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第24号  2006年4月

(第582話) 卒業式 2006,4,4
 卒業式や成人式も最近落ち着いてきたのか、荒れたニュースを聞くことが少なくなった気がする。関係者の努力だろうか・・・・卒業式の時期で、いろいろな卒業式が報告されているが、4月1日の朝日新聞に、少しいいなと思う記事があった。

 “中学の卒業式に出席する機会に恵まれた。全体の式後、クラスで担任が改めて一人一人にコメントを添えて卒業証書を手渡した。受け取った生徒は皆の方を向き、自らの言葉で友人や担任教師、家族に感謝のあいさつをした。
 「僕の父親が死んだとき、皆の励ましと先生がいたから、僕は元気になれた。ありがとう」「登校拒否だった私を、先生と皆がここへ連れ出してくれた。皆、ありがとう」その子の母親らしい女性が私の横におり、深くお辞儀をして感謝を示していた。
 反抗期真っ盛りの年頃の子が、涙をいっぱいためながら、時には嗚咽しながら、素直に「ありがとう」を伝える姿に、聞いていた私の胸がいっぱいになり、涙をこらえるのが大変だった。”

 岐阜市の福井さん(女・55)の投稿文です。卒業生の数にもよるが、全体だけの卒業式では、一人一人がなかなか主役になれない。この様式はその点がうまく改善されていると思う。卒業式はお祝いの場でもあるが、感謝の場でもある。
 僕の定年退職もひとつの卒業だ。無事卒業できたことを感謝して、昨日、多くの方に礼状を送った。

(第581話) 心配り 2006,4,3
 “バイト帰りのある日、コンビニで会計待ちの列に並んでいると、前にいた80歳代くらいの女性が「急がないからお先にどうぞ」と順番を譲ってくれた。一度は固持したが、重ねての好意に甘えてお礼を言うと「気をつけて帰ってね」と笑顔を向けられた。
 また、別の日には両手に荷物を持って電車に乗った私を席に座らせようと、70歳代くらいの女性が周囲に「もう少し詰めませんか」と声をかけてくれたことがあった。その女性は、腰を下ろした私に「お母さんて忙しいですよね。でも忙しくしている時が幸せな時ですよね」。思いやりあふれる一言に、涙があふれそうになった。”(3月30日付け読売新聞)

 藤沢市の主婦・西方さん(47)の投稿文です。このご高齢のお二人にはただただ頭が下がる。いたわれる立場の人であるのに、これだけの配慮ができる。ボクにできる自信はない。特に「もう少し詰めませんか」などと言う言葉使いは心憎い。ボクももう少し詰めればもう一人座れるのに、と思う場面に出会うのは度々である。この言葉は覚えておきたい。
 ボクも先日定年退職して、もう余裕を持って過ごせる立場になった。心したい。

(第580話) は行で夫婦円満 2006,4,2
 中日新聞に「つれあいにモノ申す」という投稿欄がある。短い文ながらなかなか機転のきいた文も多い。いつも面白く読んでいる。3月29日のものから2話。

 “いつも遅くまでご苦労様。でも4人の子どもの世話も大変なの分かってね。そこで1句。
    「夜遅く帰る夫の晩酌は『は行』活用 夫婦円満」
         「はーっ」「ふーん」「へーえ」「ほっほー」
 本当に話は聞いていないの、ごめんなさいね。”
 “お風呂上がり、黒のロングTシャツを着て出てきた私に、主人から「おっ、恵方巻き!」という声。そんなに太く寸胴なんだなー、とショックを受け、ダイエットを開始した私。友人に話すと「何言ってんのよ。かぶりつきたいって言う意味よ!」”

 ここで紹介される話は、何やかやと文句を言いながらも、楽しんでいる話が多い。ストレス解消とおのろけの部分もあるだろう。夫婦は十人、いや十組十色、少しのとげとげしさも丸めて過ごしていくのである。

(第579話) 瀬峰駅文庫 2006,4,1
 “定年退職と同時にこの地に移り住み、心の通う地域作りができればと、ゴミ拾いを始めた。それから14年。1人で始めた運動も今では60余名の会員を抱えるNPO法人となった。
 ほかにも何かしたいと、最寄りのJR瀬峰駅の待合室に書架を作り、愛蔵書約300冊を並べた。周囲の予想に反して1日20冊もの借り出しがある人気ぶり。1998年夏には県や町、JRの協力を得て、駅の敷地内に66uの閲覧文庫が完成した。”(3月29日付け朝日新聞)

 宮城県栗原市の小山さん(男・78)の投稿文です。ここにも小さな善意から大きな成果を生み出した事例があった。この瀬峰文庫も、周囲の人の協力で今では4万3千冊になったという。定年退職後、新たな土地に移ってからというのがまた素晴らしい。気後れしてなかなかできることではない。
 ボクなど生まれつきの土地である。ボランティア活動より自分の田畑をいじっている方がいいという土地柄ではあるが、こんな話を少しでも刺激にしたい。ボクは昨日定年退職したのである。


悠澪 > 卒業式:ほんとに良いお話ですね。私も何度かの卒業をしてきましたが、ただなんとなくその場を通り過ぎてきたような気がします。お世話になった方々や、支えてくださった方々に、感謝してきただろうかと反省させられました。 (2006/04/04 21:54:50)
悠澪 > 心配り:ご高齢者は、自分たちも通ってきた道だから、大変さがわかるのだと思います。そして、このお二人には心のゆとりがあるように思います。だから、周りの人に思いやりある心配りが出来るのでしょう。こんなふうに歳を取りたいです。 (2006/04/04 21:41:52)
ともちん > は行で夫婦円満:悠澪さんのご意見と同じで「恵方巻き」のお友達の機転に笑ってしまいました。私にもこのような機転が働けば周りのみんなをもっと幸せにできますね。考えてみると私も帰って来た主人に「は行」状態でいる事が多いかも知れません。聞き上手になるのも大切です。 (2006/04/04 21:06:28)
ハイブリッジ > 卒業式 : 小生は7回以上の卒業式を終えている。その都度、感慨深いものがあったが、この投稿のような卒業者が一人一人コメントを述べる機会は無かった。対象人数にもよるが、非常に良いことで、卒業者・本人・父兄・列席者などに印象に残る卒業式だ。卒業者本人にとっては人生の大きな節目であり、またお世話になった方々への感謝の言葉を述べる絶好の場である。後述を忘れがちな昨今に、一石を投じられたことを嬉しく思う。 (2006/04/04 19:38:24)
悠澪 > は行で夫婦円満:私の友人に、口を開けばご主人の悪口ばかり言う人がいますが、とどのつまりのろけてるんだと感じます。夫婦なんて、文句を言いながら、何度かの危機を乗り越え、結構しっくりいっているものなんですね。それにしても“恵方巻き”の投稿者の友人の機転のよさはすばらしいですね。 (2006/04/02 21:33:35)
悠澪 > 瀬峰駅文庫:お疲れ様でした。そして、定年退職おめでとうございます。一抹の寂しさもあろうかとは思いますが、新たな人生の門出です。これからの人生も、今まで以上に良いものになるようにお祈り申し上げます。 (2006/04/01 21:31:47)
悠澪 > 安楽死:私は、姉妹のようにして育った亡き叔母が、癌の末期で痛み・苦しむ姿を見ていますから、あのような苦しみは味わいたくありませんし、家族の苦しむ姿を見たくありませんから、安楽死には賛成です。ただ、もし認められるようなことになれば、これを悪用する人が現れるのではないかと心配です。 (2006/04/01 21:21:28)


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