど、京都入りできる人数が定員に達したそうです。行けなくなりました」と話すと、みんなあぜんとした。
 しかし、「今日は何の日でしたか」と尋ねると、お客さんはエープリルフールだと気づき、どっと沸いた。さて、今度はどんないたずらをしようかな。”(4月5日付け読売新聞)

 兵庫県西宮市の通訳案内士・杉村さん(女・61)の投稿文です。先日ボクの参加したバス旅行のガイドさんは、杉村さんの上を行くと思わせる女性だった。「人間、笑って過ごさねばいかん」と言って、2日間、終始笑わせていた。当然、真面目に説明する場面が多いが、それでも笑いを誘いながら話す。推定するに30歳代だと思うが、生半可な能力ではないと思った。漫才師か漫談師になった方がよかったのではないかと思ったが、そうでもないと思い直した。バスガイドだからその能力が際だつ。目立つのである。忘れられない人になる。これも上手な選択であろう。またあの人のバスに乗りたいものだ。




2009/05/01(Fri) 日記の形式変更 寺さん MAIL 

日記をお借りしていたcgiboyが閉じられることになりました。
そこで、掲示板と同じwebspaceから日記をお借りすることにしました。
少し形式が替わりますが、引き続きご愛読ください。

私の文にコメントがつけやすくなったと思います。
皆さんの意見をいただければ活発なページになると思います。
よろしくお願いします。



川柳&ウォーク