美しい日本の「歩きたくなるみち」500選
・・・・・・寺さんの応募コース・・・・・・


 
  この「歩きたくなるみち」の募集と選定は(社)日本ウォーキング協会が、
 国土交通省、日本放送協会などの後援のもとに実施し、500選を認証する
 もので、募集期間は平成15年12月12日から平成16年2月29日であった。
  目的は、ウォーカーの視点から「歩きたくなるみち」を選び、
この道を通じて、歩いて発見する日本各地の様々な魅力を紹介し、
「歩きたくなる観光ニッポン」のイメージを高め、観光立国や地域振興に
役立てるとともに、「車優先社会から人優先」社会への転換を図り、
健やかでゆとりある社会の実現に資することを目的としている。

応募したものの採択されなかったが、私としては良い
コースだと思っているので、引き続き掲載していきます。
                           (平成16年12月30日)



一宮市の中心部・真清田神社と稲沢市の中心部・国府宮神社を結ぶ
延長17kmの南北に長い方形のコースである。
名鉄国府宮駅までの9kmショートコースもまた可能である。

(平成16年4月3日に撮った写真を中心にして紹介します)


(右地図の北部)
JR尾張一宮(名鉄新一宮)駅から、まず歩いて
10分の真清田神社を訪ね、少し東に歩き、
大江川緑道を南下、更に多加木緑道を南下する。
油田公園に寄り、稲沢操作場跡地、JR稲沢駅まで
南下する。萬徳寺、国府宮神社などを経て、今度は
ひたすら北上する。一宮市博物館、妙興寺、地蔵寺
などを巡り、スタート地点の尾張一宮駅に戻る。

(左地図の南部)


R尾張一宮駅と名鉄新一宮駅が併設となっている駅に降り立ち、
東に向けて歩くとアーケードも新しくなった本町通にでる。
左折して進むと正面に真清田神社の鳥居が目にはいる。


4月3日は桃花祭の日であった。訪れたとき、約1000人が馬と一緒に歩く
桃花祭最大の呼び物「神輿渡御(みこしとぎょ)」を待つ人々で賑わっていた。


本町通で出立を待つ一行

真清田神社
真清田神社は平安時代各国に一宮・二宮・三宮の制が始まると、尾張の
一宮となった。国司が赴任したとき、一番始めに参拝する神社でもある。
祭神は天火明命で天照大神の孫にあたり、鏡造りの祖と言われる。
また、祭神の母君は織物の神として、境内の服織神社に祀られる。
全国の一宮で市を名乗るのはここのみである。

真清田神社本殿


真清田神社から電線の地中化がなった国道155号を東へ700mほど歩くと
大江川・花祇橋にでる。大江川の両岸は緑道が整備され、その右岸を
下流へ南下する。今まさに桜は満開、桜祭りが開催されていた。

大江川緑道は、平安時代の尾張の国司・大江匡衡(まさひら)が開削した
大江川を「ふるさと創生事業」として約1kmを整備したもの。一宮市内の桜の名所。


町屋橋を左折して東へ、次の信号機を右折して、また南下を続ける。
一宮高校を左に、向山小学校を右手に見て歩き、丹陽西小学校まで来る。

向山小学校の校門。門柱の
傷跡は爆弾の跡という。
丹陽西小学校。フェンスに生徒作品が施されている。


丹陽西小学校の南側を右折するとすぐに多加木緑道である。



多加木緑道
多加木
特定土地区画整理事業
により造成された1.36haの
道路型公園。
歩行者専用道路780m
出会いの広場、ブリッジ
広場、東屋、などが
ある素晴らしい公園緑道。


多加木緑道の終点は多加木公園である。


多加木公園  (奧にみえるのは名神高速道路)


公園を通り抜け、今度は名神高速道路に沿って西に向かう。
旧国道22号を渡り、まもなく高速道路の南側にある油田公園に来る

油田公園の南西角に真清田大神がこの地に降臨したという碑が立つ。


JR東海道本線を右手に見ながら更に南下する。稲沢操車場跡地
目に入ってくる。陸田の跨線橋に上がると、広大な操車場跡地が見渡せる。


跨線橋を渡り、線路に沿って南下する。まもなく、地下道への坂道に来る。
これが長野地下道で、この地下道をくぐり、操車場を横断する。


長野地下道

操車場を横断する300m程の地下道で
あったが、平成16年1月からの工事で、
50mほどに縮められてしまった。


操車場跡地に沿って稲沢駅に向かうが、この辺りは土地区画整理事業の
真っ最中で、行くたびに道が変わっている。案内に従って稲沢駅をめざす。


整備されたJR稲沢駅、及び東西連絡路

稲沢駅東口の
駅前広場


県道名古屋岐阜線の
西側の既存住宅地の
一部を含め、操車場
跡地約43.5haを
住宅都市整備公団が
「尾張西部都市拠点
地区土地区画整理
事業」として整備を
進めている。


稲沢駅の東西連絡路を渡り、駅西にでる。右折して、
道路に沿って歩き、少し奥まった右手に萬徳寺がある。

萬徳寺

768年に慈眼上人が創建
したと伝えられ、鎌倉時代に
常円が再興した。江戸時代
には尾張国真言宗の大本
山と称し、53以上の末寺を
持っていた。多くの
文化財を所蔵する。

境内には沢山の牡丹の
花が植えられ、
牡丹の名所にしようという
意気込みが感じられる。

萬徳寺全景 (正面左に多宝塔、正面右に鎮守堂)

多宝塔(重要文化財・室町時代)

鎮守堂(重要文化財・室町時代)


元の道に戻り、1kmほど西進すると国府宮神社である。
広い参道の両側は桜が満開で、ここも桜祭りが開催されていた。


国府宮神社・楼門
国府宮神社

正式には尾張大国霊神社と
言い、尾張の国府所在地。
平安時代に尾張の惣社となり、
鎌倉時代に正一位を送られて
いる。海上神として有名な
宗形神も祀られている。
楼門は室町時代の造営と
言われ重要文化財。

奈良時代に起源があると
言われる「はだか祭」は
天下の奇祭として知られる。

参道の桜


参道を南に歩いていくと、道路を挟んで右手に古い木造の
建物が目につく。稲沢市指定文化財・中高記念館である。


名鉄国府宮駅は目の前である。ここまでで約9kmであり、
都合に悪い人はここで帰ることもできる。


名鉄国府宮駅



国府宮駅の北側の踏切を渡り、そのまま100mも歩くと赤染衛門歌碑公園
ある。赤染衛門は大江川を開削した大江匡衡の妻である。

赤染衛門は,平安時代中期を代表する女流歌人で、当時の代表的な漢学者であった
大江匡衡と結婚した。匡衡が国司として尾張に赴任したおり、同行した。
彼女が衣を掛けたと伝えられる松があった所に,現在歌碑公園が作られている。
 匡衡の「はつ雪とおもほえぬかなこのたびは 猶ふる里をおもひいでつつ」という和歌と、
赤染衛門の「めづらしきことはふりずぞ思ほゆる 行きかへり見るところなれども」という
返歌の2首が刻まれた歌碑がある。


もう少し西に歩いた後右折し、その後は約3kmただ北進である。
天気が良ければ左手遠くに養老山脈や伊吹山がみえる。
名神高速道路を過ぎて300mほど先の信号交差点を右折すると
まもなく一宮市博物館である。


一宮市博物館
昭和62年11月に開館、市内で出土した考古資料を始め、
歴史資料、民俗資料、繊維資料を中心に展示している。


博物館の左隣は臨済宗妙心寺派の名刹・妙興寺である。

妙興寺は1348年滅宗宗興(めっしゅうそうこう)を開山とする臨済宗
妙心寺派の寺院。伽藍は1365年に完成したとされ、南北朝時代、
尾張の北朝勢力の拠点として隆盛を極めた。うっそうとした樹林に
つつまれた56000平方メートルの境内地は県指定史跡である。

妙興寺勅使門(1366年建立・重文)

仏     殿

苔むした境内


境内を通り抜け、博物館の裏に出、名鉄線の高架橋に沿って
1.2kmほど北上すると梅が枝公園に来る。


梅が枝公園は平成7年の鉄道高架事業
完成を記念し、高架下とその周辺を
遊歩道・公園として整備したもの。


東の方に200mも歩けば最後の見所、地蔵寺である。

地蔵寺は神亀年間(724〜9)、行基上人の開基と伝えられる古寺。後に空海が嵯峨
天皇の勅を奉じて真清田神社に参籠し、真清田神社の諸行事を扱う別当寺となった。


地蔵寺西門からでて、少し本町を北上、左折すれば出発した尾張一宮駅である。


寺さんのウォーク・トーク

・このコースは、一宮歩こう会の通年コースとして提案するために検討した
 コースである。通年コースとしては、このコースの北部が使用された。
・また、私がコースリーダーを務めた今年(平成16年)2月の愛知県ウォーキング
協会の例会コースとして使用したコースを一部修正したものである。


・コースは平坦地で歩きやすく、特に危険なところもなく、
トイレ・食事場所も多くあり、歩くのに特に支障はない。
緑道を2カ所、尾張部の有名な寺社5ヶ所を訪ねるなど、癒しと歴史の
学習、更に現代の街づくりを学ぶ素晴らしいコースと思っている。

稲沢操車場跡地は区画整理事業が今盛んに行われていて、行くたびに
歩行者道路が変わっていくが、周辺案内に従い、稲沢駅をめざして歩けば
特に問題はない。ここの発展ぶりを観察するのも大きな興味である。

桜は満開、ちょうど一宮桃花祭の日に訪れたが、7月の一宮七夕祭
2月の国府宮神社はだか祭、また、萬徳寺の牡丹
時期などに訪ねれば、更に楽しいものなるだろう。

                            (平成16年4月9日)


    「美しい日本・歩きたくなるみち500選」
   愛知県採択コース  
(平成16年12月27日発表)

 1.東海道・宮の宿から有松へたどるみち   名古屋市熱田区、緑区
 2.木曽三川公園から犬山城へのみち     一宮市
 3.家康公誕生の地・岡崎を巡るみち      岡崎市
 4.名古屋・東山の森の自然探勝のみち    名古屋市千種区
 5.中馬街道、足助・香嵐渓探勝のみち     足助町
 6.鬼のみちと高浜の史跡を巡るみち      高浜市
 7.美濃路を歩く、清洲宿から起宿のみち    西枇杷島町
 8.瀬戸・海上の森と釜垣の小みち        瀬戸市
 9.「花鳥風月」崋山の世界を訪ねるみち    田原市
 10.吉良の歴史と文学に出会うみち       吉良町


川柳&ウォーク